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20.夕飯2

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m(_ _)m


「なんか手伝える事、ないっすか?」


オレはアルトに躊躇いながら話しかけた。


なぜ躊躇いながら、だって?


それはクリスマスの丸ごとのローストチキンに使う程の大きさの鳥を捌いている所らしく、右手には血に濡れて怪しく輝くナイフが握られているからだ。ちなみに、両手も血でベットリ濡れている。


さっきは周りの音が聞こえないほど集中しているらしかったが、今はそうでも無いらしい。アルトはオレの声に振り向いた。


「手伝ってくれるのかね? うむ。だが、しかし、客に料理をさせるというのは礼儀に反する……。だが、実際、手伝って貰えればそれだけ早く用意出来るな……難しいものだが……私は礼儀に疎いとよく言われるんだが……ケント君、君はどうしたい?」


いや、逆に聞かれるとは思わなかった。


だが、まぁ、なるほど。この世界にもお客さん、という概念があるみたいだ。

きっと、手伝わなくても失礼ではないし、文句は言われないだろう。しかし、オレは暇だ。数時間は過ごしたとはいえ、来たばかりの家で寛ぐ事は難しい。


「あー、じゃあ、手伝わせて貰ってもいいすか? オレ、異世界の植物には興味があるんすよ! 植物には!」


あれ? ついつい、動物はさばきたくない、という本心が漏れてしまったようだ。やたらハイテンションで「植物」の所を強調してしまった。少し徹夜テンションに突入しつつあるのかもしれない。


オレの不自然な言動に、アルトは一瞬不思議そうな表情になった。そして、オレの視線が自分の血塗れの手に向けられている事に気付き、軽く笑った。


「なるほど……分かった。それなら、ロモの皮を剥いて、団子を作ってくれ」


そう言ってすぐ隣にいるナーシャを指差した。


「(やった! 願ってもない提案!)オーケーっす。分かりました」


ナーシャと一緒に何かを出来るきっかけを掴み、心の中でガッツポーズを決めた。だが、見たところナーシャは年下だし、オレに関しては何かしらの感情も抱いていない、と思う。片想いというよりストーカーっぽい気がする。


なので、オレは内心を隠しながら冷静に頷き、すぐ隣で薪割りをしているナーシャに声を掛けようとした。


「って、あれ? 薪割り? 皮剥きじゃなかったのか?」


アルトにもモロだかロモだかの『皮剥き』を手伝ってくれと言われたハズだが……?


「あ、ケントもやる? そっちの世界には無いのかな? これがロモ芋。アンシアでは主に北区で作ってるお芋だよ」



芋、の概念ってなんだろうか……。

という感想をもらさざるを得ないよ。これは。


ナーシャが指差したのは自分が手に持っている薪だった。直径20センチはありそうな立派な木の幹。表面は茶褐色で松の木のように表面がガサガサした樹皮で覆われている。かなり頑丈そうな樹皮だ。

とてもじゃないが日本の芋、いや、地球上の芋との類似点は見つからない。なにせ、その薪の両端にはノコギリで切った跡があるのだ。


「冗談だろ?」


「冗談……じゃないよ? じゃあ、ほら、見てて?」


例のオバハンが笑っているのが気になるが……

半信半疑、いや、半分以上疑うオレの前でナーシャは手に持った包丁を持ち直し、薪の天辺にゆっくりと食い込ませた。


「…………ね? 芋でしょ? 年輪がないもの」


驚いたことに、包丁はいとも簡単に薪を断ち割った。

ほら、とナーシャが見せてきた断面は滑らかで、黄色がかったクリーム色だった。


「ロモは大きな芋の木なの。寒くて岩だらけの土地にも生えるから北区とかそれ以上に北の土地では欠かせない食べ物よ。毎年夏に根茎が地上に突き出すように伸びるから、それを切ってきて、固い皮を取り除いて食べるの。常識よ。この地方ではね!」


……まぁ。

そういうことにしておいてもいい……かな。『木』っている時点で芋じゃない気がするけどな。府には落ちないが、ま、取り敢えず団子を作るべ……。


オレはもう死にそうな位に腹がへった。


     *****


夕飯編。もう一話続きます。

記念すべき20話! 今回はですね、皆さんお気づきでしょうけど……この話は、これまでで一番短い!

イェーイ!

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