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天使と悪魔と黙示録  作者: 如月 ライア
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出会い

「ルシフェル様、探しました」

後ろから呼びかけられ私は振り向いた。

「ミカ、何かあったの?」

彼はミカエル。私の自慢の部下だ。

「はい、先程天界に悪魔が侵入したと下級天使が報告に」

まただ、下級天使は悪魔とみれば必ず悪と決めつける。

私はこの天界を変える為に天使長になったのに・・・何も変えられていない。

天使長になった、あの日から・・・何も。

「分かったわ、私の方でも探しておく」

そう言ってミカに背を向け翼を出現させる。

私を見つめるミカの悲しげな顔に気付かぬ振りをして・・・

「ルシフェル様・・・」

心配そうに私の名を呼ぶミカに微笑んで見せる。

大丈夫だと言う様に。

そして、私はその場を後にした。

***************

ん?

天界に侵入したという悪魔を探していた私は建物の陰で座り込む黒いフードを目深に被った少年を見つけた。

具合いでも悪いのだろうか?

私は、ゆっくりと彼の傍に降り立った。

瞬間彼が警戒心を露わにし、逃げ出そうとしたのが分かった。

「待って、何もしないわ。具合いが悪そうだったから・・・」

私の言葉に彼は振り向き

「僕に近寄るな!」

そう言った彼の瞳は傷ついた獣の様だった。

よく見ると服に血が滲んでいるのが分かった

「そんな怪我で何言ってるのよ!」

私は彼の手を掴んだ。

一刻も早く手当てをしなければ。

「っ!離せ!」

彼が私の手を振り払った。瞬間、反動でフードが外れた。

目に飛び込んで来たのは緑色の綺麗な髪。

そして・・・額の刻印。

「あなた・・・悪魔ね」

悪魔は必ず体の何処かに悪魔である事を示す刻印がある。翼や角は隠せても刻印だけは隠せない。

私が、そう言うと彼は怯えた様にフードを被り直した。

「だったら?僕を殺す?それとも捕まえて捕虜にでもする?言っておくけど僕を捕まえた所で魔王様はきにもしないだろうね」

彼は自嘲君にそう言った。

何か返さなければ、そう思って口を開いた瞬間複数の羽音が聞こえた。

「っ!隠れて!」

「は?何で、僕を捕まえるんじゃ・・」

「いいから早く!」

私は強引に彼を建物の陰に隠した。

「ルシフェル様!この辺りで悪魔を見かけませんでしたか?」

そう言いながら眼鏡をかけた青年、上級天使のラファエルが私に近寄って来た。

「いいえ、見ていないわ」

「そうですか」

「何時も言っているけれど悪魔だからと言って、むやみに攻撃しては駄目よ」

「はい、心得ております。今回も攻撃といった攻撃はしておりません。話を聞こうと近づいた所、攻撃して来たので応戦したまでです怪我を負っていたとしても掠った程度でしょう」

え?ラファエルは真面目で任務について嘘など言わない。

その彼が言うのだから本当に大した攻撃はしていないのだろう。

だったら、あの怪我は?

「では、私はこの辺で失礼いたします」

そう言うとラファエルは連れていた数人の下級天使と共に飛び去っていった。

あの怪我を負わせたのが天使で無いのなら一体誰が?

「あんた、何で僕を助けたの?」

物陰から出て来た彼が、そう聞いて来る。

「そんな事より、先ずは傷の手当てでしょう?」

そう言って私は再び彼の手を掴んだ。

彼も今度は抵抗し無かった。

私は、そのまま彼の手を引き家に連れ帰ったのだった。






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