姉妹
「お姉ちゃん、先輩に告白してもいい?」
「え?」
「私先輩のことずっと好きで好きで大好きだったの」
「だめ。告白はだめ。」
「何で?」
「...私がするから。」
「私の方が最初に言った。」
「知らないよそんなこと。私の方が果歩より先に好きになったし、今までどれだけ振り向いて貰おうと努力したと思ってるの?」
「そんなに努力して振り向いてもらえなかったんなら別に先輩はお姉ちゃんのことなんとも思ってなかったってことだね。」
果歩の言葉に、つい手が出てしまった。涙がこぼれるのを堪えきれず、部屋を飛び出した。
果歩と部屋が同じで戻ることも出来ないので近くの公園に行くことにした。
「美歩?」
泣きながら歩いていると後ろから声をかけられた。
やばい、なんで?どうしてここにいるの!
「どうしたの?」
翔太に抱きついてしまった。何も言わずに抱きつかせてくれる翔太の胸の中は落ち着いて、心地よかった。
「公園、行こっか。」
手を引かれついて行って、公園のブランコに一緒に揺られる。
「私、ケンカしちゃった。果歩のこと叩いちゃった。」
「また何でケンカなんか。仲がそんなに良くないことは知ってるけどさ。」
「だって、翔太が私のこと...いやなんでもない忘れて。」
「え?俺?」
「お姉ちゃん、先輩何してるの?」
何で果歩が追いかけてくるの。
「何でもいいじゃない」
「2人とも、なんでケンカしてるかは知らないけど仲良くしよう?ね?」
「翔太はだまってて」
「先輩は黙っててください!」
お互いに睨み合ってから、2人はため息をつく。
「私先輩のこと、好きです。付き合ってください。」
何言ってるのこの子。
突然果歩が告白した。
「先輩の先月の体育祭で皆をまとめる所とか、できない人のことを方って置かない姿勢とか素敵だなって、ずっと思ってました!私が怪我をしたとき、おんぶで保健室に連れて行ってくれたときは本当に嬉しかっです!」
翔太は顔を紅潮させて、目をそらす。
「だめって言ったじゃん。」
「だいたい、お姉ちゃんの許可なんかいる?」
「じゃあなんで聞いたの」
果歩は顔をそむけて無視をする。
「先輩、返事はいいですから。私の気持ちは知っておいてくださいね!」
私はそう言って去っていく果歩の後ろ姿を黙って見つめることしか出来ずにいた。
「翔太、私帰るね、今日はありがとう。」
部屋に戻って、ベッドに寝転がっている果歩の前に立つ。
「私なんか今日、ぎゅーしてもらったから。」
一瞬睨まれて、目をそらされた。
私だって負けない。