モンスター退治前夜
フロストヴェイルの酒場。
クローディアはミスリル鉱山にあるコアを回収する方法を考えていた。
コアにコードを付与できれば自分のものにできる。コアを自分のものにしてモンスターと戦う。コアの大きさによるけど必要な時間は自分の力であれば10分。今フロストヴェイル軍が苦労しているのは、このコード付与の時間もあるだろう。巨大なコアであれば普通なら6時間はかかる。
10分間、強力なモンスターの気を逸らす時間を稼げれば。
とりあえず、ミスリル鉱山に向かってみるか、誰か協力者を冒険者ギルドで募るか。
どうすればいいか思案していると、酒場の隣の席で話している冒険者の話が聞こえてくる。
「おい、ブリズバーンでモンスターが出現したらしいぞ」
「フロストストーカーだろ、山で食べ物が少なくなってるのかもしれん。村に降りてきてしまってるんだろう」
「あいつら見えなくなるからなぁ。村に入り込まれたら厄介だな」
「冒険者ギルドで退治の募集があったな。どうするか、いい金になりそうだが死ぬかもしれん」
フロストストーカー。その皮は迷彩効果がある。視覚に頼るモンスターであれば欺けるかも。
冒険者ギルドに行ってみよう。
冒険者ギルドでは、フロストストーカー退治の募集がかかっていた。
「現在、ブリズバーンでフロスストーカーが出現しており、退治のためのメンバーを募集しています。報酬は銀貨30枚。明日出発するフロストヴェイル軍に同行願います」
募集用のカウンターに進むクローディア。
「すみません。応募します」
「はい、お名前よろしいですか」
「クローディア」
「クローディアさんね。こちらが参加用の割符です。無事生きて帰ってこれたらお持ちください。報酬が支払われます」
「俺もいいか」
横を見ると屈強な大男が立っている。
「はい、大丈夫ですよ。お名前よろしいですか」
「レオナルドだ」
「レオナルドさんね。こちらが参加用の割符です」
「フロストヴェイル軍は明日の早朝、城下町の北門から出発します。割符を見せれば同行する冒険者とわかると思います。ではよろしくお願いします」
「おまえ、魔法使いか」
レオナルドがクローディアに声をかける。
「いえ、ドールユーザーです」
「ほお、それは頼もしいな。ドールはどこだ?」
「…今はいません」
「いない?いなけりゃ何の役にも立たないじゃないか。多少の魔法は使えるのかもしれんが」
「…」
「金が欲しいのか?あっという間に殺されちまうぞ」
あきれた様子で去っていくレオナルド。
ドールユーザーはドールがいなければ無力。確かにそう思われても仕方ない。
とりあえず、宿を確保して明日に備えよう。