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強くなる為に 7

数週間の厳しい修行を通じて、体力を高め、心の状態を整え、さらに気配を読む力を大きく向上させていた。特に、無意識のうちに発動するようになった「猫耳響覇」の効果は、大きな進歩だった。それまで、猫耳響覇を使うには意識的に力を込めて発動させる必要があったが、今ではその力が自動で発動するようになっていた。シェリルとの戦闘訓練の最中、今では猫足瞬歩、猫耳響覇、猫爪星穿はほぼ無意識に発動する。


「さあ、始めるよ。」


シェリルの言葉と共に、彼女は軽く足を踏み出すと、すぐに素早く攻撃を仕掛けてきた。


シェリルの動きを見ながら構える暇もなく、体が自然と反応する。シェリルの攻撃が迫った瞬間、その全ての動きが一瞬で予測できる感覚が訪れる。


シェリルの右腕が伸びると、体がわずかに反応し、右足を後ろに引いて避ける。その動きは、まるでシェリルの攻撃を最初から知っていたかのようにスムーズだった。攻撃を避けた瞬間、シェリルはすぐに次の攻撃を繰り出してくるが、それも瞬時に読み切る。シェリルが足を引き寄せて、次の蹴りを放とうとしたその瞬間、すでに左に体を傾け、攻撃をかわしていた。


「……どうした?その反応の速さ、まるで全てを知っていたかのようだ」


シェリルは攻撃を止めることなく次々と繰り出してくる。しかし、動きはますます自然に、かつ精密にそれらを避けていった。シェリルの一撃を全てかわし終えた後、一瞬立ち止まり、静かに息を吐いた。


「よし、いい感じだな」


シェリルが手を腰にあてて笑顔を浮かべた。


「でも、まだまだだ。カウンターの型を学びなさい」


その言葉に、すぐに気を引き締めた。カウンターを主体とした型、それは攻撃を受け流しながら、相手に反撃を与える技術だ。まだその型に十分に自信を持てていないが、シェリルの言葉通り、これをしっかりと習得することが次のステップだと感じていた。


「カウンターは、相手の攻撃をただ避けるだけではダメだ。攻撃を受け流し、相手の力を利用して反撃を加える。これがカウンターの基本だ」


シェリルは静かに説明しながら、再び攻撃を仕掛けてくる。その言葉を胸に刻み、シェリルの攻撃を受け流す準備を整える。動きは見えるがタイミングがわからず、最初はその流れに乗れなかったが、何度もトライを繰り返していくうちに、徐々にその感覚を掴んできた。


シェリルの右手が迫ってきたその瞬間、直感的に体を引いて受け流し、シェリルの肩を押さえ込むように回転しながらその反動を利用して彼女の体勢を崩す。


その動きはまるで、シェリルの力を逆手に取ったような完璧なカウンターだった。シェリルは思わず驚きの声を漏らし、ふらつきながらも立ち直る。


「いい動きだ。まさにカウンターの型を完璧に使っている」


初めてちゃんと褒められた気がする。これまでの修行かわ報われた瞬間だった。その言葉を聞いて胸が熱くなるのを感じる。これが自分の成長を感じる瞬間だと、心の中で実感していた。


「もっと続けろ。君ならもっとできる」


シェリルの言葉を受けて、再び集中力を高め、次のカウンターのタイミングを狙う。戦いの中で、自身の力を確信し、無駄のない動きで次々と攻撃を避け、反撃を加えていく。そこれが自分の力だ、そしてこれからさらに成長していける、という確信を。


数日間の厳しい訓練を経て、シェリルからの教えを着実に吸収していた。毎日の瞑想、体力づくり、そして無手の型を駆使した組手の訓練。シェリルのカウンター技術を何度も体得し、回避や反撃のタイミングが一段と鋭くなった。気配を読み取る感覚や素早い反応力に変化を感じていた。それでも、何かが足りない――その感覚は日に日に強くなっていった。


そして、その日が来た。


訓練後、息を整えていると、シェリルが静かに声をかけてきた。


「少し、話がある」


訓練の余韻を残しながらも、シェリルの言葉に目を向ける。彼女の顔にいつもと違う、何か真剣な表情が浮かんでいるのに気づいた。


「話って…?」


「君の修行はかなり進んだ」


シェリルはゆっくりと語り始める。


「だが、それだけでは足りない。君が目指すべき最終段階には、もっと深い修行が必要だ」


その言葉に少し驚き、同時に胸が熱くなるのを感じた。


「最終段階…?」


シェリルは頷き、目をしっかりに向けた。


「君の修行は、物理的なものだけではなく、心と魂をも鍛えるものでもある。君の成長を見守ってきて、今感じているのは――君はもう、自分の力を使う準備ができている」


言葉を受け止めながらも、心の中で整理をしていた。確かに、修行を続ける中で自分の力が着実に増していくのを実感していた。しかし、その先にあるもの――それが一体何なのか、まだ掴みきれていなかった。


「倒し切る力、分かりやすく言えば必殺技だ」


シェリルが静かに続けた。


「君はもう限界超える段階に来ている。相手の攻撃を受け流し無力化する力を得た、しかし相手に勝つには結局は倒さなくてはならない」


その言葉に反応し、自身の心の中で答えを探した。


「決めての技....」


シェリルは少し微笑み、そして言った。


「そう。だが、この最終段階は簡単なものではない。君が今までやってきたものを超えるものだ。それに耐えられるかどうかは、君自身が試すべきだろう。」


その言葉を胸に刻みながら、主人公はしっかりと前を向いた。今まで積み重ねてきた努力が、今ここで意味を成すことを感じ取っていた。


「何をすればいい?」


シェリルは深く息を吐き、向き直る。


「君がこれから進むべき道――それは、フルカウンターだ。まずは君の猫影潜行、これを進化させる」


場所はシェリルとの修行場、切り立った崖と広がる荒野が舞台となる。シェリルから与えられた次の課題に向き合っていた。


「お前の影の技はまだ未完成だ。猫影潜行で隠れることに満足しているうちは、その真の可能性を引き出すことはできない」


シェリルの声には力が宿っていた。彼女は前に立ち、鋭い瞳で見据える。


「次に目指すのは、影を操り、敵の攻撃を飲み込み、力を利用する技だ。これが完成すれば、お前の動きはさらに深みを増すだろう」


うなずき、足元に伸びる自分の影を見つめた。


「やってみる…!」


まず、猫影潜行で影に潜る感覚を再確認する。周囲の気配をシャットアウトし、静寂の中で自分と影が完全に同化するのを感じる。


「影はただの隠れ蓑じゃない。エネルギーの流れがある…そこに意志を注ぐんだ」


シェリルは腕を組みながら、動きを見守る。


「いいぞ、その感覚をつかめ。影はお前の一部だ。それを忘れるな」


集中を高め、足元の影を広げるように意識を注ぐ。しかし、影が少し揺れるだけで、思うように動かない。


「まだ足りない…!」


「焦るな。影に力を注ぐのではなく、影そのものに溶け込め。意志を押し付けるのではなく、共に動け」


シェリルが手に持つ小さな石を投げ、主人公の影の中に落とす。


「その石を影で飲み込んでみろ」


影の中から意識を集中し、石を包み込むように影を動かそうとする。だが、影が乱れて石を押し出してしまう。


「くそ…!」


「お前の影が恐れている。もっと自然に、影を自分の延長だと感じろ」


何度も試行錯誤を繰り返す中で、影がまるで生き物のように反応していることに気づく。影は感情と密接に繋がっていた。焦りを感じれば乱れ、冷静さを保てば柔らかく動く。


「そうだ…影は力じゃない、自身なんだ」


ようやく影が石を包み込むように動き、石がゆっくりと消えていく。


「できた…!」


シェリルが真剣な表情で言葉を続ける。


「次は実戦だ。私の攻撃を影で吸収してみろ」


彼女は空気を裂くようなスピードで突きを繰り出す。その拳から放たれるエネルギーが迫る。


瞬時に猫影潜行を発動し、影の中に潜む。迫りくるエネルギーを感じながら、影を広げ、それを飲み込むように意識を集中させる。


「来い…!」


ドンッ!


衝撃が影の中で弾ける。しかし、影は耐え、シェリルの攻撃を完全に吸収することに成功した。


「やった…!」


影の中から現れると、シェリルは小さくうなずいた。


「悪くない。だがまだ完成形ではない。この技をさらに磨き上げろ」


汗を拭いながら、決意を新たにする。


「この力を、必ずものにしてみせる…!」


影の揺らめきがまるで祝福しているかのように、足元に広がっていた。


《 猫影幽牢を獲得しました。あらゆる物を保存、吸収できます》

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