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R-001  作者: 白宮 安海
第四章 狂おしく未来《きみ》が愛しく
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第5話「定まる機体 3」


「ククク、……ははははは!!」

高らかに豪快に、声は総帥室全体に響いた。

「何がおかしいんだ。気でも狂ったか」

「笑いが止まらんのだよ。愚かさに」

「黙れ!死ぬのが怖くねェのか」

ネオは思わず大声を上げた。だがテドウは臆することなく、両手をゆっくりと広げた。

「私を撃て」

テドウは未だに笑みを浮かべているままだ。予期せぬ行動にネオは動揺すると、僅かに意志が揺らぎ、怯んだ。ルウはネオに言う。

「待て、罠かもしれん」

すかさず、テドウは言った。

「どうした?撃て、殺せ!私が死ねば全てが終わる!憎しみの連鎖から抜け出し楽になれるだろう」

笑い声が、無機質な室内の中をグルグルと躍る。ルウは冷静に「挑発に乗るな」と、ネオに告げる。


「私は知っているぞ、ネオ。お前の弱さを。本当に全て国やロボットが悪いと思っているのか?」

「何が言いたい」

「お前は私に良く似ている」

テドウの含み笑いを見て、ネオの心には不安の火が灯った。

「……さあ、撃て。母親が殺されて悔しかっただろう。何もかも終わらせろ。ネオ」

静かに言うテドウには、一寸の迷いも見えなかった。ネオはついに決断を下した。

額に汗が滲み出て、銃を持つ手はいつの間にか震えていた。角度を保つように呼吸を整える。そしてテドウ総帥を、撃った。

額に穴が開き、静寂が幕を開けると、テドウの身体は抵抗もなく全ての体重を机に預けた。そして最早肩書きなども関係ない、ただの屍と化した。

ネオの心は空虚だった。後悔も、達成感もない。ただ、終わりだけが訪れた。まるで傍観者のようだ。ネオは振り返って言った。

「急ごう。今に政府関係機関は俺達を狙ってくる」

「ネオ」

ルウは立ち止まったまま、テドウの死体を眺めていた。不思議に思ったネオは、ルウの顔を見あげた。

「どうした?」

「まだ終わっていない」

「何?」


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