序章
昔から神話が好きだった私ですが、そんな私の趣味が盛り沢山の話になっております。
楽しんで頂けたら幸いです。
私はどうすれば良かったのだろう。
遠のく意識の中で私はそんな事を考えていた
時間を巻き戻す事が出来たら・・・
いや、それでも私は何度でも同じ選択をするだろう。
自分で決めた事だ。後悔なんてしない。
ただ、一つだけ気がかりがあるとすれば・・
この世で何より愛おしい彼に、こんな顔をさせてしまった事だろうか。
これが私の人生で唯一の後悔か・・・
そういえば、『後悔の一つも無い人生何て味気ない』と何処ぞの賢者が言っていた。
今にも泣き出しそうな彼に私は微笑んで見せた。
上手く笑えただろうか・・・
『愛してる』
私は自分の命の灯火が消えて逝くのを感じながら告げた。
死に行く者の言葉程、誰かを縛るものは無い。分かっていた筈なのに・・・それでも言わずには・・・告げずには居られなかった。
それが、ただの自己満足だと分かっていてもちゃんと言葉になっただろうか。
それを確認する力も、もう無い。
沈みゆく意識の中で
『見つけるから』
そんな言葉が聞こえた気がした。