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エピローグ そしてまた同じ朝

「ん~」


 思わず大きくのびをする。空は晴れ。開け放った窓からは朝日とさわやかな南西の風。先月取り替えたばかりの淡いモスグリーンのカーテンがゆったりと揺れている…。

 小さなクリーム色の十二のテーブル。シュガーポットに光が当たって眩しい。さて今日はどのクロスにしよう? 壁全体の大きなガラス窓から見える通りはまだ眠ってる。目を覚ますにはもう少し時間がかかる。仕方ないのよね。皆遅くまで働いているんだから。

 だけど!

 あたしはくるっ、と回れ右をする。そしてよっ、と店のカウンタの下から、大きな目覚まし時計を取り出した。

 こないだ、買い出しついでに寄ったのみの市で、恰幅のいいじーさんが売ってたヤツだ。

 重いしでかいし、抱えて帰るには辛いシロモノだったけど。でもまあ、前から買おう買おうとは思ってたのだから。

 と言うのも。

 あたしは奥の部屋の扉を開け、きりきり、と時計の針を合わせた。


 じりりりりりりりりりり!!!!!!!!


 …う… わ… 手に振動。何よこれ、だめだめだめ。持ってられないくらいじゃないのっ。それに何、何デシベルあるの! …今度から耳栓を用意しておこう。でもそれよりまず言わなくちゃならないことは。


「起きろ!! このホモオヤジども!」


 あたしは時計に負けない大声を放った。


「ほれにひてもきひ…」

「マスター!! 口から歯ブラシを出してから! ほらぽたぽた落ちてる!」


 へいへい、と「ホモオヤジ」その1はうなづいて、がらがらがらがらぺっ、と口をゆすぐ。でかい目はまだ半分寝てる。プラチナ・ブロンドの髪は寝ぐせ満載。男前が台無し。しかも上半身は裸のまんま。…付け加えれば、昨晩何があったのか丸判り。あんた等隠す気はないのか、と以前嫌味たらたらに突っ込んだから、「知ってる君に何で隠す必要があるっての?」って言いやがった。そういう意味じゃないでしょ。この乙女の前で。


「それにしても君」


 マスターはタオルで顔をぐじぐじと拭き、しー、ひー、と口の中に空気を通しながら、さっきの続きを口にする。…ようやくすっきりしたらしい。


「よくそんなでかい時計持ってたねー。大骨董級じゃない」


 ランドリーマシンの上に置いた時計をひょい、と片手で取り、マスターはじっと見る。


「しっかしいいシェイプだなあ… このライン… うふ、可愛い♪」


 ぞく。最後の言葉は甘い、これでもかとばかりに甘い、少女の声。…嫌な特技だ。

 と。


「やあおはよう、ルイーゼロッテ。…おいトパーズ、その声は朝はよせと言うのに」


 もう一人の「ホモオヤジ」、入れ替わりに洗面所に登場。相棒が居ないので店の方をひょい、とのぞいての一言。

 ああまただ。ドクトルはただでさえくしゃくしゃなマスターの髪を更にかき回してる。…いや違う。マスターったら、わざとセットしないんだよなー… 何よあの顔は。気持ち良さげじゃないの。

 全くこのひと達は。


 …そしてまた今日も、一日が始まるのだ。

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