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過激な表現

グロテスク

リョナ

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 もし、生まれてきた時代が今より先だったら。

 もし、生まれてきた時代が今より後だったら。

 もし、この世界が今より少し良かったら。

 もし、この世界が今より少し悪かったら。


 もし、もし、もし。

 Ifの話しに結末は無い。

 考え得る無限の可能性に物語は常に収束していく。



「さぁ起きて…私の愛しい人……まだアナタは死ぬべきではないわ」


 私の力の1部をさずけましょう。


 アナタの泣く姿で身体が震え、アナタの流す血の艶やかさで感じ、アナタの叫ぶ声に私は果ててしまいました。


「こんなにも愛しているのに…どうして遠いのですか」


 汚れ、傷つき、壊れていく姿も美しいがそればかりでは私の愛しい彼は壊れてしまう。

 ならば壊れぬように私から特別な力を授けましょう。

 傷つける私とは相容れぬ、癒しの力を。


「さぁ、起きて」


 眠る赤子を優しく撫でつけるように、私はこのスクリーン越しに彼を撫でる。


「愛しております…どんな姿でも、どんなに醜く生き足掻こうとも……うふふ………うふふふふふふ……………」










 何かの声がする。

 これは人の声……。

 ここは、どこだ。


 俺は何をしてたん、だっけ?

 全身がズキズキと痛む。

 足の感覚が無い。

 足、足………。


「あ…?」


 ぼんやりした視界が広がる中視線のその先にあるのは膝下全てを布で巻かれた、足があった場所。


 あぁ…夢じゃなかった。


 断片的に思い出すのは、切り離された自分の足を一生懸命繋げようと押し付ける自分。

 痛みが麻痺していたせいであの時は何も、いや…恐怖以外感じなかった。


「こ、こは…」


 顔を上げる。

 それと同時にジャラリと首の下から何か聞こえた。


 それは鎖だ。

 鎖を輪にして首輪として、余った先を犬のリードのように壁に杭打ちで付けてある。


 それを引っ張ろうと手にとって気づいた。

 自身の手に何か棒のような物が貫通している。


 掌を貫通した棒の両端はボルトのように反しが付いていて引き抜くことも出来ない。



「っふ、づ……ぁ、んん、づぅぅ……」


 試しに抜けるかと動かした結果、力任せに打ち込まれたこの棒は肉と皮にこびりついて、抜こうものなら激痛を伴った。


 これが両手に……。


 無理に引き抜こうと思わなければ痛みは無い。

 ただし握り拳を作る事も出来ない。

 掌に何か持つ事も容易ではない。


 先程の痛みで意識が覚醒してしまい、辺りを見回す余裕が生まれた。

 正面は太い木の棒を格子状に穴を塞いでいて、自分がいる周囲は岩肌が露出している。

 まだ闇に目が慣れていないせいか、随分と広く感じた。


「ろう、や……かな」


 死ななかったのか。

 死ねなかったのか?


 死ぬほうがマシだったのか。

 こうやって生きている事に安堵すべきなのか。


 松明もなく薄暗いこの最悪の空間に1人。

 そういえば、どれだけの時間気を失って居たのだろうか。


 それすら分からない状態は不安で仕方ない。

 闇に目を慣らしながら何かないかと何かがもぞっと動いた…あれはなんだろう。


 起き上がる足も無いので、膝立ちのまま近づく。

 疲れきった身体で膝立ち歩行は本当に体力を奪う。


 動いた何かの目の前で体力が尽きて、前のめりに倒れた。

 反射的に手で受け身をとろうとしたのが失敗だった。


 掌より先に棒の先端が地面にあたり、そのまま体重が掛かってしまい…ブチブチと嫌な音を聞かせるように棒が押し込まれ、つなぎ目の皮が裂けて肉も破れた。


「ぁぁ!!!ぐぅぅぅ!!!……っは、…ぁぁぁ!!!がっ、んぐ、は、は!は!……い、た…んん……いだ、い、んぐぅ…!!!」


 痛み悶えながら、痛みの原因である手を守るように抱く。

 激痛は早々に収まる気配は感じられない。


 涙と嗚咽と砂埃で顔を汚し、血を垂れ流しながら何とか顔を上げると何か横たわっていた。

 痛みに耐えながら、それが何かを確認する。


「はぁ…はぁ……っんぐ…はぁ……い、いぬ?」


 横たわっていたのは、自身の身長と差ほど変わらない大きな体躯の犬……のように見えた、狼。


 浅い呼吸を繰り返し、息も絶え絶えな姿は今の自分とよく似ている。


「お前も、今は…ひとりなのか?」


 芋虫のように這って犬の横に寄り添うように横になる。


「苦しいのか……病気…しているの?」


 今にも死にそうなこの動物には、何もしてあげる事が出来ない。

 今の自分を救うこともできないのにこの生き物の心配までする余裕はなかった。


「………寂しい、な………お前も、俺も」


 薄汚れて死にかけの犬に頬擦りすると、辛そうな声で泣き返してきた。


「何も、してあげれないんだ……ごめん、ごめん……ごめん…」



 撫でてあげることの出来ない掌の代わりに、ゆっくりと優しさを込めて頬擦りをした。

 ソレも、それに反応したのか小さくではあるが擦り寄せてきた。


「ありがとう……まだ、死なないで…」


 こんなにも辛く、生き苦しそうなソレには残酷過ぎる言葉だったと思う。

 それでも、ほんの一瞬だけは痛みを忘れて安らかな気持ちになれた。


 痛みの疼く掌と、ソレの苦しそうな呼吸音を聞きながら意識がと遠のいていった。











「おい、起きろ」


 しばらくの、正確な時間は分からないが呼ばれて目を覚ますと目の前に人が居た。

 ほんの一瞬だけ“助けが来たのか”とも思ってしまい、松明に揺れる光に耐えながら目を開けると、小汚い男が正方形の板を持って立っていた。


「ちっ、寝ぼけてんじゃねぇぞっ!……朝だ」


「っっ?!ゲホッ!ゲボッ!」


 男は起き上がろうとしている所へ腹目掛けて蹴り上げてきた。

 腹ただしそうに言うと何かを置いて牢屋を出る


「2日も生きてるたぁ驚きだな。メシも運んでやってんださっさと奴隷として売られちまえよ」


 痛みに呻いている間にガチャンと閉める音と松明の灯りが消えて無くなる。


 置かれた物を目を凝らして見ると板の上に乗っていたのは食べ物だった。


 硬そうなパンが一本と、硬そうな薄い干し肉、器には具が有って無いようなスープ


 それを見て昨日から何も口にしていない事を思い出して、おもむろに齧り付いた。


 硬いパンは噛み切れず、唾液でちょっとずつ柔らかくしながら食べるしかない。

 掌の邪魔な物のお陰でまともに掴むことも千切る事も出来ないので両手の指で持ち食べるしかなかった。


 そこでふと思い出す。


「この子の食べ物は……」


 出されたのは板に乗ったこれだけの食べ物。

 この子と分けて食べる分もない。


「一人分しかないって、ことか」


 自分だけ食べれば、もちろんお腹は満たされるだろう。

 たとえ、食べないよりマシ程度の量でも。


 この子を見殺しにして自分だけ食べる。

 もういつ死んでしまうか分からないこの生き物に分け与える食べ物だろうか。


 1日これ1回のみの食事なら、さらにそれを分け合って食べるのであれば、きっとお腹が空いて後悔するだろう。


「でも、一人だったらきっと…」


 干し肉を口で噛みちぎる。


「ほら、食べて」


 鼻の前に差し出して匂いを嗅がせる。

 狼っぽいからきっと鼻もいいはずだ。


 しかし返ってきた反応は、力なく開く口だけだった。


「硬すぎて食べれない…かな」


 それではとスープに浸してみたが、硬さはあまり変わらない。


 自分が食べさせるしかないって事か。


 口に含んで何度も何度も噛み続ける。

 柔らかくなるまで、モグモグと噛み続け、ドロっとしたら口から出してみる。


「これなら食べれそうでしょ」


 汚いとは思ったが、食べさせる為だと割り切って口の中に入れてあげると、ソレは身体を震わせた。


「大丈夫、大丈夫……傷つけないよ、食べて」


 舌の上に乗るように口に入れてあげると、目を開いた。

 ゴクリと喉を鳴らす音が聞こえてきたと思ったら、甘えるように鳴き始める。


 もっと欲しいのだ。


 それが分かってからはひたすら干し肉を噛み切って柔らかくして与えてを繰り返した。

 顎が痛くなってもそれは止めなかった。


 何故かは分からない。

 ズキズキと痛みを訴える顎の関節を無視してひたすらに与え続ける。

 たった1枚の小さな干し肉に何時間も掛けてソレに与え続けたお陰で、パンが食べれなくなってしまった。


 仕方が無いので、それはスープに浸してベチャベチャになるまで待つ。

 スープという水分が取れなくなってしまったのが痛手だが、それを吸ったパンで補う。


「ごめんね、もう無いんだ」


 急くように鳴くこの子に言い聞かせると、頭を動かして手を指を舐めてきた。


「………指は美味しくないよ」


 そう言っても止めそうに無いので、指で頭を撫でてあげる。


「…?」


 心臓が跳ねるように脈打つ。

 今まで感じたことの無いような強い心音何度も木霊し、温かい何かが身体の中心から湧き上がるように身体を駆け巡る。


「お前が、何かしたの?」


 ソレは首を傾げる。


 おかしいと思いながら、この変化に戸惑いを覚えているとノイズのようなチラつきが視界に広がる。

 壊れかけのテレビが徐々に砂嵐になっていくかのようにザーっと音と光を帯びて目の前を包んだ。



『他に、見ているモノの為にゲームらしさを加えていますよ。』


 最初に聞いた事のあるような声が聞こえてきた。

 とても冷たくて、底冷えするような既視感のある声。


『さぁ、起きて』


 別の声が聞こえた。

 自分の子供をあやす様な優しい声……でも同時に不安を覚えるような妖しい響き。




 オメデトウゴザイマス




 万象の瞳 ヲ有シマシタ。


 ライトヒーリング ヲ有シマシタ。

 マイナーヒーリング ヲ有シマシタ。

 ヒーリング ヲ有シマシタ。

 リバイタル ヲ有シマシタ。

 キュア ヲ有シマシタ。

 キュアディディーズ ヲ有シマシタ。

 デッドリィリザレクション ヲ有シマシタ。


 ショット ヲ有シマシタ。



 ※万象の瞳

 全てを見透す瞳

 ※ショット

 地水火風と異なる滅んだ無属性

 術者のイメージに従い不可視の攻撃魔法を生み出す


 ・ライトヒーリング

 ※対象の傷を癒す。但し止血及外傷による軽傷のみ。

 ・マイナーヒーリング

 ※対象の傷を癒す。止血及び、深い裂傷や骨折などの外傷のみの重傷へ適用される。軽傷へ施した場合、回復量を超えた分対象の傷を酷くしてしまう。

 ・ヒーリング

 ※対象の傷を癒す。身体欠損、内部の破損欠損等のみに適用される。外傷において施した場合は回復量を超えた分、軽傷重傷問わず対象の自然治癒能力が低下し、より深い傷を生み出す。心の臓損失は適用外である。

 ・リバイタル

 ※対象のスタミナの回復力を向上させ、自然治癒能力を一時的に向上させる。

 ・キュア

 ※対象の軽度の病気を治療する。重度の病に効果はない。同時に回復力を高める。

 ・キュアディディーズ

 ※対象の重度の病気を治療する。軽度の病に施さた場合、回復力が低下し病の進行を早める

 ・デッドリィリザレクション

 ※死亡した対象が死後数分以内の場合、この術を施された対象を1度だけ蘇る。副作用として死亡した時間から7日前後の記憶を損失する。

 死亡対象が術に適用されない場合は以下の通りである。

 対象が死後数分以上経過している。

 対象が死亡前の原型を留めている(人であるならば人の形、但し差異はある)。

 使用術者に生命力が乏しい場合または死に瀕している場合。

 使用術者が【万象の瞳】を両目に有していない場合。

 この術は使用術者本人に施す事は出来ない。




本日も投稿出来た事に喜びを覚えつつ、皆様こんにちは!

東京は2月が寒くなると聞いて身が震える思いです。



中世の牢屋、牢獄

今回の話で出てきた牢獄。岩肌むき出しで正面は格子状に組まれた抜け出せそうにない表現を書かせて頂きました。

1番想像しやすく、牢屋って言えばこんな感じ!なテンプレっぽいのを書かせて表現させていただきました次第です。

実際の牢屋……となると、地下に連れていかれる事が多いんですよね。

暗くて、ひんやりしてて、天井は低く壁は狭い…一室と言って良いのか分からないくらい最悪な環境です。

獄中は窓からの明かりも無いので、陽の光が見えると本当にホッとしてしまうくらいの暗闇が辺りを支配しています。

獄中はお手洗いがありません!

排泄用壺というのを用意して、囚人はそこに出します。

そして牢屋番が回収して川に流して棄てます。

作中で表現しようと思ったら「美少女のおし(表現規制)とか!う(表現規制)とか!入った壺を処理するとかその筋の人からしてみればご褒美やん!」ってなったので残念ながらそのシーンは書きません。


今回も最後まで読んで頂きありがとうございます!

遅々として話しが進まねぇな!って思われてたらすみません。

細かい表現多くてしつこかったりしても許してください!なんでもry。

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