表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
R-001  作者: 白宮 安海
第二章 迸る粒子達よ、それぞれの道へ進め
11/75

第3話 「偽れぬ過去」

  N-905が、司令塔の内部へ入る事を許可されたのは、緻密な機械チェックを通し、危険がないと判断された為である。盗聴器や起爆装置の内蔵、様々なリスクを避ける為に、研究室で入念な審査が施された。それでも警戒には警戒を。何も起こらぬようにと、司令塔内部の人間の監視が常にあった。それにN-905について統帥は知りたい事があった。

 統帥室の中、ネオ達は横に並んで整列を成す。


「何故呼び出したか検討はついているだろう」

「ロッドの事でしょう。それより俺からも質問させてくれ。アンタに」

「何だ。言ってみろ」

「何であいつがロボットなのか。それを隠してた理由も。全部洗いざらい話してもらおうか。何も話さねぇなら俺らは命令に従わねえ。自分達でロッドを探す」

 ネオも、リックもルウも堅い決意の眼をテドウに向けた。テドウは口端を結んだが、しばらくの沈黙の後で唇を開いた。

「ネオ。リック、それからルウ。私はお前達の過去を知っている。血肉を見ても両足で立って歩かねばならぬ苦しさを。お前達にも分かるだろう。シヴァは私の家族だ。お前達も例外ではない。いいだろう。お前達に私の過去を教えてやる」


 テドウは、深く腰をかけて座り直すと、アームレストに搭載しているスイッチへ指を滑らせた。すると、天井から脳の形をした機械装置が降り、極細のプラグのような配線が伸びたと思えば、テドウの頭へ何十本ものプラグが差し込まれた。脳型機械装置は青く光を帯びた。

「これは、私の記憶。いや、記録と言おう。偽造(フェイク)は不可能。お前達に体感して貰う。過去の悲劇の物語を」

  ネオら三人の足元の床からそれぞれ、体感共有式グローブチェアが出現した。大掛かりな設備が仕掛けられており、三人用のVRが取り付けられていた。

「座りたまえ」

 テドウに言われるまま三人共腰を下ろすと、プログラムが作動し体を固定され、映像とシンクロするためのケーブルが体のあちこちに貼り付いた。

  この装置は度々、ペナルティの際にも使用されるので、若干の冷や汗が垂れるのは致し方ない。

「では、開始しよう」

 テドウがそう唱えた時、辺りは青い空と焼け野原だった。静けさを遮る爆音が聞こえた。そこに独りぼっちの少年が、ぼろぼろの布切れを纏って、裸足で地面を蹴ってがむしゃらに逃げているのが見える。

 これが、若き頃のテドウ少年の記憶である。ネオ達は、息を飲んで見眺めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ