ギルドへ行きます
戦闘訓練を終え、疲労感とともに達成感を感じていた。にゃんまるとの剣戟、魔力を扱うための練習、そして自身の成長。それらを振り返りながら、屋敷の窓から外を見つめる。そこには広がる広大な森と、その向こうに霞む山々があった。
「戦闘訓練の成果は上々ですね。次の段階へ進みましょう」
にゃんまるが背後から静かに話しかけてきた。
「次の段階……?」
振り返ると、にゃんまるは深く頷く。
「はい。戦う力だけでは、本当の危機には立ち向かえません。次は、旅に出て実際の戦闘や未知の環境に身を置く必要があります。特に、光と闇の力を完全に制御するには、特定の地での修行が不可欠です」
にゃんまるの言葉に耳を傾けると、横に立つエルフのメイド、リセラも口を開いた。
「私も同行いたします。旅の準備は既に整えてあります。まずは森を抜けた先にある『神秘の谷』へ向かいましょう。そこには、光と闇の均衡に関する重要な手がかりがあると言われています」
にゃんまるが続けて説明する。
「『神秘の谷』には、勇者が訪れた『試練の泉』があります。その泉に触れることで、力を深めることが可能でしょう」
その話を聞き、拳を握り締めた。
「わかった。行こう、試練の泉に」
次の日の朝ーー。
「神秘の谷に行く前にギルドに寄っていきましょう。この機会に主も登録しておきましょう」
小説でよく聞く言葉が出てきた。
「ギルドって依頼こなして金を稼ぐとこ?」
にゃんまるは頷きカードをみせてくれる。
そこには名前やらアルファベットが書いてある。
「概ねその認識で大丈夫です。これがギルドカード、身分証みたいなものです」
ということで来ましたギルド。
石造りの建物は、ギルドと呼ばれる冒険者たちの拠点だ。外観は古めかしくも威厳があり、入り口の上には巨大な盾と剣が交差する紋章が掲げられている。近くに立つだけで活気と熱気が感じられる場所だった。
扉を押し開けると、中には広々としたホールが広がり、天井の高い空間に灯された魔導ランプが柔らかな光を放っている。正面には掲示板があり、そこには大小様々な依頼が貼り付けられている。「魔物討伐」「薬草採取」「失踪者の捜索」といった内容が色とりどりの紙に記され、冒険者たちが次々と目を通していた。
ホールの中央には長い木製のテーブルが並び、そこで冒険者たちは装備を整えたり、地図を広げて作戦を練ったりしている。酒の香りと笑い声、時折響く武器がぶつかる音が混ざり合い、騒がしいがどこか心地よい雰囲気を醸し出している。
カウンターではギルドスタッフが依頼の詳細を説明したり、報酬を計算している。そこに立つ受付嬢は、冒険者たちの熱い視線を受けながらも、冷静に仕事をこなしていた。彼女たちの制服は深緑のエプロンをまとった簡素なものだが、彼女たちのプロ意識がその場を引き締めている。
ホールの奥には階段があり、上階はギルドの会議室や倉庫、下階は冒険者専用の休憩所や訓練場となっているらしい。特に地下には簡易な闘技場があり、新米冒険者が鍛錬に励む姿がよく見られるという。
壁際には「名誉の壁」と呼ばれるプレートが並び、過去の英雄たちやギルドに多大な貢献をした冒険者の名前が刻まれている。それを見上げる新米冒険者の瞳には、憧れと野心の光が宿っていた。
ギルドはただの組織ではなく、冒険者たちの家であり、彼らを繋ぐ絆の象徴。ここでは誰もが夢を追い、己の力を試し、時に命を懸ける。それがこの場所を特別なものにしていた。
「ギルドへようこそ、今日はどのようなご要件で?」
カウンターにいる受付嬢が微笑む。
にゃんまるがギルドカードを出す。
「ギルドマスターにお会いしたいのでつないでもらえますか?」
受付嬢がギルドカードを確認すると受付嬢の表情が一瞬引き攣ったがそこはプロなのか元の笑顔に戻りにゃんまるへかえす。
「かしこまりました、少々お待ちください」
受付嬢が階段を上がっていく。きもち早上がりな気がする。
「少しあちらで待ちましょう」
にゃんまるがテーブルの方向を指さしたので、移動する。リセラがいつの間にかお茶を用意している。いつもいつ用意したのか分からない。そして美味しい。お茶を楽しんでいるとにやにやと冒険者が絡んできた。おきまり展開というやつだ。
「おい姉ちゃん、こっちにもお茶くれよ」
リセラは目にも入らないという態度で無視をする。
その態度が気に食わなかったのかさらに絡んでくる。
「おい無視してんなよ!」
その瞬間だった。リセラは無表情のまま、その手を軽く振り払った。だがその動きは一瞬で、彼の手が肩から離れた次の瞬間には、男の体が宙を舞っていた。
「うわっ!?」
驚愕の声がホールに響き渡る。リセラの動きはまるで風のようにしなやかで鋭く、一切の無駄がなかった。冒険者は背中からテーブルに激突し、近くにいた他の冒険者たちのジョッキが派手に跳ね飛ぶ。
「痛ってぇ……なんだよ、今の……!」
冒険者は起き上がろうとするが、リセラは振り向きもしない。その背中からは何か冷たい威圧感が漂い、周囲の冒険者たちも一斉に沈黙する。
彼女の耳元でひっそりと囁かれるにゃんまるの声だけが聞こえる。
「お見事です、リセラ」
倒れた冒険者は、そのまま他の仲間に助け起こされながらも、二度とリセラに近づこうとはしなかった。
しばらくすると受付嬢が戻ってきた。
まわりの状況みて察する。受付嬢の冷たい視線で冒険者を一瞥するとにゃんまるへと笑顔を向ける。
「お待たせしました。ギルドマスターが上でお待ちです。」
にゃんまるは行きましょうと言い歩みを進める。その後をリセラと追う。
「そうでした、主。ひとつだけ、ギルドマスターは少し変わってますが悪い人ではありません。そしてバトルマニアです。おそらく勝負を挑まれるでしょう。受けてください」
ちょっとまってくれ、それは聞いてない。
心の準備がまだできてない。あ、まって。
かるくパニックになっていると気づけば扉の前。
にゃんまるがノックをすると、中から重みのある低い声が聞こえる。
「はいってくれ」
扉を開けると一人の男が座っていた。
ギルドホールの奥、厚い木製の扉を開けると、そこには重厚な空気が漂う部屋が広がっていた。木目が美しい長机と、それを囲む数脚の椅子。そして、その中央にどっしりと腰を下ろしているのがギルドマスターだった。
男は屈強そのものだった。人族特有の筋骨隆々とした体躯は、鎧を着ていなくても戦士としての迫力を放っている。肩幅の広い姿勢で椅子にもたれかかるように座りながらも、全く隙を感じさせない。
彼の顔にはいくつもの古傷が刻まれ、そのひとつひとつが戦いの日々を物語っていた。太い腕を組み、鋭い眼光がこちらをじっと見据えてくる。その瞳には経験と知恵、そして計り知れない力が宿っていた。
「お前が例のやつか?」
低く響く声が部屋にこだまする。その声だけで、彼がこれまで数えきれないほどの命を左右してきた人物であることが分かる。
彼の足元には巨大な片手剣が無造作に置かれていた。使い込まれたその剣には数多くの欠けがあり、これまでにどれほどの敵を切り伏せてきたのか、想像するだけで背筋が震える。
ギルドマスターは一瞬こちらを観察するように目を細めると、ふっと小さく笑みを浮かべた。だが、その笑みにはどこか威圧感があり、軽々しく見せるものではないと分かる。
「まあ、ここに来たからには覚悟はできてるんだろうな。闘技場にこい」
彼の声が再び響く。まるで試されているような気がしたが、その中に一種の信頼の気配も感じられた。この部屋とギルド全体を支える存在、それが目の前にいるギルドマスターだった。自然と背筋が伸びる。
「お、おす....」
有無を言わさずだ。答えは「YES」か「はい」しかない。にゃんまるはほらねと言わんばかりの顔で楽しそうにしている。こちらの世界ににきて戦わされてばっかりな気がするが気にしたら負けだろう。
正直ジルバより強いと思う。これも修行だと思ってやられにいこう。何事も経験だ、猫癒掌もある。死ぬことは無いはずだ。たぶん。
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