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R-001  作者: 白宮 安海
第二章 迸る粒子達よ、それぞれの道へ進め
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第23話「真実からの伝言 4」


シュケーツは深くため息をついた。

「人間が、命をつくろうとするなど、愚かな」

「私にはもう、あの子しかいないのです……。もしもあの子が誰かに奪われると思うと、私は自分を殺しても自分を恨み続けるに違いない」

「お前がソレをつくるのは構わん。ワシが何を言っても無駄じゃろう。じゃが、忠告をしておく。完璧な人間を造ろうとしているのなら、絶対に自分がロボットだなんて悟らせてはいかん。ワシも協力しよう。お前さんだけじゃ、不安が残る」

「ありがとうございます。何て言ったらいいか……」

テドウは深く深く頭を下げた。

「ロッドは政府管轄下の研究室内の秘密庫にいます。そこは私以外誰も入ってこられない。貴方は、私の研究仲間と言って入られるようにしましょう」

「そこで作業をするのは止めておけ。政府にバレたら、今度こそお前の命が危ないぞ。またあのロボットのように勝手に起動したらどうする?」

「……ですが、作業をするにはあの場所でないと」

「ワシの研究所を使え。いいか?この事は厳重機密だ。その子の正体がロボットだと、誰一人気づかれてはならん」

「分かりました。肝に銘じておきます」

「それから、もう一つ」

シュケーツは、奥の方へ何かを取りに行ったと思うと、また戻ってきてテドウに、球体の装置を差し出して渡した。不思議そうにそれを眺めながら尋ねた。

「これは?」

「ドウリからじゃ」

球面の赤いボタンの箇所に、PUSHと書かれていたので、テドウはボタンを押した。すると、球面から光が差し出し、空中ディスプレイを映し出した。

「ホログラムメモリー」

まるで本当にそこにいるかのように、ドウリが笑っていた。


『あー、あー。ちゃんと録画出来ているか?少し不安だな。まあいい。これを見ているという事は、俺は何らかの原因で死んだって事になるな』

画面の中のドウリは、自分の知っているドウリそのままだった。テドウは溢れそうになる感情を押さえ込んで、集中した。

『俺が死んで、世界は平和になっただろう。だが、全員が幸福になった訳じゃない。戦争は全てを奪う。失った人間は、一生その傷を抱えて生きていくだろう。これからお前に言うことは真実だ。今まで言ってこなかったのは妙な気を使わせたくなかったからだ。お前は気にしすぎる所があるからな……ハハ。それが良いところだけど』

穏やかで温もりのある声は、心に向かって響いてくる。テドウの目から、思わず涙が流れ落ちる。

『恐らく今、水睡総理の行方不明事件が世間を賑わせている頃だと思う。それについて、重要な真実となる鍵を今から告げる。お前にとっても、重要な事だ。よく聞いてくれ。水睡総理の本体は、別の所にある。……言うなれば、総理は生身の人間じゃなかった。これは国の意向だった。裏で総理を操作する人物がいた。だが、残念ながらその人物は死んでしまった。本人は国に悪用をされぬよう、水睡総理のガワを誰にも探られない場所へ隠せと命じておいた。お前にその、水睡総理のガワの居場所を教える』


「水睡総理の居場所……?」


『ガワは、東地区、Tタワーのすぐ下の科学施設の横の隙間を通り抜ける。そこの地面に地下水路が続いている。地下水路から枝分かれした道の壁に管の穴があるはずだ。そこへ侵入すると一番奥に暗証番号で開く施錠がしてある扉がある。扉の中へ入れば水睡総理のガワが保管されている。いいか?暗証番号は、8596ghだ』


「東地区、Tタワー、8596gh……」

テドウは頭の中に、今言われた情報を叩き込んだ。


『それから、ガワの体内に映像データが内蔵されている。それを取り外して、全国のテレビに流してくれ。頼んだぞ。テドウ、俺はお前をいつまでも見守っている。リアンの事も、よろしく頼んだぞ』


映像はそこで終わった。リアンの事をよろしく頼んだ。ドウリの信頼が、今となっては胸が痛い。

「済まない、シュケーツ。私は出かけなくてはならない」

何としてもドウリの意思を、守らなくてはならない。これが贖罪にもならないだろうという事を知っていても。

「ああ。気をつけろ。夜は寒い。特に地下水路はな」

「心配ない。ありがとう。貴方も風邪には気をつけて」

テドウはそう言い残すと、車に乗り込んだ。ドウリの示す場所へ、急ぐ。夜の街は、これから楽しむんだと言わんばかりに灯りを灯して、通り沿いの若い男女は小さな宮殿へ溶けて行った。









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