叶った夢
夢見る少女のお話です
もし、この足で駆けていけるなら
キラキラと陽射しが差し込む窓の外を眺めていつも夢を見るだけ
でもね、ママが言うの
『願えばきっと叶うのよ』と
だからワタシは毎日お願いするの
"いつかあの綺麗なお外を駆けれますように“って
ワタシの身体は日に日にお人形さんになっていくのよ
今はね、夢の世界を眺める事が精一杯なの
今日はいつもお祈りしてたワタシの両手が動かないお人形さんになっちゃったんだ
明日は夢の世界を見れるかな
夢の世界を見る明日を想いながら更けってしまった夜空を見上げて眠りについた
でも、今日の夜は何だかとっても騒がしいの
パパやママの声がワタシを沢山呼んでいるのよ
もう遅いのよ?近所の迷惑になっちゃうでしょう
けど、ワタシはとっても眠たいから
パパ、ママおやすみなさい。
明日は綺麗なお庭を駆けれる様になってますように
そうお祈りして目を瞑った
どれくらいの時間が過ぎたのだろう
明るい光が瞼の奥の瞳に映った
ああ…、朝になったのね。起きなくっちゃ
ワタシはゆっくりと身体を起こした
動ける…!
驚いたわ!お願い事は叶ったのね!
ママが言った事は嘘じゃなかったの!
もう、お人形さんのワタシじゃない
動けるの!
楽しくて、とてもとても幸せな気持ち!
そう!お庭よ!お庭をこの足で駆けるの!
思っていた通りお外は暖かくて
キラキラしていて
蝶々さんたちが舞い踊り
お花の甘い香りがワタシの小さな鼻腔を掠めて
見て!パパ、ママ!ワタシ走っているの!
自分の足で走っているの!
もうお人形さんじゃない
退屈なお布団の中からはさようなら
でも、どうして?
パパもママも泣いているの…
ワタシね夢が叶ったんだ
この先もこの足で駆けて駆けて遠くへ行くわ
パパとママどうか泣かないで
ワタシを忘れないでいてね
またいつか遠い所で逢う約束をしましょうね
大好きよパパ
大好きよママ
さようなら
届かない言葉をふたりへ告げて
ワタシは遠くへ駆けていった
果たして、叶った夢は幸せだったのか、そうではなかったのか。それは少女次第。分かりやすくしたつもりですが、伝わりますか?伝わったら嬉しいです
考察を重ねてみて下さいね