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受付嬢


「アキト様、奴隷の購入はお済ですか?」


キュピーーーン!

うお、まぶしっ!


「ど、どどどd奴隷ですか?」


思わず気圧されてどもっちまった。


「はい。少々業務からは外れるのですが・・・もし、お時間があればご説明させて頂けませんか?」


なんだ、急にどうしたんだマチルダさん。

目がらんらんとしてるぞ。


「大変失礼ですがアキト様、市民階級となっておりますが、元は貴族階級のご出身では?」

「え、ええ。元は貴族だったのですが没落してしまいました」


やはり、と頷いている。


「アキト様、アキト様のような方にこそ、奴隷が必要でございます」


異世界初日に奴隷かよ。

ハードル高いよ。


「アキト様はご存じないかもしれませんが、迷宮探索において最も危険なのはパーティメンバーです」


言い切っちゃったよ、この人。


「アキト様、財を築くにあたって最も簡単な方法は、他者から奪い取ることでございます」


黒いってw

生臭すぎるよw


「証拠の残らない迷宮、隣には金を持っている仲間、自分の手には武器、これだけ条件が揃えば結末は火を見るより明らか!」


立ち上がって演説し始めたぞ、この姉ちゃん。


「殺人までには至らなくとも、パーティ内での揉め事など日常茶飯事でございます!そんな魑魅魍魎のなかにアキト様のような貴族のぼんぼんが・・・いえ、失礼、育ちの良い方が入れば、揉めないはずがございません!」


おい、今なんて言った?


「そこで奴隷!アキト様に奴隷はぴったりでございます!奴隷を従え、支配し、心の底から服従させるのです!アキト様!」

「だああああ! 声が大きい! 人聞きの悪い!」



カウンターの奥のほうから声が聞こえる


「ねぇねぇ、あの子、奴隷が欲しいみたいよ」

「うふふ、きっと女の奴隷を買って青い性に身を任せ・・・」

「可愛いーじゃない(笑) 奴隷の前に私が教えてあげよっかなー」

「ムリムリ、きっと奴隷と主人っていう関係がないと女の子と話せないんだわ(笑)」

「まっ、恋愛関係と支配関係を混ぜるなんて若いくせに罪深いわねぇ・・・」

「私はそれも結構ありだけどなー」

「やだー(笑)」



これは・・・涙?

私、泣いてるの?



「お、おほん。失礼しました。しかし、アキト様、迷宮探索において奴隷を使うのは比較的ポピュラーな手段です」


今更声を低くしても遅いよ(涙)


「通常、パーティーは同郷の者同士といったように、何らかの地縁血縁を元に結成されます」


ふむふむ。


「或いは貴族の方ですと、家臣団や高級奴隷を連れて迷宮に入られます。そのどちらにも当てはまらないぼっちは・・・ゴホン、気高きソロの方は奴隷を購入されるのが一般的です」


おい、もうわざとやってるだろ、このアマ!


でもちょっと気になっちゃう、男の子だもん。


「アキト様には高級奴隷はお勧めできませんが、借金奴隷や戦争奴隷なら、1からアキト様と共に成長し、心強いパーティメンバーになると確信します」


借金奴隷に戦争奴隷ね・・・ははーん、読めてきたぞ。


「なるほどねぇ。探索者がギルドに預金して、ギルドは貸付を行う。焦げ付いたら借金奴隷にしてギルドは損をしないって訳か」


ふふふ、とマチルダさんは笑って更に言った。


「それだけではございません。戦争になれば傭兵となる探索者の方も多うございます。戦利品として奴隷を手に入れても、奴隷に教育する暇は無し、かといって奴隷商も一見の客から奴隷を仕入れるわけには参りません」


マチルダさんの説明によると、高級奴隷というのは自分の技能を生かすために自ら奴隷になる人のことを言うらしい。

この人たちは高い能力を生かして、貴族の家庭教師になったり武術師範になったりするそうだ。

普通の市民より高給取りで、いずれ自分の身分を買い戻せば、市民権を得られるそうだ。

しかも、それまでの勤め先などのコネができる。


他方、借金奴隷や戦争奴隷は大抵は安い労働力としてこき使われ、鉱山や大規模農場にでも売られたら、もう目も当てられない。


「ですので、探索者の、それも初心者の方は奴隷に人気でございます。無理に高Lvダンジョンに連れて行かれることもなく、主人と一緒に成長すれば、貴重なスキルを身に付けられます。多少の危険や性的奉仕は織り込み済みですわ」


なるほどなるほど、よく出来てるな。

納得できるわ。

決して性的奉仕に惹かれたわけではない。


「それに、このジルコは初心者の探索者が集まる街として有名ですから、若く質のいい奴隷が集まっております。そして、アキト様。ここだけの話なのですが・・・」


というとマチルダさんが近付いてきた。


「・・・実は1週間ほど前、国境付近で小競り合いがあり、幾つかの村がなくなりました。普通ならかなりの死者が出るところ、不思議なことに今回は生きたまま奴隷になった人が多いのです」



その瞬間、背中に電流が走った。


俺が死んだのが1週間前。

俺にイズマイールの説明をしていたアイリスさんは、急に仕事が入ったと言っていた・・・。


参った参った。

納得したよ。

奴隷買うよ。


「ところでさ、マチルダさんはなんでそんな情報を?」


最後に疑問に思ったことを聞くと



「ふふふ、私の実家は奴隷商ですの」



本当に参ったわ。





















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