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がんばるお味噌汁

作者: 八谷響

 豆腐と水で戻したわかめを、鍋に入れる。ことことと煮込み、沸騰したら顆粒ダシを入れる。

 本当は、鰹節とか昆布とか煮干しを使いたいんだけど、やり方がわからない。もっとお味噌汁が上手に作れるようになったら、ちゃんと練習しよう。

 一煮立ちしたら、味噌を溶き入れる。きちんと溶かすのが、実は難しい。しっかりかき混ぜて、溶けたのを確認してから火を止める。

 お椀に注いで、テーブルへ運ぶ。よく吹き冷ましてから、一口飲む。

 ――うん、昨日よりはおいしくなった気がする。

 毎日毎日、いろいろな具材でお味噌汁を作っている。仕事で疲れた日は億劫にも感じるけど、がんばろうと思える理由がある。

 カレンダー。カウントダウンの目印をつけて、どんどん『その日』に近づいているのを確かめる。

「あと三日かぁ」

 ずっと、直接話していなかった。このまま結婚式の日が来たらどうしようって、不安でしょうがなかった。

 やっと会える。あと三日で。

 彼の好きなお味噌汁を、おいしく作って迎えたい。本当に一緒に暮らせるようになったら、毎日作ってあげたい。

 だから、がんばろう。

 お椀に残ったお味噌汁を、私は一気に飲み干した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 飯テロですね。 結婚に向けてお味噌作りの練習をしているけなげさが伝わってきました。
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