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のりものいろいろ

「ふむ、これは少々厄介なことになりましたね」


火竜の誕生に感動していると、にゃんまるが顎に手を当てながら考えていた。


「厄介?」


「そうです、火竜の誕生は喜ばしい事ですが発見した場合は報告の義務があるのです」


村ひとつを簡単に滅ぼせるほどの力を持つ火竜、その為個体数の管理はしっかりされている。捕らえた武装集団のような輩もいる為、把握は早い方がいいということらしい。


「この子は主の奏でた曲と共に生まれたので主にも、とても懐いているようです。こちらで預かれるならそれにこしたことはありませんが、流石に勝手にはできないので一旦報告にもどりましょう」


子火竜を持ち上げるとまだ小さな羽をぱたぱたさせている。親火竜は心を許してくれているのかそれを見ている。


「ちょっと間お別れだな、元気でいるんだぞ」


「ガウッ」


言葉が通じたのかはをからないが返事をしてくれたのでいいか。子火竜を親火竜の傍に置く。にゃんまるが親火竜に話しかける。


「火竜よ、悪いようにはしません。安心しなさい」


火竜は喉を鳴らし頷く。どうやら親火竜には通じるらしい。それほど知能が高いということだろう。たしかに助けに行った時こちらに攻撃は一切しなかった。竜って賢い。


洞窟から外に出ると、にゃんまるが小さな笛を取り出して鳴らす。音は、深く、柔らかく、しかしどこか遠くまで届くような不思議な旋律だった。最初の音が空気に溶けると、一瞬で静まり返り、風すらも息を潜めたかのように動きを止めた。


高く、澄んだ音が幾重にも重なり、山々に反響する。その音色には力があり、まるで古代の合図のように大地と空へと響き渡っていく。そして――遠くから、かすかな音が聞こえた。風が揺れ、何かが大気を切り裂く音が次第に大きくなる。空がざわめいた。


はるか彼方、雲の合間から巨大な影が姿を見せた。最初は点のように小さく、だが、瞬く間にその姿は明確な輪郭を持ち始める。翼だ――二枚の巨大な翼が、空を裂くように羽ばたいていた。その翼の動きとともに風が渦巻き、木々がざわめき始める。


グリフォンだ。


その姿は、鷲の頭部と鋭い目は金色に輝き、すべてを見通すような力強さを秘めている。風を切り裂くくちばしは鋭く、獲物を一瞬で捉える強靭さを漂わせていた。獅子の体は力強く引き締まり、毛並みは夜の闇に銀の筋を描きながら、しなやかに躍動している。


グリフォンが頭上に近づくにつれ、その巨大さが圧倒的に感じられた。翼の一振りごとに風が地面に吹き付け、塵と枯れ葉が舞い上がる。まるで嵐の中心に立っているようだった。


空中で軽やかに旋回し、まるで王者が玉座に降り立つかのように地上に降りた。地面に降り立った瞬間、鈍い音とともに大地が震え、彼の鋭い爪が地を抉る。


グリフォンは金色の瞳が細く輝き、にゃんまると無言のまま、古の契約を思い出すかのように見つめ合う。そして、グリフォンがゆっくりと翼を畳むと、その周囲の風が収まり、森に静けさが戻った。


にゃんまるがグリフォンの背中に跨る。それにならって恐る恐る背中に乗る。グリフォンが地を蹴った瞬間、世界が一瞬止まったかのような錯覚に陥った。強靭な後脚が大地を抉り、その勢いで身体が宙へと浮かび上がる。次の瞬間、巨大な翼が広がり、空気を押し裂くように大きく羽ばたいた。


その音はまるで雷鳴のように響き、周囲の木々が揺れ、地面の枯葉が渦を巻く。グリフォンの翼は天を裂くほどの力強さを持ち、風が爆発的に周囲に吹き荒れる。思わず目を細め、腕で顔を覆いながらその風圧に耐えた。


グリフォンの体が浮かび上がり、二度、三度と力強く翼を打ちつけるたびに、その巨体はまるで重力を振り切るように上昇していく。黄金の鷲の頭が前方を鋭く見つめ、獅子の力強い胴体は風の流れに乗って滑らかに動く。光を反射する翼の端はまるで刀の刃のように鋭く、空を切り裂く度に周囲の雲が動いていくのが見えた。


やがて、グリフォンは木々の上空を越え、どこまでも高く、空の彼方へと舞い上がっていく。金色の瞳が一瞬だけ下を見下ろし、再び大きく翼を広げ、風に乗った。


夕日に照らされた翼が赤く輝いて見える。まるで太陽そのものに帰っていくような、神々しい光景だった。


最後に一度、グリフォンが高空で旋回する。その影は大地に大きな輪を描き、やがて風と共に遠くの空へと羽ばたいていく。


3日かかった道もグリフォンなら半日でした。

最初からこれに乗っていったら良かったのではとにゃんまるに言うと


「ゆっくり進むのも旅の醍醐味です」


と言われてしまった。たしかに楽しかったけども。

街でそのまま降りると騒ぎになるので手前で降りてまずはギルドへ、カイロンの元へ行き経緯を話すと今度はゼファルトの元へ。偉い人達にすんなり会えるのはにゃんまるだからだろう。本来はカイロンもゼファルトも会うのにアポをとって数日かかるとか。世界の守護者たるにゃんまるだから成し得るのである。


ゼファルトは話を聞くと国王へ伝える。そして後日国王に謁見することとなった。


「スピード感ヤバすぎてついていけない」


「それくらい緊急ということです、今回の場合はこちらで子火竜を保護するというのが議題です」


首都エルレインへは馬車で1日。にゃんまると共にまたゆっくり旅である。所謂転移魔法もあるらしいが、謁見するまでに時間がかかるとのことなのでどうせならと馬車になった。ふとこの世界の乗り物について気になったのでにゃんまるに聞いてみた。教えてにゃんまる先生その二が始まる。


「にゃんまる、この世界の乗り物ってなにがある?」


「そうですね、たえば......」


にゃんまるは様々な乗り物を教えてくれた。

大きく分けると馬にはじまり、ストライダー種、バイソン種、竜種、幻獣種、その他となるらしい。

馬が一般的な乗り物でストライダー種というのはスピード特化でダチョウに似た見た目をした鳥型生物、バイソン種は長距離や荷運び特化の牛型の生物。軍用となるとワイバーンなどの竜種、にゃんまると乗ったグリフォンなどが幻獣種にあたる。多種多様な乗り物系生物がいるらしい。


ストライダー種と竜種はレースがあるらしく、王都で人気を博しているらしい。競馬みたいなものだろうか。ショートとロングに別れ、ショートは短い距離でとにかく速さを競い、ロングは長距離で障害を突破しゴールを目指すレースとのこと。


とても面白そうだ。王都に行ったら見られるだろうか。そういえば騎乗術のスキルがあった。やってみても面白いかもしれない。わくわくがとまらない。


「リオンは竜種で優勝してますよ、スキルを受け継いでいる主なら、いいところまでいくかもしれませんね」


にゃんまるには考えが筒抜けらしい。クククと笑うにゃんまる。


「そんな目をしていれば何を考えているかは誰でもわかりますよ、せっかくですから謁見が終わったら王都を見て回りましょう」


楽しみが増えた、でもその前に王への謁見。作法とかわからない。とりあえずにゃんまるの真似をしよう。


馬車でかたかたと揺られながら、王都を楽しみに

、心を踊らせながら景色はゆっくり流れていくのだった。

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