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アイン・ソフ・オウル  作者: 円 紀一
10/14

強奪されるアイスドール

フレイヤの体を乗っ取ったエルヴィラは、ブリズバーンへと向かっていた。

古代文明時代のドールマスターであるエルヴィラは、現在では失われた、もしくは非常に高いレベルでなければ使えない古代魔法を操ることができる。


現在ではかなり高度な魔法となっている、周辺のドールの反応を捕捉し、どこに何体どういったドールが存在しているかを把握する探査魔法ディテクト・ドールの力で、ブリズバーンに2体のドールが向かっていることを探知していた。


アイス・フレーム、センチネル級。無いよりはましだ。


ドールマスターはドールがいなければ何もできない。

それはいくら高度な魔法を操れるエルヴィラでも同様である。


ドールは大きさによって、トロール級、センチネル級、スプライト級などクラス分けされている。トロール級は全長10m超でドールユーザーを体内に格納することが可能である。センチネル級は、2m~5m程度で外から操る。スプライト級は1m以下でこれも外から操るが、センチネル級が戦闘用、労働用であるのに対し、スプライト級は偵察用、探索用といったイメージである。


トロール級は各国でも1体保有しているかしていないかといったドールで、戦局を決定づけるために投入される決戦兵器として利用されることが多い。

トロール級を保有している国同士の場合、先に出してしまうと手の内を読まれて逆転される可能性があるため、お互いに手の読み合いで出せないなど使う局面が非常に難しいドールである。

しかし、ひとたび戦場に現れればその威容から敵軍は混乱し一気に戦局を打開することができる。


一方でセンチネル級は、比較的数が多く、各国数十体の保有が一般的である。砂漠の国ではサンド・フレーム、氷の国ではアイス・フレームなど、地域独自のドールも多い。

ロック・フレーム、ブロンズ・フレーム、アイアン・フレームといった一般的な鉱物や金属で構成されているものが多くの国で利用されている。


アイス・フレームは寒冷地特化型ドールであるが、周辺の無尽蔵にある氷を利用して修復も可能であるため、寒冷地では無類の強さを誇る。フロストヴェイルはそれほど大きな国ではないが、このアイスドールを数十対保有しており、防衛に関してはこれがゆえに鉄壁である。

トロール級を保有していないが、他国に侵略を許したことはない。


この〇〇級や〇〇・フレームといった表現はかつての古代文明時代の表現で、現在では5m級アイスドールや18m級ミスリルドールなどと呼ばれることが多い。


ブリズバーン周辺に到着したエルヴィラは1㎞離れた位置からアイスドールの乗っ取りを試みる。現在のドールユーザーからは信じられない長射程だが、古代のドールマスターにとっては造作もない。もちろん、隠匿魔法コンシールセルフにより姿も見えない。


なんだこいつらは。よくドールを操れるな。まるで赤子だ。

あきれるのを通り越し、感心してしまうエルヴィラ。


やすやすと乗っ取りに成功したエルヴィラはそのままミスリル鉱山へと向かう。


「お頭…古代遺跡からまるで別人だ…あのネックレスの力か?いったいどうしちまったんだ」


戸惑いながら手下たちもエルヴィラの指示に従い後に続く。


この頃、クローディアたちはまだ行程の半分ほどの位置にいた。

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