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竜騎士への道 9 訓練編

訓練所の広場に立ち、「夜影竜槍」をしっかりと握りしめた。背後にはアークが静かに佇み、その鋭い黄金の瞳で見守っている。


「では、訓練を開始します。まずは、竜に騎乗した状態での武器の扱いを確認しましょう」


黒騎士はヴォルガリオスの背に乗りながら、静かに言葉を紡いだ。


ヴォルガリオスはその漆黒の巨体を震わせるようにして地を蹴り、風を巻き起こしながら空へ舞い上がった。その動きには迷いもなく、圧倒的な力を見せつける。


アークが低い唸り声を上げながら一歩前に進み、首を低く垂れた。


「頼むぞ、アーク」


アークの背に飛び乗り、槍を握り直す。その瞬間、アークの翼が大きく広がり、強い風を巻き起こしながら空へと舞い上がった。


「竜に騎乗した状態では、槍の重さと竜の速度をいかに調和させるかが重要です」


黒騎士はヴォルガリオスの背から声をかける。

ヴォルガリオスはゆったりとした旋回を続けながら、黒騎士の指示に合わせて動きを見せる。


「例えば、この槍の突き方。竜のスピードを活かしつつ、攻撃後の動作を迅速に行わなければ隙が生まれます」


黒騎士が実演を交えて解説すると、アークの背で姿勢を正しながら槍を構えた。


槍を上から突き下ろす、横から薙ぐ、旋回しながら攻撃する。空中での訓練は地上での感覚とは全く異なり、アークの動きに合わせることの難しさに、主人公は何度も息を呑む。


「突きの角度は良いですが、攻撃後の回収動作が遅れています。その隙に反撃を受ける恐れがあります」


「分かった!」


再び槍を構え、黒騎士の指摘を意識しながら動きを修正していった。


「次は実戦形式の訓練です。ヴォルガリオスが敵役を務めます。攻撃を防ぎながら反撃のタイミングを探ってください」


黒騎士が指示を出すと、ヴォルガリオスが鋭い動きで向かって迫ってきた。その巨大な翼が巻き起こす風圧にアークが一瞬バランスを崩しかけるが、冷静に指示を送り、体勢を整える。


「やっぱり空中戦は想像以上に難しい…!」


槍を構えながらアークの動きに集中した。


ヴォルガリオスは高速で旋回しながら攻撃の隙を伺うように迫る。その姿に緊張感が走るが、主人公はアークと共に動きを合わせ、槍を構えてタイミングを測る。


黒騎士は遠くから冷静に見守りつつ、合間にアドバイスを送る。


「いい動きです。アークとの連携を意識して、次は突きのタイミングを早めてみましょう」


言葉を胸に刻み、ヴォルガリオスの虚を突こうと槍を振るった。風を切る音とともに、空中戦の訓練が続いていく。


訓練は時間をかけて続き、何度か模擬戦を繰り返した後、黒騎士が手を挙げて終了の合図を送った。


「ここまでです。本日の訓練は終了とします」


ヴォルガリオスは距離を取り、ゆっくりと地上へ降り立った。その後を追うように、アークも滑空して無事に着地する。アークの背から飛び降りると、軽く背を撫でながら声をかけた。


「お疲れ様、アーク。今日もありがとう」


アークは低く鼻を鳴らし、安心したように体を伸ばした。その姿を見て自然と微笑む。


一方で、黒騎士がヴォルガリオスから降り立ち、主人公のもとに歩み寄った。


「本日の訓練、とても良い内容でした。特に竜との連携は初めてとは思えないほどスムーズでしたね」


黒騎士は柔らかい声でそう言いながら、軽く頭を下げた。


「ありがとう。でも、まだまだ動きが鈍いところもあったし、槍の扱いも完璧とは言えない」


謙虚に答えつつ、夜影竜槍の刃先を見つめる。黒騎士は少しだけ微笑みを浮かべながら言葉を続けた。


「ですが、焦る必要はありません。空中戦は地上とは全く異なる戦場です。今後の訓練で確実に成長していけるでしょう」


その言葉に軽く頷き、槍を握り直す。


「分かった。次回もよろしく」


訓練が終わり、アークの体を再び撫でながら語りかけた。


「空中での動きはまだ慣れていないけど、君の助けがあれば何とかなる気がするよ」


アークは言葉を理解しているかのように、低い唸り声を上げながらゆっくりと目を閉じた。その温かい反応に、主自然と笑みを浮かべる。


「本当に頼もしい相棒だな」


そう言って、アークの首元を優しく撫で続けた。

遠くで見守っていた黒騎士も、その様子を静かに見ていた。


「良い竜だ。そして、それを扱う者もまた良い主ですね」


黒騎士は静かにそう呟くと、ヴォルガリオスのもとへ戻り、彼もまたその背を撫でながら微笑んでいた。空は赤く染まり、訓練所に穏やかな夕日が差し込む。夕日が地平線に沈みかけた頃、黒騎士とヴォルガリオスは影に戻り、訓練所を後にする準備を整えた。


「本日の訓練、非常に有意義でしたね」


黒騎士は影から静かに言葉を投げかけた。


アークの背で体勢を整え、槍を背に収めながら応える。

「やっぱり空中での戦闘は難しいけど、少しずつ感覚が掴めてきた気がする」


黒騎士はその答えに満足げに頷きつつ、付け加えた。


「それに、アークの協力があれば地上戦よりも広い視野を持てるようになるでしょう。あなたの戦い方に合わせた空中戦術をさらに磨いていけば、確実に強力な力となるはずです」


槍を握り直しながら微笑む。


「アークともっと息を合わせられるように努力するよ」


黒騎士は満足そうに頷く。アークに声をかける。


「帰ろう、アーク。今日の成果を少し振り返りたいしね」


アークは低い鳴き声を上げると、大きな翼を広げ、一気に空へと飛び立った。夜空には星々が瞬き始め、柔らかな月光が照らしていた。アークはを静かに飛ぶ。


「月の光に照らされると、アークの鱗がまるで黒曜石みたいに輝くんだな」


アークの背で呟いた。その声は空に溶け、アークの耳元へ届く。


アークは一度だけ振り返り、見つめるような仕草を見せた。その瞳の輝きに、自然と微笑む。


黒騎士は影から再び話しかける。


「夜空に浮かぶあなた方の姿は、まるで影と光が織り成す調和のようですね」


その言葉に答える代わりに、静かに夜影竜槍を握り締めた。


「この槍も、アークも、大事なものだ。これからも大切にしていこう」


心に新たな決意が芽生え、再びアークの背を軽く撫でた。空を飛ぶ竜。その背に、未来への希望が灯っていた。訓練の終わり


夜風が静かに吹き、訓練を終えアークの背に乗ったまま拠点近くの草原に着地した。地上に降りると、影が微かに揺れ、黒騎士の低い声がそこから響く。


「本日の訓練、お疲れさまでした」


影に視線を落としながら微笑む。


「黒騎士、ヴォルガリオスもありがとう。おかげで空中戦の槍の使い方がだいぶ分かってきたよ」


黒騎士の声が静かに続く。


「夜影竜槍のポテンシャルを十分に活かすには、さらにアークとの連携を深めることが重要です。この槍とあなたの技、そしてアークの力が一つになれば、恐らくこの世界でも唯一無二の力となるでしょう」


槍を見つめ、小さく頷く。


「確かにアークと一緒に動くのってまだまだ難しいけど、きっと慣れたらすごい力になるよね」


影から黒騎士の落ち着いた声が響く。


「そうです。私も、ヴォルガリオスも引き続き全力でサポートしますので、共に成長していきましょう。」


軽く伸びをして、アークの頭を優しく撫でた。


「これからもよろしく頼むよ、アーク。そして黒騎士もヴォルガリオスもな」


影が揺れるように静かに返事をし、再び沈黙に包まれる。アークに手を引かれるようにして拠点へと歩き始める。影は常に彼の足元に寄り添い、月明かりの下で穏やかに揺れていた。


「さて、今日はゆっくり休もうか。まだまだ練習は続くけど、少しずつ慣れていこう」


アークが軽く鼻を鳴らし、同意するような仕草を見せる。その姿に微笑みを浮かべながら、夜空を見上げた。


星々が静かに輝き、彼らの未来を照らしているようだった。

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