ギルドマスターが勝負をしかけてきた
ギルドの闘技場ーー。
「主、これを」
にゃんまるは一対のダガーをくれた。
しなやかな曲線を描き、その刃はまるで猫の鋭い爪を彷彿とさせる形状をしており、細く、しなやかに曲がりながらも、先端は驚くほど鋭利だ。光を浴びるたびに、刃の表面にさりげなく彫り込まれた猫の瞳の模様が浮かび上がり、不気味な美しさを放つ。
「これは……ただの武器じゃないな」
鍔の部分には小さな三角形が両端についており、まるで猫の耳のようだ。その黒曜石が埋め込まれた耳は、光を反射して夜闇でもほのかに輝き、持ち主の存在を静かに主張している。柄は猫の尾をイメージした曲線でデザインされており、革で巻かれた部分には小さな足跡模様が刻まれている。その触感は心地よく、戦闘中でも滑りにくい。
柄の末端には猫の瞳のような宝石が嵌め込まれていた。その宝石は見る角度によって青、緑、金色へと変化し、まるで生きているかのような不思議な輝きを持つ。戦闘の緊張感が高まる中、魔力を込めると、その宝石が静かに光を放ち始めた。
「この武器……俺に馴染む」
全体の色合いは黒と銀を基調とし、冷たさと優雅さが絶妙に融合している。それはまるで、夜闇をしなやかに駆け抜ける猫そのものだった。その姿を見て、誰もがこのダガーがただの道具ではなく、共に運命を切り拓くための象徴であることを感じ取るだろう。
ダガーを握り直し、ゆっくりと構えた。その瞳には、静かなる決意が宿っている。この武器と共に、自分の道を切り開いていけそうだ。
「主はスピード重視の戦い方が合っているかと思います。私が愛用していたものですが、主に使っていただきたい。名をナイトクローといいます。」
ダガーを握りしめギルドマスターと対峙する。
広々とした闘技場に立つギルドマスターの姿は、まるで山のように動じない威圧感を放っていた。彼は巨大な片手剣を軽々と肩に担ぎ、その鋭い目見下ろしている。その視線だけで、膝が震えそうになるほどの圧力を感じた。
「さあ、見せてみろ。お前の力がどれほどのものかをな」
その言葉と共に、ギルドマスターが大地を踏みしめた。その一歩だけで地面がわずかに揺れ、周囲に砂塵が舞い上がる。重心を低く構えた彼の体は、まるで獣が獲物を狙うような鋭さと力強さを備えていた。
両手に握ったダガーを構えた。軽く、速い動きを可能にするその武器こそ、ギルドマスターの圧倒的なパワーに対抗する唯一の手段だった。だが、次の瞬間にはギルドマスターの剣が目の前に迫っていた。
「速い……!」
ギルドマスターの動きはその体格に似合わず俊敏だった。片手剣の一撃は風を切り裂き、紙一重でかわすも、その衝撃波だけで体が数歩後退させられる。
「防戦一方では意味がないぞ!」
ギルドマスターは容赦なく次の一撃を放つ。主人公は回避のみに専念するが、ギルドマスターの剣はその全てを追い詰めてくるようだった。
「くっ……!」
だが、ただ防御しているだけでは勝てないと悟る。低い姿勢を保ちながらギルドマスターの懐に飛び込んだ。ダガーを鋭く一閃させ、彼の脇腹を狙う。
しかし、それすらもギルドマスターは片手で受け止めた。巨大な剣を逆手に持ち替え、反撃を仕掛けるその動きには、まるで熟練の舞い手のような滑らかさがあった。
「悪くない。だが、まだ甘い!」
その声と共に、ギルドマスターは剣を振り下ろした。即座に飛び退き、振り下ろされた剣が地面に激突すると、地面が砕けて砂煙が舞い上がる。
本気でいかないとやられる。スキルを出し惜しみしている暇は無い。
猫足瞬歩!
一瞬消え背後に回り込み、ダガーで斬撃を放った。
「ほう、やるな。」
ギルドマスターの低い声が響く。その表情には満足げな笑みが浮かび、巨体を軽くひねって攻撃を回避すると、再び向き直る。
「そのダガー、よく馴染んでいるな。速さと技巧だけでどこまで食い下がれるか、見せてもらおうか」
息を整え、ダガーを構え直す。
ギルドマスターを観察する。彼の剣さばきは力強いだけでなく正確で、少しの油断でも命取りになると分かっていた。しかし、相手の巨体を活かした広範囲の攻撃には、細かい隙間が必ず存在する。
「速さを信じるしかない……!」
砂煙を蹴り上げ、一気に間合いを詰めた。正面から突っ込むと見せかけ、ギリギリで方向を変え、ギルドマスターの死角である右側に滑り込む。ダガーが鋭い弧を描き、彼の脇腹を狙うが――
「見え透いている。」
ギルドマスターはその場で剣を回転させ、あっさりと攻撃を弾き飛ばした。その衝撃で数メートルも後方に吹き飛ばされ、地面を転がる。
「ぐっ……!」
体を起こそうとすると、ギルドマスターの重い足音が近づいてくる音が響く。彼は悠然とした足取りで前に立ち、剣を肩に担ぎながら言った。
「力で俺に勝てると思ったなら、甘すぎる。それでも、まだ立つ気か?」
唇を噛みしめながら、よろよろと立ち上がった。ダガーを握る手は震えているが、その瞳には諦めの色は見えない。
地面を蹴り上げて再び突進した。だが、今度は攻撃のタイミングを変え、ギルドマスターの目を欺くようにフェイントを混ぜた動きで翻弄する。小柄であることを最大限に活かし、低い姿勢で相手の懐に潜り込む。ギルドマスターは剣を振り下ろそうとするが、その巨体ゆえの一瞬の隙をつく。ダガーがギルドマスターの足元を狙い、鋭い一撃が放たれる。
「ふむ、少しずつ戦い方が板についてきたな」
ギルドマスターはその攻撃を最小限の動きで避けると、今度は片手剣を後方に構えた。
「次が最後だ。全力でこい」
その言葉に、体中に緊張と高揚感が走る。これはただの訓練ではない――自分の限界を超えるための試練なのだと悟る。
最後の力を振り絞りナイトクローを力強く振り下ろした瞬間、その黒い輝きを帯びた刃は、まるで夜空を引き裂くような威圧感を放ちながら、ギルドマスターに向かって突進していった。闇の魔力が渦を巻き、刃先が空気を切り裂く音を立て、すべての力がその一撃に込められている。
だが、ギルドマスターは動じることなく、冷徹な目でその一撃を見据えていた。静かに立ち尽くし、足元をしっかりと踏みしめると、彼はゆっくりと手に持った大剣を構える。その剣の刃は長く、厚みもあり、まるで山を切り裂くかのような威圧感が漂っていた。
「悪くない」
全力を込めた一撃が、ギルドマスターの大剣に向かって振り下ろされる。しかし、ギルドマスターは驚くべき速さで剣を振るい、両手でその大剣を構えた。刃の先がナイトクローの刃と激しくぶつかり合う瞬間、衝撃が全身に走り、体が一瞬だけ弾かれる。
鋭い金属音が響き渡り、両者の刃が激しく火花を散らす。その反動で後ろに飛び退くが、ギルドマスターの大剣はそのまま真っ直ぐに構えられ、動じることはなかった。
「ふっ……」
ギルドマスターは冷静に息を吐きながら、ゆっくりと立ち上がる。その表情には、まるで予測していたかのような余裕が感じられる。
ギルドマスターの目が、じっと見つめる。
「だが、剣を振るう者は力だけではなく、心も合わせて磨かなければならない」
その言葉を胸に刻みながらも、剣を握り直し、再び構えた。無駄に力を振るうのではなく、心の力を込めて戦わなければならない――その大切さを痛感しながら、次の一撃を狙う。
だが、ギルドマスターは再度、剣を一歩引いて構え直した。
「今日はここまでだ。ただし、今の一撃に込められたお前の覚悟を無駄にしないよう、戦い続けることを考えろ」
その言葉に、しばらく黙って考え込み、そして静かに頷いた。
「よくやった。お前にはまだ伸びしろがある」
ギルドマスターの言葉には、確かな信頼と期待が込められていた。息を整えながらも、その言葉に胸の奥が熱くなるのを感じた。この戦いは、成長へと繋がったのであった。
にゃんまるの表情もどことなく嬉しそうである。
《猫爪最夜を獲得。強烈な斬撃を放つ。闇の力が刃に凝縮され、まるで夜空を裂くような速度で放たれる一撃。》
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