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消える謎

唸り声が響き渡る中足を止めた。青白い光が揺らめきながら近づいてくるように見える。


「魔物だな」


フェリスタルを構えた。


にゃんまるは低い声で指示を出した。


「主、まずは周囲の状況を把握してください。この光がただの魔物の発光か、それとも別の仕掛けなのか確かめる必要があります」


頷き、静かに森の闇を見据えた。カイルは短剣を手に取り、興奮を隠せない様子だったが、にゃんまるが制するように彼を一瞥する。


「カイルさん、無闇に動かないでください。相手が何かまだ分かっていません」


「分かってるって! でも、この雰囲気……ワクワクしない?」


カイルは軽口を叩きながらも目は真剣だった。

その時、光の中から大きな影が現れた。それは体毛のない黒い皮膚を持つ巨大な魔物だった。目は青白く光り、唸り声を響かせながら三人を見下ろしている。


「デュラグリム……!」


にゃんまるが低く呟く。


「これほどの個体が森に出現するとは……厄介ですね」


「喋ってる場合か!」


カイルが叫びながら突進しようとしたが、すぐに彼の腕を掴んだ。


「落ち着け! こいつは普通の魔物じゃない」


にゃんまるがすばやく指示を出す。


「主、前衛をお願いします。カイルさんは後衛で魔物の隙を狙ってください。私は支援に回ります。」


「了解だ」


フェリスタルを振るい、魔物の注意を引くように動き出した。


デュラグリムの鋭い爪が地面をえぐり、攻撃を仕掛けてくる。


猫足瞬歩!


その攻撃を紙一重でかわしながら反撃の隙を伺った。


カイルは魔物の背後を狙い、飛び上がって短剣を投げつけるが、魔物の硬い外皮に弾かれてしまう。


「くそっ、全然効かない!」


「この魔物、体の一部が発光しているでしょう。そこが弱点です」


にゃんまるが指摘した瞬間、その光を目掛けてフェリスタルを投げつけた。


フェリスタルの刃が光る部分に突き刺さると、デュラグリムが耳をつんざくような咆哮を上げた。


デュラグリムが苦しみながらも反撃を試みる中、攻撃の手を緩めなかった。フェリスタルを手に戻すと、次の一撃を放とうとする。


その時、魔物の背後から青白い光がさらに強くなり、周囲の木々が震え始めた。


「何だ……?」


驚きの声を上げると、にゃんまるが険しい表情で光を見つめた。


「この光、単なる魔物の力ではありません。何か別の存在が影響を与えています」


魔物が突然崩れるように地面に倒れ込むと、光の中心から別の気配が現れた。それは人影のような形をしており、薄い笑みを浮かべているように見える。


「よくここまで来たね」


不気味な声が森に響く。


「誰だ?」


問いかけるが、声の主は答えず、青白い光と共に姿を消した。


「今のは……?」カイルが不安げに呟く。


にゃんまるは深いため息をつき


「この森の異変、やはりただの噂ではないようですね。引き続き調査を進めるべきです」


と静かに答えた。その場に残る不穏な空気を感じながらも、次の行動を決めるために仲間たちと視線を交わした。


森魔物が倒れた場所には、青白く輝く小さな結晶が落ちていた。慎重に手を伸ばし、それを拾い上げた。


「にゃんまる、これ、さっきの光に関係あるのか?」


にゃんまるが手元を覗き込み、鋭い眼差しで結晶を見つめた。


「間違いなく特異な物質ですね。ただの魔物のドロップアイテムではありません。このエネルギー……おそらく、この森の異変の鍵を握るものです」


カイルが後ろから覗き込み、好奇心を抑えきれない様子で尋ねた。


「それ、使えたりするのか? 何か強化とか!」


「軽々しく使うべきではありませんよ、カイルさん」


にゃんまるが冷静に諭す。


「まずはこの結晶の正体を突き止める必要があります」


結晶をポーチにしまい込み、森の奥へ向かう決意を固めた。


「ここで立ち止まるわけにはいかないな。この結晶の正体も、森の異変も調べるために進もう」


三人は慎重に歩を進め、徐々に森の雰囲気が変わり始めた。進むにつれて、木々はさらに背を伸ばし、青白い苔が地面を覆うようになった。空気は重く、緊張感が漂っている。


「ここ、明らかに普通の森じゃないね……」


カイルが辺りを見回しながら呟いた。


にゃんまるが少し前を歩きながら言葉を返す。


「この森の魔力濃度は異常です。まるで何かがそれを集めているように感じます」


突然、足を止めた。


「待て。何かいる。」


遠くの茂みが揺れ、小さな影が現れた。それは一匹の子供の魔物――小さな獣のような姿だった。だが、その目は先ほどのデュラグリムと同じ青白い光を宿している。


「またか……」


警戒しながら武器に手をかけると、にゃんまるが制止するように手を挙げた。


「おそらくこの魔物も異変の影響を受けています。まずは敵意があるかどうか確かめましょう」


にゃんまるが静かに魔物に近づき、低く鳴くような声で話しかけた。


「怖がる必要はありません。我々は敵ではない」


魔物は一瞬身を引くが、その後、か細い声で鳴き声を上げた。


「にゃんまる、何か伝えようとしてるのか?」


尋ねると、にゃんまるは小さく頷いた。


「はい。この魔物、恐らく森の奥に何か危険な存在がいることを警告しているようです」


カイルが不安げに肩をすくめる。


「危険……僕たち、これ以上進むの?」


「もちろんだ」


強い口調で答えた。


「引き返す理由はない。異変の原因を突き止めるまでは」


にゃんまるも頷き、魔物を森の安全な方角へと促した。


「よし、進みましょう。この先が森の中心地です」


森の奥へ進むにつれ、奇妙な建造物のようなものが現れ始めた。それは石でできた古い遺跡のように見え、青白い光がその表面を走っている。


「こんな場所が森の中にあるなんて……」


カイルが驚きの声を上げる。にゃんまるは遺跡をじっと見つめる。


「この光、先ほどの結晶と同じ性質を持っています。間違いなく関連していますね」


と静かに呟いた。周囲を警戒しながら近づくと、遺跡の中央に大きな円形の台座があり、その上にはさらに大きな結晶が鎮座していた。それは先ほど拾ったものよりも数倍の大きさで、強い魔力を放っている。


「これが……異変の中心か?」


にゃんまるが慎重に近づき、結晶に触れようとした瞬間、台座の周囲が激しく光り出し、地響きとともに遺跡全体が揺れ始めた。


「来るぞ!」


フェリスタルを構え、緊張感が一気に高まった瞬間だった。


森の中心で待ち受ける新たな試練が、三人を襲おうとしていた。


遺跡の台座から青白い光が四方八方に広がり、辺り一面が眩い輝きに包まれた。その光が消えた瞬間、遺跡の周囲には無数の魔物が姿を現していた。だが、それらの魔物は通常のものとは異なり、全身が結晶化しており、動くたびにガラスが擦れるような音を立てている。


「結晶化した魔物……! これが異変の原因か?」


フェリスタルを構えながら、素早く戦闘態勢に入った。


「気をつけてください!」


にゃんまるが叫ぶ。


「彼らは通常の攻撃では完全に倒せない可能性があります。この結晶をどうにかしないと」


カイルは緊張した面持ちで背中の剣を抜き、主人公の隣に立った。


「逃げるわけにはいかないね……やるしかない!」


前に出て、最初に接近してきた魔物の一体を狙った。フェリスタルの鋭い刃が結晶化した表面に深々と突き刺さる。しかし、魔物は崩れるどころか、さらに力を増して襲いかかってきた。


「硬すぎる!」


苛立ち混じりに声を上げる。にゃんまるは冷静に状況を見極め、指示を飛ばす。


「その結晶のコアを狙うのです! 胸部にある光が彼らの弱点かもしれません」


再び動きを変え、にゃんまるの言葉に従って結晶の魔物の胸部を狙った。一撃で見事に貫通し、魔物は砕け散るように消え去った。


「よし、弱点はそこだ!」


カイルも続けて動き、必死に攻撃を繰り出すが、動きがぎこちなく、何度か攻撃を外してしまう。


「落ち着け、カイル!」


振り返りながら声をかける。


「焦るな、相手の動きを見極めてからだ!」


カイルは大きく息を吸い、動きを改めると、次第に魔物との戦いで成果を上げ始めた。


戦闘が佳境に入る中、台座の結晶が激しく光り始めた。そしてその光から、一際巨大な魔物が現れる。それは先ほどまでの魔物とは明らかに違い、周囲に威圧感を放つ存在だった。


「これは……ボス級か!」


歯を食いしばりながらフェリスタルを構える。


にゃんまるが即座に指示を出す。


「あのコアに直接攻撃を仕掛けてください! 私は魔法で足止めをします」


にゃんまるが繰り出した魔法が魔物の動きを一瞬止める間に、フェリスタルを構えて跳躍した。フェリスタルの刃がコアに向かって振り下ろされ、見事に命中する。


その瞬間、巨大な魔物が爆発するように消え、遺跡の光が静まった。


辺りの静けさが戻り、三人は安堵の息をついた。膝に手をつき、汗を拭いながら笑みを浮かべる。


「これで森の異変は終わりだな……?」


にゃんまるが台座に残った結晶の欠片を拾い上げ、静かに頷いた。


「ええ。この結晶は異変の中心でした。そして、この欠片はおそらく、この地の守護の力を持っています」


カイルが遺跡の周囲を見回しながら呟いた。


「僕、こんな経験初めてだよ」


肩をすくめながら笑う。


「俺たちもこんなに忙しい冒険は珍しいよ」


にゃんまるが結晶をポーチにしまい、森を後にする準備を始めた。


「これを町で調査すれば、さらなる情報が得られるでしょう。グランメディアに戻りましょう」


三人は静まり返った森を抜け、再び冒険の旅路を進み始めた。森の遺跡で得た経験と結晶の欠片が、今後の彼らの旅にどんな影響を与えるのか、それはまだ誰にも分からない。

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