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R-001  作者: 白宮 安海
第四章 狂おしく未来《きみ》が愛しく
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第2話「初めて見る夢は真実 2」

ネオの発言に、母は一瞬きょとんとした顔を浮かべると、すぐに笑いながら背中を向けた。

「そうなの?ならネオが頑張って倒してくれないとね」

「本当なんだ!!信じてくれ!俺が母さんを守らないと」

ネオは床の下に落ちている銃を拾って窓の外を警戒して眺めた。

「ネーオ?あなたまた父さんの形見使ってるわね。危ないから仕舞っておきなさいって言ったでしょ?」

買い物袋から果物を一つ手に取って、ネオの背中に母は告げた。しかしネオは構わずに窓の外を見続ける。

「今日来るんだ……あいつが。あいつが」

母は半ば呆れたように首を振るも、買い物袋の中身を覗くと、ネオに告げた。

「ネオ、ちょっと買い忘れたものがあるから、母さん行ってくるわね」


母の言葉は、戦争ごっこに夢中になっている我が子には声は届かなかった。幸運な事か、不運な事か、今日は警告音が鳴らされていない。母は一人で出掛けていった。

母が出掛けたのに気づいた時、既に遅かった。日が落ちた空にも電灯が灯り始めた。家中を探しても母の姿は見当たらない。

「母さん……?母さん!」


外だ。そうだ、子供の頃も自分は気づかずに、母を一人で外へと外出させてしまったのだ。だが、記憶を拾う前のように、この先の展開はまだ思い出せない。


とにかく急いで助けに行かなければと、足を踏み出した。そこで警告音が鳴った。耳障りな音と共に街中の人間の悲鳴や騒ぎ声が溢れ出す。ロボットが暴れだした。やっぱり今日がその日なのだ。ネオは窓の外に目を奪われてしまい、何故だか足が竦んでいた。動きたくても動けないのだ。

「どう……して」


そして、最も思い出したくない記憶の欠片がネオの頭に蘇る。そう、あのロボットだ。母を殺したロボットが、窓の外から自分を感情のない目で睨んでいる。ネオの両足は震え、尻もちをついた。恐怖で歯がかたかたと揺れる。

しかしネオは自分の意識に告げた。

――これは夢だ。これは夢だ。現実じゃない。

ネオは強く銃を握りしめ、ロボットに向かって構えた。

「今度はちゃんと、俺が守るから」

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