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騎竜レース エクストラランク2

第二ステージを終えたルミナスフレアとヴェルドレイザーは、わずかな休憩の後、最終ステージ「空中浮島」へと進む。このステージは、広大な空に浮かぶ無数の島々を舞台とした過酷なエリアである。


島々は不規則に配置され、それぞれ異なる地形を持つ。狭い通路、急な斜面、水が流れる滝、さらには火山活動による噴煙が立ち上る島まで、多種多様な障害が待ち受けている。また、特定の島には封印された魔力が漂い、竜と騎士の動きを妨害する罠も存在する。


このステージでは、竜と騎士が持つすべての技術と力を駆使しなければならない。まさに「最強」を決めるにふさわしい決戦の舞台だった。


「行くぞ、ルミナスフレア!」


「ヴェルドレイザー、全力で行くわ!」


スタートの合図とともに、二頭の竜が一気に飛び立つ。最初の浮島までの距離は短いが、その間に浮遊する岩が障害となり、激しい競り合いが繰り広げられる。


ルミナスフレアは、細かい動きで岩を回避しながら進む。一方、ヴェルドレイザーはその巨大な翼で岩を吹き飛ばし、力強く前進する。序盤から両者のスタイルが鮮明に分かれ、観客席から歓声が上がった。


最初の島は、狭い通路が迷路のように入り組んだ地形だ。ここでは、竜を正確に操る力が問われる。


「ここはルミナスフレアの得意分野ですね」


にゃんまるが小声で呟くと、その通り、ルミナスフレアは迷路のような地形をスムーズに抜けていった。その軽快な動きに、観客たちは再び拍手を送る。


しかし、ヴェルドレイザーも負けていなかった。狭い通路を力技で切り開きながら進むその姿は圧倒的な迫力を誇っていた。


「これは勝負がわからないわね」


次の島は、魔力が渦巻く危険なエリアだった。封印された魔力が竜と騎士の動きを鈍らせ、さらに幻覚を見せる罠も仕掛けられている。


ルミナスフレアは、アランの指示でその光の力を活かし、魔力を中和しながら進む。しかし、その過程で一瞬だけ幻覚に捕らわれ、ルートを外しかけた。


「くそっ…落ち着け、ルミナスフレア!」


アランの冷静な声が竜を正気に戻し、何とか魔力の影響を振り切った。


一方、ヴェルドレイザーはその魔力を強引に押し切るような動きを見せた。


「こんなもの、ヴェルドレイザーには効かない!」


イザベラの気迫に応じるように、ヴェルドレイザーは翼を大きく広げ、一気に魔力を吹き飛ばす。その圧倒的な力に観客席が再び沸き立った。


最終ステージのクライマックスともいえる第三の島は、巨大な滝と噴煙が立ち上る火山の島だった。ここでは水流と熱気が複雑に入り乱れ、竜の耐久力と騎士の判断力が問われる。


ルミナスフレアは、滝の中を潜るようにして進む戦術を取った。アランは水流の勢いを計算し、竜の翼を巧みに操って滝を切り裂くように進む。水しぶきが輝き、幻想的な光景が広がった。


ヴェルドレイザーは、火山の噴煙をものともせず突き進む。熱気を吸収し、それをエネルギーに変える力を発揮しながら、さらにスピードを上げた。



最終ゴールは、空中に浮かぶ小さな島の上。そこにあるリングを竜の頭で突き抜けた方が勝利となる。


ルミナスフレアとヴェルドレイザーは、ほぼ同時に最終コーナーに差し掛かっていた。観客全員が息を呑み、会場は静寂に包まれる。


「ルミナスフレア、全力だ!」


「ヴェルドレイザー、負けるな!」


それぞれの騎士が最後の力を振り絞り、竜たちを駆り立てる。光と嵐が交錯し、二頭はゴールへと突き進む。


ゴールのリングが揺れる瞬間、両者が同時に突き抜けたように見えた。


観客席からは「どっちだ?」という声が飛び交い、主とにゃんまるも緊張の面持ちで見つめる。


レースの結果は、審判による判定へと持ち越された。興奮冷めやらぬ中、観客たちは二頭の竜と騎士たちの激闘に惜しみない拍手を送った。


「すごい戦いでしたね、主」


「うん、まさかこんな接戦になるなんて…。」


観客全員が固唾を呑む中、審判団による慎重な判定が進められていた。ルミナスフレアとヴェルドレイザーはほぼ同時にゴールへ到達し、どちらが先だったかは肉眼では判断がつかなかった。


「判定が出ました!」


司会者の声が響くと、観客席から歓声が上がる。緊張した面持ちでルミナスフレアに跨るアランと、ヴェルドレイザーを撫でながら微笑むイザベラ。二人の竜騎士が並び、審判の言葉を待った。


「勝者は……ルミナスフレアとその騎士、アラン・スターリング!」


会場中に大歓声が沸き起こる。僅差だったが、ルミナスフレアの翼の先がリングを先に突き抜けていたことが決定打となった。


「やったな、ルミナスフレア!」


アランは竜の首に抱きつき、喜びを爆発させた。ルミナスフレアも誇らしげに咆哮を上げ、その声が会場に響き渡る。


一方で、イザベラとヴェルドレイザーもその場に立ち尽くしながら微笑んでいた。


「惜しかったわね。でも、ヴェルドレイザー、あなたは最高だった」


彼女がそう言って竜を撫でると、ヴェルドレイザーも静かに鳴き声を上げ、悔しさをにじませながらも誇らしげな表情を見せた。


表彰台にはアランとルミナスフレアが立ち、トロフィーを受け取る。その姿を見上げるイザベラも拍手を送り、観客たちも敗者を称えるように盛大な拍手を送った。


にゃんまるはその様子を眺めながら、静かに呟いた。


「素晴らしい戦いでしたね。勝者も敗者も、どちらも誇り高い竜騎士です」


興奮した面持ちで頷く。


「すごかった...…。これがキングの実力なのか......」


レースが終わり、観客たちは興奮冷めやらぬまま帰路についた。しかし、この日繰り広げられた伝説的な戦いは、語り継がれるだろう。


そして、イザベラは控室でアランに近づき、笑顔で言った。


「次は勝つわよ」


アランも笑顔で応じる。


「その時を楽しみにしてる」


竜たちも騎士たちも、この勝負を糧にさらなる高みを目指すだろう。


こうして、エクストラランクのレースは幕を閉じたが、次の挑戦がすでに始まっていた。


エクストラランクのレースの熱狂が収まり、にゃんまると帰路につくことになった。

賑わいが続く会場を後にして、一行はまず待機させていた馬車へと向かう。


にゃんまるが静かに馬車の扉を開けると、中に乗り込んでシートに腰を下ろした。レース会場の熱気がまだ体に残っているようで、二人とも会話も少なめだが、それぞれの心には興奮と感動が刻まれていた。


「主、今日は本当に素晴らしい戦いでしたね」


にゃんまるは穏やかな声で言う。


「うん。なんていうか…夢みたいな時間だった」


そう呟きながら、馬車の窓から見える夜空を眺めた。


道中、馬車の車輪が石畳を叩く音が心地よく響く。時折、窓の外に見える街灯の光が二人の顔を照らした。


馬車は中継地点の港へ到着し、そこから飛空挺へ乗り換えることになった。港にはライトが点々と輝き、巨大な飛空挺が静かに待機している。


「飛空挺はいつ見ても壮観ですね」


にゃんまるが感嘆の声を上げると、頷いた。


「うん。こんなに大きいものが空を飛ぶなんて、不思議な感じがするよ」


二人は搭乗口で案内され、指定された席に座る。飛空挺がゆっくりと浮上し始めると、窓の外には広がる夜景と星空が現れた。


「今日は特に星がきれいですね」


にゃんまるが空を見上げながら言った。

黙って頷き、どこか落ち着いた表情で窓の外を見つめていた。


飛空挺が空を滑るように進む中、にゃんまるはぽつりと話しかけた。


「主、今日のレースを見て、何か感じるものがありましたか?」


「うん…。なんだか、自分ももっと頑張らなきゃって思った」


静かな声には、確かな決意が宿っていた。


飛空挺を降りると、最後の区間を馬車で進むことになった。すでに夜も更け、辺りはしんと静まり返っている。馬車が森の中の道を進むと、木々の間から月明かりがこぼれ、幻想的な光景を作り出していた。


「主、今日はゆっくりお休みください」


にゃんまるが優しく声をかけると、小さく頷いた。


「うん。でも、アークのこともあるし、まだ気が抜けないよ」


にゃんまるは微笑み、静かに言った。


「主のその思いやりが、きっとアークにとっても力になりますよ」


馬車の中は次第に眠りを誘うような静けさに包まれていった。窓の外には、帰りを祝福するかのような月が、二人の旅路を照らしていた。


こうして、騎竜レースの熱狂的な一日が終わり、静かな夜の帰路へと移り変わったのだった。

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