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R-001  作者: 白宮 安海
第四章 狂おしく未来《きみ》が愛しく
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第1話 「初めて見る夢は真実」

挿絵(By みてみん)



長らく暗闇ばかりを見ていた気がする。不思議な事に、暗闇を見続けると、恐怖や心配事が緩和されていく。いつからか、自分は夢を諦めた。未来に希望を持つことも。

この場所には見覚えがある。窓の外は堂々と建物が佇んでいるけれど、それをあたかも、気にする事もないと言うように、やけに綺麗な夕陽だった。何もかも作られた世界で、空は貴重な自然の産物の一つだ。

でも何故だろう、こんな美しい景色を見ていると、胸の中にざわめきが芽生えてくるのは。

「ネオ」


それは穏やかで優しげな声だった。聞き覚えのある声で、そう自分の名を呼ばれた時、思わず体が震えて目頭が熱くなった。


「ネオ、危ないから窓には近づいちゃダメよ」

振り返ってみると、母が心配そうに自分を見ている。その途端、瞳から涙が溢れ出し、気が付くと母に抱き着いていた。

「……母さん」

「何泣いてるの、ネオ。どこか痛いの?」

夕焼けが少し、母の顔を染めていた。自分の髪を撫でる温かい手のひらに、ネオは涙が止まらなかった。


「ううん、別に。ただ、おかしいんだ。……怖かったよ」

「そう、もう大丈夫だからね。お母さんがついてるから」


あれは全て夢だったのか。途方もなく残酷で、長い夢。目の前にある事の方が、確かに思えてならない。この安らぎは、いつも常に自分が求めているものだった。顔を上げると母は微笑んでいる。

「今日は静かな日ね」

母は窓の外へ目を向けて言った。夕焼け空が、段々と暗く滲んでいく頃、空中電灯が光り始めた。そして空は存在を消していく。

「このまま何も起こらないといいけど」

ネオはハッとした。その言葉は前にもどこかで聞いたことがある。そしてネオはこの日が人生で一番最悪だった事を思い出した。


「暴走がなければ家にも欲しいんだけれどね、ロボット。そうしたら家事もずっと楽になるのに」

一言一句たがわぬ母の台詞に、ネオの顔面は見る見る青くなり、体が硬直したまま母の顔を凝視すると、後ろへ一歩退いた。母がその異変に気づいて、どうしたのと声をかけようとするが、ネオは大きな声で叫んだ。

「いらないよ!家事なら俺が全部俺が手伝うから」

母は驚いた顔を浮かべた。

「どうしたの?急に」

「あんな奴らっ、危険なだけだ」

「でも、ネオはいつも戦争ごっこをしてるじゃない。ロボットを倒すんだって」

「あれは違うよ。ごっこじゃない。本当のロボットを倒す為の特訓なんだ。母さんを守る為だ」

必至の形相で説明するも、母の耳には、どうせ子供の言う言葉だろうと、まるっきり信じていない。「はいはい」と適当な返事を返すだけだった。ネオは真剣な顔をして母に近づく。

「母さん、これから話すことを聞いてほしい。信じられないかもしれないけど、今日この家にロボットが侵略してくるんだ」


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