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試験当日

試験当日、緊張を胸に抱えながら竜育成管理協会の試験会場へと足を踏み入れた。広々とした会場の中央には、竜の模様が描かれた旗が掲げられ、既に何人かの受験者たちが待機していた。にゃんまるは、穏やかな声で励ます。


「主、大丈夫です。これまでの努力を信じて、自分らしく挑めばきっと結果はついてきます」


その言葉に軽く頷き、試験官の合図で席に着いた。試験は筆記と実技の二部構成で進む。


筆記試験では、竜の生態や特性についての問題が出題された。たとえば、竜が最も落ち着く環境の温度や、病気になりやすい季節とその対処法、竜の感情表現の解釈などだ。過去に観察してきた竜たちの姿を思い出しながら、冷静に答えを書き進めた。


問題の一つに、竜の羽ばたきが意味するものを問うものがあった。羽ばたきが速ければ不安を示し、ゆっくりと静かに動くときは安心していることを示す――その答えを記入した瞬間、アークの穏やかな仕草を思い出し、自然と微笑みが浮かんだ。


筆記試験が終わると、実技試験が始まる。受験者たちは順番に呼ばれ、竜と対面する場へと向かった。自分の番が近づくと、にゃんまるがぽんと軽く背を押した。


「竜たちは主の真剣な心を見抜きます。いつものように接してあげてください」


そしてついに名前が呼ばれた。


試験会場の中央に進むと、そこには中型の竜が1頭、静かに佇んでいた。その竜はどこか警戒心を抱いているようで、耳を伏せ、尾をゆっくりと揺らしている。


竜の様子を観察し、まずはゆっくりと距離を縮める。緊張をほぐすために落ち着いた声で語りかけた。


「大丈夫だよ、怖がらなくていい」


竜の瞳を見つめながら、竜魂の腕輪にそっと触れる。その瞬間、竜の感情が薄っすらと伝わってきた――どうやら、ここにいること自体が不安を煽っているらしい。


距離を取り、竜が安心できるよう、ゆっくりとした動きで近くに置かれた餌を見せた。すると竜は少しずつ耳を立て、興味を示し始める。


「そうそう、それでいい。怖くないだろ?」


餌を口元に差し出すと、竜は一度見てから、慎重に食べ始めた。その姿に試験官たちは満足げに頷く。


最後に竜の首元にそっと手を伸ばし、軽く撫でた。その触れ方が心地よかったのか、竜は低い音で喉を鳴らし、完全にリラックスした様子を見せた。


試験官が手を叩き、試験終了を告げる。


「素晴らしい対応だった。君は竜の心を読む力を持っているな」


一礼してその場を後にした。にゃんまるが微笑んで語りかける。


「主、本当によくやりましたね」


夕方、試験の合格者が発表された。名前は堂々とそのリストに載っており、周りの受験者たちからも祝福の言葉が寄せられる。


「これで竜育成特化のライセンス、ブロンズランクを取得ですね。これからも竜たちのために頑張りましょう」


にゃんまるの言葉に頷きながら、竜たちとの新たな関係の始まりを実感するのだった。


次なるステップへ向けて、物語は続く――。


試験が終わり、一息つく間もなく、にゃんまると竜育成管理協会の依頼掲示板を眺めていた。合格したばかりのブロンズライセンス保持者として、早速その力を試してみたくなったからだ。


掲示板には様々な依頼が並んでいる。迷子の竜を探す依頼や、幼竜の世話を手伝うもの、病気の竜を診断する依頼などが目に留まる中、一つだけ異質なものがあった。


「『竜の異常行動調査 至急』…これ、なんだか気になりますね」


にゃんまるが小さな肉球でその依頼を指差した。

依頼文を詳しく読むと、内容はこうだった。


「近くの森で竜が不自然な行動を繰り返しており、周囲の住民たちが不安を抱いている。竜の様子を確認し、原因を解明してほしい」


依頼文を読んで眉をひそめる。


「異常行動って、具体的にどんなことなんだろう?」


「ここには詳しく書かれていませんが、依頼者に話を聞けばもっと分かるかもしれませんね。受けてみますか?」


一瞬考えた後、うなずく。


「うん。試験で得たライセンスを試すのにちょうど良さそうだし、竜が困っているなら放っておけない」


依頼主は小さな村の住人で、顔に心配の色を浮かべていた。


「森の奥にいる竜が最近、夜な夜な同じ場所を行ったり来たりしているんです。それも、まるで何かを探しているような感じで…。近づくと威嚇されるので、それ以上は何もできなくて」


話を聞きながら頷く。


「その竜には普段から誰か世話をしているんですか?」


「いえ、野生の竜ですが、普段は穏やかで村人を襲うようなことはありません。ただ、今回は様子がおかしくて…。」


にゃんまるが鋭い視線を村人に向ける。


「もしかすると、環境の変化や何か外的な要因があるのかもしれません。主、まずはその竜を直接見に行きましょう。」


「そうだね。行ってみよう」


竜魂の腕輪に手を触れながら、自分の役目を胸に刻む。


森に入ると、すぐに竜の足跡を見つけることができた。その大きさからして中型の竜のようだ。


「この足跡、先ほど村人が言っていた場所に向かっていますね」


にゃんまるが足跡をたどりながら言った。

慎重に足を進めた。やがて、視界の開けた場所に到着すると、一頭の竜がその中心に佇んでいた。竜の鱗は薄い緑色で、尾が激しく地面を叩いている。


「…確かに落ち着きがないみたいだ」


竜の挙動を観察しながらつぶやく。

竜魂の腕輪を介して竜の感情を探ると、不安と焦りが混じった強い感情が伝わってきた。


「何かを…探してるのか。」


にゃんまるが頷く。


「おそらくそうでしょう。この周囲に何か手がかりがないか探してみましょう」


にゃんまると周囲を調べていると、竜が激しく地面を掘り返し始めた。その場所に近づくと、土の中から何かが見えた――小さな光る石だ。


「これは…竜石か」


驚きつつ石を拾い上げた。それは竜にとって特別な力を宿す石で、かつての仲間や家族を記憶する力があると言われている。

竜は石を見るなり、興奮したように低い声を鳴らし始めた。


「この石に執着していたんですね。どうやら失くしたものをずっと探していたようです」


にゃんまるが解説する。石をそっと竜の前に差し出した。竜は慎重にその石を鼻で触れると、安心したように尾を揺らし始めた。


「これで落ち着いたみたいだね」


微笑み、竜の頭を優しく撫でた。

竜の行動が元に戻ったことを確認し、にゃんまると共に村人のもとへ報告に戻った。村人は感謝の言葉を述べ、小さな袋を手渡した。


「これは感謝の気持ちです。役立ててください」


袋の中には、小さな竜の模様が刻まれたペンダントと硬貨。報酬の重みを感じながら帰路へと戻るのだった。


翌朝、ヴァルターから伝言を伝えられる。


「警備隊長のエルシア様より本部へ来て欲しいとのことです」


急な呼び出しに驚く。一体何の用だろうか。また戦いの予感を胸に今日の予定に本部へ向かうことを決めた。にゃんまると準備をし、自宅の扉を開ける。あまりいい予感はしないので足取りは重いが一歩一歩本部へ向かって歩いていくのだった。



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