宇宙の、
早く来い早く来い早く来い。
とにかくお金を稼ぐためバイト募集の通知
まつ
しかしあれ以来全くそんな変なメールは来ない。
あれから1週間何も来ない。
その間ゲームの調子もいまいちだ。
そんな無為な1週間を過ごしていたある日スマホに通知がやって来た。
【emergency】
きたきたきたー!
さあ今回はどこに行けばいい?
画面をクリックする。
【危険任務】
危険...なんか不穏な単語が見える。
しかしその下
危険手当あり
手当あり
手当あり、行くしかない。
場所は?
前回と同じなんだろうあの場所は宇宙人を呼び寄せる何かがあるんだろうか?
さっそく指定の場所に行く。
誰かいる。
女子だ。
しかもうちの学校の制服。
嫌だな、なんでこんな所にいるんだ。
変なスーツとか着ているところ見られたくないしこんなバイトしているのもバレたくないし
物陰からそっと様子をうかがう。
金髪、長髪短いスカート、ギャルっぽい感じ、苦手なタイプだ。
顔は...知ってるこの女子知ってる。
同じクラスの環奈崎さんだ。
同じクラスと言うだけで話をしたことはない。
多分向こうは僕の存在を認識していないし僕は知らない人なんだと思うが。
しかしなんでこんな所にいるんだろうか
まさか彼女が宇宙人?
突然スマホが鳴りアリサさんの立体画像か空間に映し出される。
「何やってるの?早く行きなさいよ。先輩かあそこで待っているんだからちゃんと挨拶してきなさいよ。」
「先輩?何の?誰が?」
「あそこに立ってる環奈崎玲奈に決まってるじゃない」
「あれアリサさん、なんでそっちにいるのぉ?」
環奈崎さんがこっちに向かって歩いてくる。
「えぇ〜?アリサさん?まさかとは思うけど今回の任務この子とやるのぉ?」
「そうよ今日の玲奈のパートナーよ。しっかり面倒見てね。」
「えぇっ〜なんか嫌なんだけどぉ超頼りなさそうじゃん。」
「そんな事言わないでちょうだい。玲奈なら大丈夫でしょ?使えない新人がパートナーでもちゃんとやれるわよ」
「えぇ〜でも今回凶悪犯の確保でしょぉ?ちょっと厳しくない?」
「あの凶悪犯って?」
「えぇ何そこからぁ?ちゃんとスマホの通知に書いてあったでしょぉ?凶悪犯確保の任務ってぇ?」
「そうね書いてあったわね。ちゃんと読んだわよね」
「見てない」
「えぇあたしでもちゃんと見てるのに見てないのぉ?アリサさんこいつだめじゃない?」
「うーん大丈夫よ。仕事はちゃんとするはずだから多分」
「多分ーー?絶対不安〜」
「まあ今日他に人いないし玲奈なら大丈夫よ」
なんかずっとディスられてる。
「さっ装備転送するからちゃんと準備して」
転送されてきた装備を身につける。
概ね前回と一緒だ。
違うのは武器が銃ではなく剣ビームサーベル的なやつだ。
剣は剣でテンション上がる。
ちょっと振り回してみる。
よりテンションが上がる。
「ちょっとちょっと危ないじゃないのさぁそんなもん振り回さないでよぉ」
環奈崎さんに怒られてしまった。
環奈崎さんが手にしているのはライフル
僕が前衛ってことか
さあ今日はどんな奴が来る?
「ちょっとあんた、そろそろ敵が来るから隠れるわよ」
「敵?今回は何が来るの?」
「あんたほんとに何も知らないのねアリサさんちょっとどうにかしてよぉ」
「しょうがないわね説明するとね。今回のターゲットは密猟者の捕獲、地球人をさらう密猟者当然殺しも厭わない連中よ」
「えっ?危なくないですか?」
「もちろん危ないわよ結構な確率で死ぬわね」
「えっ?」
「当然じゃない?でも報酬も抜群よぉ」
それは魅力的だが
「話はおしまいもうすぐ来るわよ2人とも配置について」
「はーいじゃあんたその辺にいて敵が来たら対応して、あたしはあっちの物陰にいるから」
やはり僕だけ最前線・・・不安だ。
しばらく待つと空が暗くなる。
カプセルっぽいものが空から落ちてきた。
そっと地面に降り立ったそれは2つに割れて中から筋肉質な何かというか筋肉、マッチョな男性が2人が出てきた。
2人ともサングラスをしている。
そっと環奈崎さんのほうを見るとうなずいている。
あれがターゲット
「やっと着いたな。さっさと生きのよさそうなやつをとっつ構えて帰ろうぜ」
「そうだな仕事は早いに越したことはない」
2人の視線がこちらに向いた。
「ちょっと品粗だが若い、手頃なんじゃないか?」
「そうだなちょうどいいとりあえずそいつを確保しておこう」
品祖・・・お世辞にも褒められた体ではないしマッチョの前で品粗だが失礼な。
品粗だと思うならせめてそっと見逃してほしいものだが・・・。
僕は剣を構える。
「おいおいこの少年は何か抵抗しようとしているぞ」
「無駄だな。やめておけ抵抗しても無駄おとなしくしておけ」
確かに普段ならこんなマッチョに抵抗しようとか戦いを挑むとか絶対ないんだけど今は違うこのスーツに剣がある。
剣を握る手に力がこもる。
そして一気に間合いを詰め切りかかる。
剣は手前にいた男にあたる。
あたるがまったく切れない。
「なんだそれは?何をしている?」
ヤバい全然効いてない。
「わあっー!!!」
とにかくめちゃくちゃ剣で斬りつけてみた。
「なんだこれマッサージにもならないぞ」
男の手が僕の方に伸びてきて首をつかみ持ち上げた。
苦しい。
必死に振りほどこうと剣を振り回し暴れてみるもどうにもならない。
ちょっと苦しい。
ビームサーベルのビームが消えた。
どうして?
「あっアリサさん剣が...」
「あ~言い忘れたけどそれ君の生命エネルギーを消費してビームが出てるから体力無くなったり死にそうになったりすると消えちゃうわよ」
死にそう...確か死にそうだけど
「たっ助けて」
「うーんでも私は所詮映像だし手出しできないんだよね。もうちょっと頑張ってちょうだい。」
ヤバい死ぬ。
意識が遠のいていくその時轟音が鳴り響く
男の手が離れ解放された。
地面に落ちた僕は上を見上げると男の頭がない。
首からは青い血が噴き出し僕に降り注ぐ。
ホラーだ。
環奈崎さんのライフルが男の頭を撃ち抜いたようだ。
もう1人の男が怒り環奈崎さんへ向かって走り出した。
「うぉー貴様!!」
環奈崎さんがライフルを撃つ。
外した。
いやかわされた。
男は距離をどんどんつめていく。
2発目3発目、あたらない。
「くそっちょっとあんたこいつの動き止めなさいよぉ当たらないじゃない」
止めろと言われてもあの巨漢だし無理
事この拳が環奈崎に直撃する。
環奈崎さんの身体が吹き飛ぶ男が追い討ちをかけ環奈崎さんは地面にめり込んだ。
「次はお前だ小僧、生かしてさらっていこうかと思ったがもういい。お前は死ね。」
男が僕の方に向かって歩いてきた。
「このまま死ぬの?最後までちゃんと戦ったら?」
アリサさんの声がする。
でももう無理。
腰抜けた。
おしっこも漏れた。
ゲームの課金のために死ぬことになろうとは...。
「ちゃんと剣を握って!!安全装置を外して赤いボタンを押して!!」
今更何をと思いつつ言われたとおりにする。
ビームサーベルのビームが巨大化し放出される。
「制限解除マックスパワーよ」
これなら
向かってくる男に対して剣を振り下ろす。
「無駄だよ。お前の攻撃は軽すぎる」
構わす向かってくる男
剣が当たり男は消し飛んだ。
助かった。
へなへなと座り込んだ。
ガタッと音がして環奈崎さんが起き上がってきた。
「あんた意外とやるわねぇ。見直したわぁ」
見直したそれは、嬉しいが今は見直す時ではない。
出来るだけ離れて欲しい。
なぜなら漏らしたのがバレてしまうから
「あぁまぁ」
曖昧な返事をする。
どんどん近づいてくる環奈崎さん
「あれ?なんか臭わない?なんか臭いぃ、おしっこのにおいするぅ」
まずい
「えーまさかぁ」
えぇそのまさかです。
「あんた漏らしてる?」
バレてる。
もう顔は真っ赤だ。
前回同様に空から落ちてきた報酬を取り、急いで装備を外し走り去った。
屈辱
でも報酬はもらった。
しかも今回は剣だっただけの事はある桁が1つ違う。
これでゲーム再開して【うさぎまる】にリベンジだ。