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アイン・ソフ・オウル  作者: 円 紀一
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ドールの死

50年前、失われた文明によって建設されたとされる塔の発掘調査が始まり、塔の地下深くで真紅の宝石のような物体が発見された。物体の周りには岩石が浮遊していた。この物体はのちにコアと名づけられた。

40年前、特定の魔力をコアに付与することで浮遊する岩石をコントロールできることがわかった。特定の魔力をコードという。

やがて、コアを中心に人型の岩石の集合体が作られ、兵器として利用されることになる。

その兵器はドールと呼ばれた。


「おねがい!やめて!命令を聞いて!」

 直径2メートルほどの隕石が上空に現れてから数秒後、クローディアのドールがその隕石を包み込むように平たい岩盤の形状を取る。隕石の表面はドールの形成物である岩石を容易に溶かせるほどの高温になっており、隕石を包む岩でできた風呂敷のようになっているドールからは煙が立ち上っている。

 「だめ!コアが!」

 ドールは岩の体を限界まで広げた結果、コアがむき出しになっている。隕石を包み込んだドールはゆっくりと地面に着地するが高温の隕石と岩石の体は一体化してしまっておりもはや隕石の一部といってもいい。

 唯一、巨大なルビーのようなコアだけがそれがドールであることを示している。しかしそのコアに着地と同時に大きな亀裂が入る。

 「メテオストライクが封じられた!一時撤退する!」

 切り札を封じられたロンフォール軍は退却を開始。バカな!ドールマスターがドールを犠牲にするなんて!などと口々に叫びながら我先にと走り出した。

 「追撃だ!勝利は我にあり!」

 マンハイム軍の将軍がすかさず追撃を指示し、大勢はほぼ決した。

 「どうして!どうして!」

 クローディアは絶叫とともに隕石と一体化したドールに駆け寄ろうとするが熱気に阻まれて近づけない。

 ドールはコアさえ破壊されなければどのような状態からでも再生できるが、コアが破壊されてしまっているため、まもなく機能を停止する。ドールにとっての死だ。

 泣き崩れるクローディアにドールがいつものように思念で語りかける。

 「悲しまないで。大丈夫。私は痛みを感じない」

 もはやその思念も消えかかっており、クローディアにはなすすべも無い。やがて大丈夫と言う言葉を繰り返す思念が徐々に薄れてていき、そして消えた。

 

 ドール。コアを中心にして鉱物等の無機物もしくは植物などの有機物を集めあらゆる形に形成できる魔法生物。

 そして、ドールを操る魔術師をドールユーザー、上位のドールユーザーをドールマスターと呼ぶ。

 


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