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幕間――名前



「そういえば、ねえ、なっちゃん。宮田先生の下の名前って何だっけ?」


 バレンタインの日に嫌な目にあって以来、あたしは宮田を避けていた。元々好きでなかったのだからどうでもいいことなのだけど、ふと疑問に思ったのだ。


「宮田先生? セイもやっと先生の魅力に気がついたの?」


「ままま、まさか! ただ思っただけだよ!」


 そんな怖いことあってたまるものか。


「まあいいけど。でも私も覚えてないなあ。名前、名前かぁ。何だったかなあ。隣の担任なんだから、誰かに聞いてみようか」


 なっちゃんが椅子から立ち上がって隣の教室に行こうとする。さすがにそこまでは、と思い慌てて止める。


「そこまでしなくていいよ。ちょっと気になっただけなんだから」


「え、そう。……でも私も気になるから機会があったら聞いとくね」


「あ、うん」


 改めて椅子になっちゃんが座りなおした。本当にちょっと疑問に思っただけだ。別に知りたいわけじゃない。寧ろこれで調べてしまったらあたしが負けたような気がする。それは嫌だ。すごく嫌だ。


「それにしても、セイの口から宮田の名前が出てくるなんてね。授業のこと以外で初めて聞いたかも」


 え……?


「そんなこと、ないよ」


 そんなはずはない。確かに授業のこと以外であまりその名前を口にしないけど、だからって一度もないってことはないだろう。それじゃあ、まるで急に宮田を意識し始めたみたいじゃないか。


 そうよ、あたしが宮田に興味なんて持つわけがないんだから。名前なんて、別に知らなくてもいい。あたしはなっちゃんに首を傾げられながら、一人頷いた。




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