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ケバブ

てくてくと歩きながら、気になっていたスキルを試してみることにした。


鑑定


ステータス閲覧能力だと聞いていたけど、スキル名からすると明らかにアイテムにも使えそうだ。

手に持っているロッドを見つめて、なんとなく鑑定と念じてみた


ロッド:高品質 初心者用の短杖 片手用


おお、やっぱり!


これはありがたい。

物の良し悪しなんて初心者が見て分かるようなもんじゃないしな。

粗悪品を掴まされる心配はなさそうだ。


気になっていた指輪も鑑定してみる。


銀の指輪:高品質 女神アイリスの祈りが籠められた指輪。少しだけ勇気がわく。


これは・・・良いのか悪いのか。

女神の祈りが籠められているにしちゃ、ちょっと効果がしょぼくないか。

でも、戦闘どころか喧嘩すら10年以上やってない俺には何よりありがたいのかもしれない。

なにより、アイリスさんとはもう会えないんだから大事にしなくちゃな。


装備品を一通り鑑定してみると、どれも高品質のものばかりだった。


道中、ササキナ草の群生地を見つけたので、葉っぱを20枚ほど採取した。

ササキナ草はポーションの材料になるし、生のまま傷口に貼れば止血消毒、乾燥させてお茶に混ぜれば腹痛や腹下しに効くらしい。アイリスさんが生きていた時代から愛用されている万能薬草だ。



ジルコの西門に着いたのは夜が完全に明けきった頃だった。

3M位の立派な石壁で囲われていて、門の前には近郊の農家の人たちが農産物を荷車に積んで並んでいる。

農家の人は門番と顔見知りらしく、ほとんど顔パスだ。


ひそかに門番に向けて鑑定を使うと



トマス

人間

32歳 男


レベル:10

職業:戦士Lv10


HP220/220

MP15/15


戦闘スキル

なし


非戦闘スキル

顔記憶Lv3


ジョブスキル

スマッシュLv5

へヴィスマッシュLv5


トマスさんっていうのか。

顔記憶ってスキルがあるから門番に向いているんだろう。


驚いたことに俺のHPはLv10の戦士と同じくらいあるらしい。

MPに至っては比べものにならない。


「む、お前は見ない顔だな。ちょっとこっちでチェックさせてくれ」


とトマスさんに呼ばれると、でかい水晶玉をもってきた。


「クリスタルを出してくれるか」

「はい。クリスタル・オープン」


キタ!一度やってみたかった!

呪文とともに左手からサイコロ状の透明なクリスタルが出てくる。

ヤバイ、興奮する。でもちょっと恥ずかしいw


クリスタルと水晶玉を近づけると、水晶玉が反応した。


「えーっと、アキト・ハセベ 市民階級 ナ国の出身か。黒髪黒目で姓があるってことはナ国の貴族出身か?」

「はい。貴族だったのですが没落して祖父と旅をしていました。両親はいません。祖父も先月亡くなったので、迷宮探索で身を立てようかと」


というとトマスさんは気の毒そうな顔をした。


「そうか。ここの迷宮は初心者向きだが、十分に注意するんだぞ。困ったことがあったら俺に聞け」


トマスさんめっちゃいい人。ちょっとウルっときた。


「道中でササキナ草を採ったんですが持ち込めますか?」

「ほう、ちゃんと葉だけを採取してるじゃないか。根から引っこ抜かなかったのは感心だな。探索者ギルドで買い取ってもらえるし、薬屋や宿屋に渡しても喜ばれるぞ」

「分かりました。探索者ギルドで登録したいのですが」

「真直ぐ進んで中央広場にある。迷宮は南門から出て15分くらいだな。中央広場から南門に向けて探索者向けの宿屋が並んでいるが、中央広場寄りの宿にしておけ。南門付近は荒っぽい奴らが多いからな」


トマスさんめっちゃいい人じゃん・・・

お礼を言って早速探索者ギルドに向かう。


中央広場付近で朝市をやっていたので屋台で朝飯を買うことにした。

塊肉を焼いて薄切りにしたものを薄焼きパンに野菜と一緒に挟んでる奴がうまそうだ。

白いソースがたっぷりかかっている。


銅貨6枚でケバブモドキとジュースがついてきた。

ガブリつくとかなりイケル。

白いソースはヨーグルトだな。

肉はなんだろう・・・牛っぽいけど・・・

肉にしっかり下味がついてるし香辛料も効いてる。

野菜も新鮮だし、サイコロ状にカットされた林檎っぽい果物もヨーグルトソースとあうぞ。

これはかなり当たりだ。

個人的には肉料理と果物の組み合わせはアリ派だ。

ハムステーキを焼くときはパインを入れたくなる。


ケバブモドキを頬張ってジュースで流し込むと、驚いたことに炭酸が効いていた。

メロン味のジュースだからメロンソーダもどきだ。


これは嬉しい誤算だな。

実は俺は炭酸飲料に目がない。

酒をあまり飲まないかわりに、飲み会ではコーラを鯨飲していた。


口いっぱいにケバブモドキを頬張れば、肉!野菜!パン! それをメロンソーダモドキで流し込む。


くは~~~ 効くわ~。

これはマジで嬉しい。

イズマイールの食生活に超期待できる。

まさか一度死んで異世界来てジャンクフードにありつけるとは思わなかった。


ホント異世界来てよかった・・・

銅貨6枚で感動できるんだから安いものだ。


飯一つでこんなに感動できるのも日本人ゆえだろうか。

そう考えると日本人ってのは安く上がるなw

旨い飯食わせておけばそうそう文句も出ないだろう。

アイリスさんも苦笑してるだろう。


などと益体もないことを考えながら朝飯を平らげ、探索者ギルドについた。














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