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インテリジェンスソードになった俺

作者: 立見宏明

初投稿作品です。

 どうして、こうなった。


 異世界転生。


 交通事故で死んだ俺、御崎健吾は、自称神様の幼女によって異世界に転生させられた。


 そこまではいい。

 異世界転生や異世界転移もののライトノベルが大好きな俺は、ちょっとラッキーと思っていたくらいだ。


 (鑑定)


 暗闇の中、心の中で念じると目の前に、自分のステータスが浮かび上がった。

 転移してから何度も見直したが、ステータスの内容に変化はない。


--------------------

<ステータス>

 ミサキ・ケンゴ

 レベル1

 短剣(鉄製)


 攻撃力 10

 耐久値 1000


 スキル 鑑定

--------------------


 短剣。


 最初に見たときは、装備品かと思った。


 いや、だって自分の転生先が短剣なんて誰が考えるよ?


 確かに転生する際に神様(自称)に言われたよ。


「何に転生するかは、君の運しだいだよ」って。


 でも、短剣て何よ? 短剣って?


 転生前にチートとか期待してた俺を殴ってやりたい。

 神様(自称)に「特別に一つスキルをあげるよ」と言われて、鑑定をもらって喜んでいた俺を、とことん説教してやりたい。


 そりゃ、異世界転生ものにおいて鑑定と言えば、チートの代表格だといってもいいスキルだ。

 俺も、これで序盤の採取クエストで冒険者ギルドのお姉さんにビックリされて一目置かれるところとか想像したさ。


 でもさ。短剣だよ。短剣。

 どうしろっていうのさ?


 もし、動物やモンスターに生まれ変わったとしても自分の意志で動くことができる。たとえ自動販売機ですら挨拶ぐらいは出来る。


 でも短剣だよ? 身動き一つどころか、一言喋ることすらできない。

 しかも、周囲は真っ暗だ。


 鑑定なんて持ってても意味ないじゃん。

 どっちかっていうと鑑定される側だよね?


 レベルってなんだよ。

 短剣がレベルを、どうやって上げろっていうんだ。


 もちろん、神様(自称)に抗議もしたさ。でも「しょうがないよね」の一言で済まされた。

 ってゆうか笑ってただろう。姿は見えないけど声が震えてたぞ。


 うん。詰んだね。




 ちなみに、俺の転生した場所は、ダンジョン(1階)の宝箱の中だった。

 蓋の閉じた宝箱の中にいるんだから、そりゃ真っ暗で当然だよね。閉所恐怖症じゃなくて良かったと心底思ったよ。

 宝箱を開けて、俺を覗き込んできたのは革鎧を着た筋肉ムキムキの男だったが、それでも俺にとっては幼女(自称神様)より、よっぽど救いの神様に見えたね。

 短剣だが、幸いながら視界は存在しているらしい。



 そして俺は、今、武器屋に展示されている。


 いや、ぶっちゃけるとワゴンセールなんだけどね。

 値札すらつけられずに、ほかのガラクタみたいな武器と一緒に一纏めに放置されている。


 だが、あきらめるのは、まだ早い。

 見た目は普通の短剣でも、もしかすると優れた性能を持った伝説の武器という可能性だってある。


 俺は隣に置かれていた木製の棒を鑑定してみた。


--------------------

<木の棒>

 攻撃力 5

 耐久値 100

--------------------



 ……うん。わかってたさ。


 俺を見つけた男は舌打ちして、俺を武器屋に二束三文で売っぱらいやがったからな。

 武器屋の店主(髭を生やしたハゲのおっさん)の俺に対する扱いも雑だった。買い取った後、一瞥だけすると、そのままガラクタみたいな武器がいくつも入った箱に放り込まれた。


 つまり、俺(短剣)の性能はガラクタ同然ってことだ。


 耐久値1000は、まあ一応鉄製みたいだからな。木製の10倍は頑丈らしい。

 しかし、問題は攻撃力だ。倍と言えば聞こえはいいが、実際のところ木の棒とほとんど変わらない。

 10段階評価だったらいいなあ、とかちょっとでも考えた俺が馬鹿だった。


 こんな武器、誰が買うよ?

 どうすんのよ? どうすりゃいいのよ?


 どうして、こうなった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 今後の展開に期待したいです(*^_^*)
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