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14 特訓の成果

「ありがとうございました。これで明日はなんとかなりそうです!」


 結局、逞先輩は、土曜日だけじゃなくて日曜日まで、私の練習に付き合ってくれた。

 バレー部に助っ人に行くこともあるという先輩の教え方は、的確で理論的。動画を撮って一緒に確認しては、客観的に改善すべきところを指摘してくれた。


(これで魔王飯尾くんのしもべにならずに済むかも)


 気分の高揚そのままに、私は1人、天に向かって拳を突き上げた。そのときだった、先輩に呼ばれたのは。


「花」

「え、何ですか?」


 くるりと振り返った私はたぶん満面の笑顔だったと思う。でも先輩は私を見ると、少しだけ苦しそうな顔をした。


「いや、何でもない」

「?」


 語られなかった言葉の先は気になるけれど、結局先輩は私に何も言わなかった。


  * * *


 月曜日の夜。東港町にある『炭火焼肉いいお』からは、明るく賑やかな声が響いていた。


「かんぱぁーい!」

「優勝おめでとう!」


 特訓のおかげで私は無事に任務を全うし、不安材料でしかなかったサーブでは、偶然とは言え、得点に絡むこともできた。

 ネットに当たって軌道を変えたボールが、コートに跳ねたときの興奮。そのドキドキが今でも私の胸に、心地よい余韻となって残っている。

 だって、優勝にほんの少しだけでも、貢献できたんだもん。


「花は本当に頑張ったよねー。よしよし」

「ありがとぉ、亜未ちゃん」


 隣に座る亜未ちゃんが私の頭を撫でると、煙に霞むコート上の戦友も、口々に褒めてくれた。


 そんな私たちのテーブルに近づく細身のシルエット。右手にカルビと牛ロース、左手にお野菜に豚トロ。


 魔王飯尾くん、ここに見参けんざん

先輩は、花と飯尾くんの関係がちょっと気になっているみたいです。

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