表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/46

44 新たな扉

頭を空っぽにしてお読みください。

 お面男もとい飯尾くんの言葉に誘われて、ギャルとお兄さんの方に目を向ける。ちなみに彼らの側には、大人の話し合いに圧倒され、石像と化している先輩がいた。


「……ふん! そこまでお願いするなら、また付き合ってあげてもいいけどっ。でも! 満足させてくれなきゃ、次こそはもう絶対に許さないんだからねっ!」


 ギャルが叫んで。


「ツンデレか」


 飯尾くんが遠くから、小さな声で突っ込んだ。


 恥ずかしそうにそっぽを向くギャルと、その足元にうやうやしくひざまづくお兄さん。まるでわがままなお姫様と、彼女に忠誠を誓う家臣のようだ。


「はい。必ずや期待に応えて見せます」


 なんだか、お兄さんの口調がおかしい。


「杏さま」


(杏さま?!)


「い、飯尾くん! お兄さん、キャラ変わってるよ?!」

「そうらしい。どうやら兄さんは新たな扉を開いたようだ」

「新たな扉……?」


 飯尾くんは腕を組み、1人満足そうに頷いた。


「罵倒やヒール、緊縛……。未知(Michi)の刺激によって開かれためくるめく(MekuruMeku)官能の世界。兄さんは勇敢なる第一歩を踏み出して、あちらの世界の住人になったのだろう。松原(Matsubara)杏と兄さんの間にあった障害は、最早(Mohaya)完全に消え去ったのだ!」

「よくわからない……って、あ! 足にキスしてる! 汚なくないの?!」


 私が焦って飯尾くんのお面の紐を引っ張ると、バチンと弾かれる音とともに、某キャラの顔がこちらを向いた。


「フッ。()()()()には理解できなかったかな。2人が(Mi)たされているなら、良いではないか」


 飯尾くんと私は、暗闇にしけこむギャルとお兄さんの後ろ姿を見送った。


「終わったな……」


 飯尾くんが言う。


「うん、飯尾くん……。 ありがとう」


 私はお礼を返した。


「礼なんて要らない。……おい、センパイ!」


 飯尾くんが石化している先輩を、よく響く声で偉そうに呼びつけた。


「!」


 先輩がハッとして、私たちの方を見る。


「ビシッと決めることだな。咲谷を狙っている男は、実は相当多いんだぞ?」

「……ああ、わかった」

「ではな、アデュー!」


 そして飯尾くんは、お面のまま去っていった。2本指の、無駄にカッコいい敬礼を残して。

魔王飯尾くんもSなので、お兄さんがMになれば、ますます兄弟としてのバランスはとれることでしょう。


次でいよいよ……です♪(/ω\*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ