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R-001  作者: 白宮 安海
第三章 イキル
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第10話「機械だけのユートピア2 」


離島の正門ゲートに到着したのは、およそ二時間と二十分後のことだった。機械鳥に別れを告げると、また大きな翼をはためかせ、何処かへと飛んでいった。命を持たぬ鳥に、目指す地などあるのだろうか、ネオは密かにそう思いながら見送った。

真っ白な巨大ゲートは、何者も立ち入れぬように固く閉ざされている。ネオは仰け反りそうな程見上げた。

「このゲートの中に、ロッドが居るかもしれねェんだな」

門番と見受けられる自立移動式型ロボットが、ゲートの横に居るのを横目で一瞥した。ネオは、キュゥ郎に言った。

「ここからはお前しか行けねェ。キュゥ郎、中に侵入しメインセキュリティシステムをオフにして来い」

「ハイ?観光では無かったのデスか?」

「その後たっぷり観光させてやる」

「でも、そんなモノどこにあるのデス?」

「リックが改造した機械虫についていけば分かる」

そう言って、リックの手のひらの上で宙に浮いている5ミリ大の機械虫を指さした。

「いいか?きちんとやらねェと、世界が滅亡する」

「何故私がそんな事を……」

両眉を下げているキュゥ郎に、ネオは屈んで両手で肩を掴み、目を見据えながら説得した。

「キュゥ郎、お前が必要なんだ」

ネオの黒い瞳は、濁りもなく深く澄んでいた。

「了解しマシタ。こんなオンボロロボットの私でも、皆様のお役に立てるのならば嬉しい限りでございマス」

キュゥ郎は、くるりと身体で半円を描いて、ネオ達の元から離れ、門番のロボットへと近づいた。

門番ロボットは、キュゥ郎を認知すると、生態認証や危険性チェックなどを全身に行なった。それが終わると、正門ゲートは左右に口を開けた。キュゥ郎がゲート内に入って行く背中を、ネオは息を飲んで見詰めた。姿が見えなくなると、ゲートは再び閉ざされた。最後まで閉じ切る前に、隙間から機械虫が飛び込んでいった。

「よし、後はキュゥ郎に任せよう」

ネオはインネットグラスを起動させ、ルウとリックの方へ体を向けた。

「俺達は戦闘準備をする。もし、ロッドが居るとしたら……、ここのロボットも残らず排除しなきゃならねェ事になる。リック、機械虫の映像をこっちに寄越してくれ」

「ああ」

リックはインネットグラスから、Neo、Ruuの二人へデータを共有させた。左目の方には、機械虫の視界が映し出された。

「ありがとう。9N0Sがセキュリティシステムをオフにしたら、直ぐに正門ゲートを突破する」

「了解」

ネオの指示に、ルウとリックは声を揃えて返事をした。



インネットグラスの視界の中には、キュゥ郎の後頭部が映っていた。

「それにしても人間とはロボット使いが荒いデスねェ……」

そう愚痴っていたのはキュゥ郎の声だった。どうやら機械虫に話しかけているらしい。

「メインセキュリティシステムとやらはどこですか?」

立ち止まってキョロキョロと辺りを見渡していた。その様子を確認すると、ネオはリックに視線を送って頷いた。

「キュゥ郎、キュゥ郎。こちらリック」

「アレ?今私に話しかけマシタか?」

キュゥ郎は不思議そうに覗き込んでいる。

「音声通信だよ。セキュリティシステムがある建物をセンサーでキャッチした。これからその虫に案内させる」

「分かりマシタ。ついていけばいいのデスね。それ位なら夜飯前デス」

「昼飯だよ」

「昼飯、デスか。どうもスイマセン」


機械虫は、キュゥ郎を先導した。小さな視界の中で、様々なロボットの姿と、一部だが生活形式も確認出来た。発展した都会に住むネオ達にとっても、それは新鮮なものだった。同じ機械が創るものでもこうも違うものか。

整備された歩道を進んでいくと、やがて地下に繋がる赤いゲートを見つけた。


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