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R-001  作者: 白宮 安海
第三章 イキル
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第14話 「非情な正義 2」

「特殊部隊?奴らも来たのか」

「俺が会ったのはあの女だけだ。あいつ、俺を平気で撃ってきやがった。お前を気をつけろっ」

痛みの波が押し寄せて、ネオは顔を歪めながら腕を見下ろした。肘から下が青紫に変色している。

「ルウとキュゥ郎は?」

「ルウは今暴走するロボットを足止めしてる。キュゥ郎には破損した飛行車の中で待ってろって言った。僕は、メインセキュリティを修理しに行ってたんだよ」

「そうか。悪いなそんな時に」

ネオは逃げられそうな場所はないかと、辺りを探った。すると、地面に機械のパーツが道なりに落ちていっているのが分かった。そのパーツの先を追って奥へと進んでいくと、ホログラムでも自動ゲートでもない、小さな赤い扉が開いていた。ネオは腕を引きずって扉の中へ入り込んだ。

扉の中は暗く、赤い電灯が点々と天井をともしているだけだった。鼻につく金属の臭いが充満している。歩く度に、剣先がぶつかり合うような冷たい音がした。ポンプか何かが空気を押しつぶす音が響いている。通路の先から、目が痛くなるような赤が漏れていた。ネオは慎重に進んでいき、通路が途切れる手前で立ち止まった。

壁伝いに慎重に覗き込んでみると、広いホールの中に精密な器具の数々と、機械のパーツがあった。中型の移動式ロボットが規則的な動作でパーツを拾い上げて、何かと組み合わせている。

その後に目に入ったのが、ネオにとって信じられない光景だった。不気味に並ぶプラントの中の水に、人のようなものが浮かんでいた。しかも、どれも人体のどこかが破損している。ロボットは、台の上に仰向けになっている人間に、組み合わせた機械パーツを繋ぎ合わせる作業をしていた。

ネオは目を見開いて、喉を締めた。荒い呼吸が詰まって、咳き込みそうになったのを抑える。

「ネオ」

「っ!?」

声を上げそうになった所を、瞬時に口を押さえつけられた。その手から逃れようと身をよじったが、シーと歯の隙間から意図的に放った吐息に、冷静になって目を凝らすと、赤い光にぼんやりとリックの顔が見えた。

「リック……!」

抑えられたまま、唇の動きだけで言った。リックは手をゆっくり離した。

リックは、両手でコミュニケーションを計ろうとしたが、早々に辞めてインネットグラスからネオへ文字を送った。


〔迎えにきた。ここから出よう〕


しかし、ネオはすぐに了解の文字を送らずに、自分が見た光景をリックに伝えようと指をさしながら文字を送った。


〔アレは一体何なんだ?〕

リックはネオの後方から身を少し乗り出して、確認した。そして考えこむように俯いた。

〔この場所を政府が黙認しているわけだ。多分、アレは人体実験さ。ロボットによる、ね〕

ネオは思わず「人体実――!」と声を上げようとしたが、再びリックによって抑えられた。ロボットは一瞬気づいたような動作を見せたが、また規則的な作業へと移った。


〔今はとにかく、ここを逃げるんだ。なるべく見つからないよう裏の経路を検出しておいた。そっちにもマップを送る。ルウが飛行車を手配しておいてくれたんだ。最終地点で待っててくれている〕

〔了解〕


リックに続いてネオは後ろからついて歩いた。迂闊に音をたてないよう、来た時よりも体が強ばっていた。両腕の感覚は最早、血の気のない肉の塊のようだった。これから先、腕が使えなくなるかもしれないと、ネオは覚悟を決めた。ロボットの腕にされるのだけは避けたかった。


扉から出ると、外の空気の匂いに安堵した。リックは改めてネオの両腕を見て険しく眉を寄せた。

「それは酷いな。早急に治療しないと。今はこれで我慢してくれ」

今度は同情するかのように眉を下げながら、リックはカプセル型の鎮痛剤をネオの口元へ寄せた。

鎮痛剤を噛み砕いて飲み込んだ。少しだけ気が楽になったネオは、一歩前進した。

「ありがとう。裏の経路は地下施設を通るんだったな。ロッドに見つかる前に行かねェと」

リックは頷いて、光線銃を構えた。

「まだ暴走するロボットが彷徨いている。僕に援護を任せてくれ、リーダー」

「ああ。頼んだぜリック」


建物の間から左右確認を済ませると、ネオはリックに目配せした。街の様子は、荒れ果てた形跡が残っていて、大体のロボットが破壊を受けて横たわっていた。

腰を低めて、道の中央を横切ると、リックはすかさず光線銃を撃った。頭部が抉れたロボットが、こっちに迫ってきていたからだ。光線を受けたロボットは、地面に倒れてただの物質となった。ネオとリックはなるべく早足で、横切った。


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