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VS 勇者リオン 2

息を整えながら、分身と精霊に再び目配せを送った。三人の息遣いが乱れている中、リオンは膝をついたままゆっくりと立ち上がる。その目には闘志の炎がさらに強く宿っていた。


「素晴らしい連携だった。だが、真の勇者に届くにはまだ遠い」


リオンは剣を地面に突き刺し、そこから放たれるエネルギーが周囲の空間を震わせた。地面がひび割れ、光の奔流が彼の身体を覆う。


「次は、こちらから行く」


その言葉とともに、リオンが懐に飛び込んできた。その速度は目に見えないほどで、分身が咄嗟に間に入るものの、一閃の剣圧によって消し飛ばされてしまう。


「くっ!」


後方に跳んで距離を取るが、リオンの剣がなおも追ってくる。精霊が光の盾を展開して防御に回るも、その盾ごと切り裂かれる勢いだった。


「まだだ!」


両手のダガーを逆手に持ち、辛うじて受け流す。その衝撃で腕がしびれるが、彼は食いしばった。


精霊が光の矢を放ち、リオンを攻撃する。その一撃が肩に命中し、彼の動きを一瞬止める。しかし、その隙を突こうとした動きもまた、一喝で止められた。


「甘い!」


リオンの剣が地面を叩きつけ、巨大なエネルギーの波が襲う。しかし、ここで猫鏡写姿を再び発動。黒い光のエフェクトが渦巻き、複数の分身が現れてリオンを取り囲む。


「今だ!」


精霊が最後の力を振り絞り、リオンの剣を光の鎖で封じ込めた。その一瞬、すべての魔力を込めた一撃を放つべく、両手のダガーを交差させた。


「これが全力だ!」


猫爪最夜!


ダガーから放たれる闇と光のエネルギーが螺旋を描き、勇者の胸に突き刺さる。爆風が巻き起こり、視界が真っ白になる。

静寂が訪れた時、リオンは片膝をつき、肩で息をしながら微笑んだ。


「見事だ。主君は本当に強くなった」


リオンの剣は地面に突き刺さったまま動かず、その表情には敗北の悔しさよりも、次世代の強者への期待が込められていた。


「また会おう――」


リオンの言葉が途切れ、彼は静かにその場に伏した。膝をつき、精霊の肩に手を置いて立ち上がると、分身も再び光の粒となって消えていった。


これで試練は終了だろうか。今回も学びが多い戦いだった。またひとつ強くなった気がする。リオンがいた場所には結晶石が落ちていた。大事に懐にしまう。


ふと気がつくと、いつの間にかにゃんまるとリセラがいた。


「主、ついにやりましたね。試練を超えたものにはご褒美があります。こちらへ」


にゃんまるとリセラは歩き出す。


静寂に包まれた神殿の奥に小さな泉があった。泉の底へ手に入れた結晶石をそっと入れると、水はゆっくりと渦を描きながら石に吸い寄せられ、そこから生まれた光の柱が天へと伸びる。


その中から現れたのは、漆黒の毛並みと黄金の瞳を持つケットシーだった。

ケットシーは優雅に光の中を歩み出ると、目をじっと見つめた。声を出しているわけではないのに、言葉が直接心に届いてくる。


「汝、この契約の意味を知るか?」


喉を鳴らすような静かな緊張感を覚えながらも、頷いた。その瞬間、結晶石が砕け散り、無数の光の欠片がケットシーを包み込んだ。光の欠片は猫のような形を描きながら空間を漂い、やがて胸元に集まる。


「ならば、我と共に行こう」


ケットシーが高らかに宣言すると、胸の中に新たな力が流れ込むのを感じた。それは温かく、それでいて鋭い刃のような感触だった。その存在はどこか軽やかでありながらも、確かな力を持っていることを感じさせる。ケットシーは肩にのりこむ。


その姿からしてただの猫とは一線を画していた。漆黒の毛並みは夜そのもののように深い闇を纏い、微かな光すら吸い込むかのようだ。その瞳は黄金色に輝き、見る者を射すくめる威厳と、どこか底知れぬ知恵を感じさせた。


その体は猫特有の優雅さを持ちながらも、動くたびに発する空気は猛獣のように鋭い。耳先はほんのわずかに尖り、しっぽはまるで霧が揺れるように静かに漂っている。その姿からは、ただの動物とは異なる異世界的な存在感が漂っていた。


歩くたびに足元から細かな光が漏れる。よく見るとそれは小さな猫の足跡を模した光の粒であり、彼が進む道を辿ることができそうだった。


彼の発するその言葉が直接心に響くように届く。その言葉には力が宿り、聴く者の心を深く揺さぶる。古の契約と魔法の守護者として語り継がれる存在であり、その体に秘めた力は計り知れない。


ケットシーはただの生き物ではない。それは、運命を司る者の化身であり、契約者を試し、導き、共に戦う仲間でもあった。その存在は、共に歩む者に計り知れない試練と、それ以上の価値をもたらす。


にゃんまるがケットシーに触れると気持ちよさそうにケットシーは目を細めた。


「ケットシーは魔法と予知に非常に優れた精霊です。必ず主の助けとなるでしょう。まずは1度街に戻りましょうか」


こうして神秘の谷を後に街へと戻るのだったーー。


家の門でヴァルターが静かに家主の帰りを待っていた。


「おかえりなさいませ、主様、にゃんまる様。お帰りをお待ちしておりました。リセラもご苦労様です」


リセラは静かに腰を折り礼をする。

にゃんまるはヴァルターへ書類を渡した。


「ただいま戻りました。留守の間何かありましたか?」


ヴァルターは答える。


「いいえ、何事もなく」


「それはなによりです。こちらはキングオークについての書類です。素材はマジックバッグに入っていますのでカイロンさんへ届けてください」


承知しました。と、マジックバッグと書類を受け取りヴァルターは街へと向う。

試練と戦っている間ににゃんまるはキングオークを倒していたらしい。たぶんめちゃくちゃ強いやつ。

すこし戦ってみたい気はする。まあ倒されてしまったが。


部屋に戻るとベッドに倒れる。ケットシーは頭の上で座っている。


「主様、ちょっと休むにゃ」


ふんわりと暖かな空気に包まれる。とても心地よくケットシーのさわり心地もとてもよかった。

身体と精神が限界だったのか、その声とともに深い眠りに落ちるのだった。


目が覚めると外は既に暗く星が輝いていた。身体がとても軽い。戦いよってできた傷も治っている。ケットシーが目を覚ましたのに気づくと顔を覗いてきた。


「主様起きた。身体の具合はどうかにゃ?」


ケットシーを撫でながら時間がどれくらい経ったのか考える。


「君が傷を治してくれたのか?ありがとう、とても身体が軽くなったよ」


撫でられるのが嬉しいのか目を細めながらゴロゴロと喉を鳴らしている。すこしにゃんまるとの生活を思い出す。


「契約の時はもっとこう、厳格な感じだったけどこっちが本来の姿なのか?」


目を大きく開くと首を上下にふる。


「そう、こっちのが楽ちんですにゃ」


へんに壁があるより楽なのでそれには賛成だ。

なによりめちゃくちゃ可愛い。

しばらくケットシーと戯れていると、ノックが聞こえる。


「主様、お目覚めでしょうか。お夕食の準備が出来ておりますがいかがいたしましょう」


リセラが扉の前で返答を待つ。


「わかりました、直ぐに行きます」


返事をしてベッドからおり、立ち上がるとケットシーは肩に乗る。マスコットキャラクターのようで、そんな姿も可愛らしかった。お腹も鳴いている。

急いで下へと階段を降りていくのだった。

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