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転生したのに何も変わらなかったなんておかしい  作者: レーチ
第2章 我が家のペットはスライム
6/8

第6話 異世界生活がこんなに大変だなんておかしい

投稿が遅くなってすいません

 

「ペットねぇ」


 その言葉に幸が反応した。


 しかしアテナの歓声に遮られてしまい、話の続きをすることは叶わなかった。


「わぁ〜。大きいですね」


 中に入ると


「広過ぎます!わ、なにこれ。え、これも。こんなのも…」


 アテナがうるさい。てか、アテナってこんなキャラだったっけ?敬語だし。まあいっか。


「じゃあ俺寝るわ」


「私も寝るわね。おやすみなさい」


「ああ。おやすみ」


 幸と俺はうるさいアテナを放っておき、寝ることにした。


「あ、アテナー。お前の部屋2階の1番奥な!」


「え、2人共ひどいです。勝手に寝るな…」


 アテナがビービーうるさかったが、ドアを閉める音でかき消された。




「ん〜…今何時だろ」


 目が覚めると目の前に綺麗な金髪の美少女の顔があった。


「なーんだ。まだ夢か…」


 もう1回寝ようとしたところでやっと脳が動き出した。


「えーーっ!なんブェファ…」


 危ない危ない。堪えようとして変な声が出た気がしたが、気のせいだろう。ここで大声を上げて起こしたら俺が悪者になるに決まっている。この世界は男にとって不利なようにできているのだ。


 もう一度幸をよく観察すると


「うわぁーーー!」


 今度は我慢できなかった。この声で幸は目を覚ます。


 なぜかって、それは…アテナの周りの布団…特に下腹部辺りがびしょびしょだったからだ。それはなにを表すかって?そんなの決まってるだろ。


「なに()()()()してんだー」


 幸はまだ寝ぼけ顔で

「え、なによ。どうしたの?ゆう……………」


 途中で声が途切れ、少しの間があった後で


「きゃーー。結城助けてー」


 らしくもない声をあげて近寄って来た。


「ぎゃー。こっち来んなー」


 気持ち悪いので、アテナに助けを求めようとドアに手をかけ開け………。


 開かなかった。どうやら何かに引っかかっているようだ。後ろには幸が迫って来ている。


 これはやばい。ほんとにやばい。


「痛っ!」


 ん?声が聞こえるような……アテナだ。


「おーい。アテナ開けてくれ」


「え、何…ふぁ…結城ですか?」


「ちょ、まじ寝ぼけてな…」


「うわぁーーーーー!」


 屋敷中に俺の絶叫が轟いた。




「まったく、本当に幸はダメっ子ですね」


「…はい…ごめんなさぁぃ…」


 リビングで幸がアテナに説教されている。てかダメっ子って…かわいいな。


 ちなみに俺は体を軽く流した後、くつろいでいる。あの出来事は記憶から消した。


「じゃあ朝ご飯作りますんで、体をきれいにして待っててください」


「「えっ!食べるものあるの?」」


「ええ、ありますよ。パンと野菜は昨日トカゲ討伐の報酬で買いましたし、道具はもともとあったんで」


 意外としっかりしてんなぁ。だが、隣のおばさんにお菓子を貰った、とでも言うかのように平然ととんでもないことを言った。


「あと昨日のトカゲの肉もありますよ」


「「えぇっ!」」


「「トカゲって食べるの?」」


「はい、食べますよ。なに当たり前のこと言ってるんですか」


「「うわぁ………」」


 そう言ってそそくさと朝食を作り始めた。てか、幸は異世界の人なのになんで知らないんだろう。


 十分ほど経ったところで


「できましたよー」


 声が聞こえたので、2人で気の進まないまま食卓に着く。


「………うまそう……」


 悔しいがとんでもなくうまそうだった。


「「「いただきます」」」


「……うまい」


 1口食べると思わず声が出た。


 焼いてあり、少し硬い鶏肉のようだった。臭みなどは全くなかった。


 くっ…日本で母の愛情という最強の調味料の入ったご飯を食べていた俺が、こんなにうまいと感じるとは…


 他のサラダなどもめちゃくちゃうまかった。




 食後だらだらしていると


「私、幸と一緒に町の方見て来ますね」


「お、おう。気を付けろよ」


 アテナ達を見送った俺は手持ち無沙汰なので、屋敷を探検することにした。


 屋敷の中を簡単に説明するとこうなる。まず、玄関に入ると真っ直ぐ廊下が続いていて、突き当たりには洗面所とお風呂場がある。右側には、扉が1つ、トイレと2階に上がるための階段がある。左側の扉はリビングになっていて、台所も隣接している。


 そして2階。上がってすぐのところには俺やアテナ、幸の各自の部屋がある。


 問題は奥だ。奥にはまだ行ったことがない。見るとドアが2つある。まずは手前から行こう。


 わくわくしながらドアを引く。


 トイレだった。


 無言でドアを閉める。俺の期待を返してほしい!


 気を取り直して奥へ。


 奥の扉を開けると、そこには楽園(しょさい)が広がっていた。


 大きめの部屋いっぱいに本棚が敷き詰められており、大小様々な本が詰まっている。ほのかに、ほこりと紙の匂いがする。


 これは嬉しい。引きニートは基本的に本とゲーム、そして1人が好きだし(一緒にいる人がいないだけ)、あとなにより、異世界で生きていくには必要だからだ。


 適当に本を物色していると、玄関から声が聞こえる。


 おっ!帰って来たのか。


 下に降りていくと、なぜか幸しかいない。


「どうしたんだ?アテナは?」


「アテナが迷子になっちゃったのよ。魔道具屋を見ている時にね」


「そっか。まあ少し待てば帰ってくるだろう」


 その俺の予想は見事に的中した。


 10分程して


「ピンポーン!」


「アテナが帰ってきたか」


 ドアを開けるとアテナがいた。手に小さなスライムを抱えて…。

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