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R-001  作者: 白宮 安海
最終章 Thanks Future
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第5話「夢から醒めて 2」

そう目の前のロボットは告げた。機械の目のはずなのに、その目が捉えているのはただの情景という情報に収まっていないように見えた。

「人間になったつもりか。お前のせいで仲間は死んだ。リック……。今更何で人間の真似事をするんだ。お前達はそうやって大事なものを奪っていく」

ネオの言葉は抑えきれない感情に震えるが、しっかりと銃の先をロッドに向ける。風邪が二人の間を通り過ぎる。

「本当に人間だと思うなら、証明して見せろ」

ネオは、持っていた銃を背中のエネルギー充電コードから外すと、ロッドの足元へ投げて転がした。

「俺を殺すか、自分を殺すか。お前が決めてみろ」

そう言いながら睨みつける。ロッドは銃を拾い上げた。そして腕を伸ばし、ネオへ銃口を向けた。後ろに居るトルネはロッドの手を掴んで止めようとする。

「止めてロッド、撃たないで」

ネオは両手を大きく広げて笑みを浮かべた。両目には涙が絶えず伝っていた。黒髪が舞い上がり、一筋の風が頬を掠めた後光の矢は右胸を貫いた。

「ロッド……!」

トルネは叫ぶ。貫いたのはロッドの体だった。地面に倒れる間際、ロッドは振り返り、唇でトルネに向けて音のない言葉を綴った。


――ア、イ、シ、テ、ル。


両眼を見開いたまま、ロッドの胸には穴が空き、そこから煙が立ち込めている。

「何でだよ。何で、……最期の最期に、人間であろうとするんだ」

動かなくなったかつての友を眺め、思考回路は乱れ、ネオは頭を抑えた。トルネは呆然と立ち尽くしている。ネオは顔を上げると、故障したロッドの傍までゆっくりと歩いていった。しゃがんで、最期の顔を暫し見詰める。その顔はやはり人間の顔ではなかった。動作が不能になったロボットのそれでしかない。

ネオは落ちた銃を拾う。そして躊躇いもなくトルネの胸に光を放った。たった数分の出来事であった。


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