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R-001  作者: 白宮 安海
第二章 迸る粒子達よ、それぞれの道へ進め
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第25話「真実からの伝言 6」


内蔵されている装置を取り出し、ウェストホルダーに閉まいこんだ。

さて、この水睡総理の体をどうするか。テドウは考えたが、そのままにしておいた。この場所に辿り着ける者などそうそう居ないだろう。それに、いざとなったらここを燃やせばいい。

テドウは目当ての代物だけを持って、扉を施錠した後、元来た道を戻っていった。

(もうここに来ることはあるまい)


通路を出ても、警官達はいなかった。好都合だと思いながら、車に乗りこみ自身の研究所へ向かった。シュケーツの館へは明日の朝に行くつもりだ。

今日は研究所に行って、データの内容の確認をしたい。それよりも、息子と妻の顔が見たくて仕方なかった。


高速に乗り、軍事施設へと走る。星が見えない闇の中を走る時、自分が世界に一人取り残されたかのような孤独を実感する。自身の研究所に帰ってくると、こんなに簡素で殺風景だったのかと思った。リアンは今、特殊な液体の中で眠っているが、もうすぐ自分の手で身体を改良するつもりだ。そうすれば、愛しいあの人は永遠に美しい姿のままでいられるのだ。

「ただいま。リアン」

ガラス越しに口付ける。彼女は眠っているように穏やかな表情を浮かべている。最愛の人に挨拶を済ませると、息子の元へ向かった。息子は未だ、人間とは程遠い用紙をしていた。それでもテドウの目に映るのは、我が子そのものだった。

「ただいま、ロッド」

頭になる予定の部分を撫でる。一刻も早く本物の人間にしてやりたい。さらけ出ている複雑な機械構造を見てそう思った。

「髪は銀髪にしよう。そしてお前の大切な瞳は、リアンと同じ赤だ。喜べ。私が完璧な人間に造ってやるからな」


テドウは、ウェストホルダーから例のデータを取り出した。パソコンでデータを読み込むと、画面上に水睡総理が現れて遺言が流れ出した。

それが、テドウの将来の道を決める事となる重要な言葉であった。



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