第11話「機械だけのユートピア 3」
「あれだ!キュゥ郎」
ネオは通信機に声をかけてキュゥ郎に伝えた。
「あの赤いゲートデスか?」
「そうだ。赤いゲートに侵入してバレないようにメインセキュリティを無効化してくれ」
キュゥ郎は言われたまま、ゲートの前へ足を踏み入れた。しかしそう簡単にはいくはずもなかった。ネオ達の耳には、次の瞬間キュゥ郎の「助けて下さい!」という声が聞こえてきた。慌てて、機械虫の視点を合わせると、空での事件で見たような球体型ロボットが、キュゥ郎を取り囲んでいた。
「まずい、こいつらも警備ロボだ」
「何とかして下さい!」
「分かった。機械虫を奴らに狙わせる。隙を見てお前はゲートに侵入しろ。分かったな」
「分かりマシタ。アイタタ、突っつかないで頂けマス!?アナタ、失礼デスよ」
警備ロボは細いアームを伸ばして、キュゥ郎を何度も突っついた。その間に、機械虫を飛ばせた。一体の警備ロボが、機械虫の存在に気づいた。目から赤外線を放ちながら、機械虫のデータを認知すると、警備ロボは警報を鳴らして途端に攻撃態勢となった。
警備ロボが、機械虫へ放線を浴びせた。機械虫はそれを素早く避けた為、もう一体のロボットに放線が当たり、煙を上げて破壊された。その事態を他の警備ロボも認知し始め、次々に機械虫を狙い始めた。
「キュゥ郎!今のうちに行け!」
ネオの声がしたと共に、キュゥ郎はバレないようその場を切り抜けた。そして機械虫からの映像はそこで途切れてしまった。
「チッ、機械虫がやられた」
インネットグラスからの視界は砂嵐に塗れた。幾ら機械を弄ろうが、直らない。機械虫は完全に故障したらしい。ネオは舌打ちをして、拳を握りしめた。
「キュゥ郎を信じて待つしかない」
正門ゲートの向こう側を見やるネオに、ルウとリックも、頷いた。
しかし、時間は一刻一刻と過ぎていった。気がつけば三十分と経っている。ネオは腕を組みながら、忙しなくその場をうろうろとしている。と、思えば今度は腰から銃を取り出して、正門ゲート付近に居るロボットへ構えた。それに気づいて素早く阻止させたのはルウだった。
「何をする気だ。また、余計な事をするつもりか」
両手で構える銃を、ルウは押さえて下げさせた。が、ネオは懲りずに再び腕を上げた。
「こっちの方が早い」
「そんな事をしても俺達じゃ正門ゲートを開けることは出来んぞ」
「ぶっ壊す」
「いいから降ろせ」
ネオの眉間の皺の間に一粒の汗が伝った。銃を握る手にいつもより力がこもっている。インネットグラスには、門番のロボットに標準が合っていた。ネオはゆっくりと指に力を加えた。残り1秒で完全に引き金を引くという時だった。正門ゲートの奥で爆発音が聞こえてきた。
咄嗟に、ネオ達は音の鳴った方角へ顔を向けた。空へ向かって赤い煙が立ち上がっているのを見て、ネオは口を開けた。
「何だ……ありゃ」
「もしかして、これはどうも雲行きが怪しいな」
と、リックが目の奥で正門ゲートを見詰めているのを、ネオは疑問に思って目を丸めた。
「どういう事だ?」
「やらなくてもいい事までしてくれたって事さ。直ぐにゲートが開く。皆、準備した方がいい」
「成功したのか。良かった」
「そう解釈出来たらいいんだけどね」
ネオはリックの言う不穏な空気に、緊張感を覚えて、光線銃を構えた。正門ゲートからゴゴゴゴゴとどでかい地響きが鳴る。そして一気に正門ゲートが派手な音を立てて破壊された。ネオが身構えていると、中から大勢のロボットが溢れ出てきた。
「どうなってんだ!」
「メインセキュリティだけじゃなくて、大元の核を無効化させてしまったんだ。やってくれたよ、キュゥ郎……」
リックは工具武器を両手に構えて言った。その後ろで、ルウは鞭刀を構えている。
「こいつらを管理してるシステムが壊れたって事か。まあ、だが正門ゲートは開いた」
ネオは口端を上げて笑うと、向かってくる巨体ロボットを一体、光線銃で穴を開けた。
「中へ侵入する。リック、ルウ、頭は狙うな。そいつらの記憶チップはロッドの手がかりになる」
リックとルウは、ロボットを相手にしながら頷いた。ネオは向かいくる敵を光線銃で倒しながら、一人で正門ゲート内部へと走っていった。




