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困惑


 シルヴァーナの探索者登録とパーティ登録を済ませて宿に帰ってきた。


 今日の夕飯はミートソーススパゲッティとパン、サラダ、スープだ。


 ミートソースは挽肉と玉ねぎ、人参、セロリ、マッシュルームとニンニク少々、それにたっぷりのトマトを使って作られたガルドさんの得意料理だ。

 スパゲッティに絡めるだけではなく、パンの上に乗せて食べるのも旨い。

 

 今日はミートソースだけでなく、大きなミートボールもついている。

 たっぷりのオリーブオイルで一度揚げ焼きし、その後ソースと一緒に煮込まれているから形が崩れないし、味がしみ込んでいる。

 噛り付くと中からチーズがドロっとあふれ出てきた。


 ミートボールをパンの上に乗せ、わざと潰して食べる。

 それを見ていたシルヴァーナが早速真似をした。


 そういえばセロリって苦手な人多いよな。


「シルヴァーナは好き嫌いはないか?」

「はい。ありません」


 いいことだ。


「ここの料理は気に入った?」

「はい! とっても美味しいです」


 尻尾が振られている。

 本当に気に入ったようだ。


「ところでシルヴァーナは料理できるか?」

「出来ますが、さすがにここの料理ほどでは……」

「ああ、それなら大丈夫だ」


 今、俺はパーティメンバー増員を検討している。


 パーティ登録の為にギルドへ行った際、マチルダさんにパーティの仕様を教えて貰った。

 パーティで敵を倒すと、経験値は分割されずに全員に入るそうだ。

 パーティメンバーの上限は6人。

 ソロで倒しても6人で倒しても、俺に入ってくる経験値の量は変わらない。

 これは逆に言えば、モンスター1体あたりの経験値の総量が6倍になることを意味している。

 お金の分配を考えなければ、パーティメンバーは多ければ多いほど得だ。


 そして俺はパーティメンバーを奴隷で揃える予定だ。

 一定の給金さえ支払えば、ドロップアイテムの分配を考える必要はない。


 要は会社経営だ。

 俺がオーナー兼社長。

 パーティメンバーは社員。

 装備品やメンバーの衣食住は費用と考えればいいだろう。

 どこまでパーティメンバーを増やして黒字を出せるかが問題だ。


 他方で、パーティ枠の上限が6というのも問題だ。

 適当に人を集めるという訳にはいかないだろう。


 普通の探索者なら、余った奴隷を解放したり転売したりすればいいのだろうが、俺の場合はそうはいかない。

 経験値増加やデュアルジョブなんかの特殊スキルがバレたら目も当てられない。


 しかしながら、パーティメンバーを増やさないという選択肢は取れない。

 せっかく異世界に来たのに、シルヴァーナと二人でひっそり、こそこそと生活するなんて御免こうむる。


 パーティメンバーが増えれば、宿屋暮らしは不経済だ。

 パーティ用の1か月単位の貸家なんてのもあるそうだ。


 そこで最初のシルヴァーナは料理できるのか、という問いに戻るわけである。


「あ、あの……ご主人様?」


 うーん、パーティメンバーの構成は……。

 しかし信頼関係が……。


「ご主人様?」

「あ、すまん」


 考え込みすぎていたようだ。


「ご主人様、そろそろ時間になるかと」

「そ、そうか。もうそんな時間か」


 さて、これから風呂へ行かねばならない。

 

 シルヴァーナとは信頼関係を築く必要がある。

 その為には裸の付き合いが一番だ。

 そこに男女の別はない。

 エルゴ(ゆえに)、俺はシルヴァーナと風呂に入る必要がある。

 Quod Erat Demonstrandum

 完璧だ。

 

 

 

 ディアナさんのところへ行って、公衆浴場へ入れてもらった。

 

「あれ? 他に人はいないの?」


 付近の奴隷が集まってくるんじゃなかったっけ。


「皆、あちらの部屋で仲良くしておりますわ」


 そう言って阿〇片室の方を指差した。

 

「あぁん……もっと……」

「ぉぉぅ……ふぅ……」

「大漁っ!!イサキぃぃ!!」


 教育に悪いなんてもんじゃねぇぞ!

 シルヴァーナ、見ちゃいけません! じゃない、聞いちゃいけません!



 急いで浴室に向かって風呂に入った。

 俺も裸、シルヴァーナも裸、なぜかディアナさんも裸。


「さあ、シルヴァーナ、私と一緒にアキト様を洗って差し上げましょう」


 シルヴァーナも「はい!」なんて良い返事をしている。


 いや、嬉しいけど……


「ルドルフ様からシルヴァーナのことを頼まれましたの。私もルドルフさんの商館出身なんですよ」


 シルヴァーナの真っ白な肌、上向きにツンとした大きな胸……

 ディアナさんの浅黒い肌、立派なロケットおっぱい……


「まぁ、アキト様。シルヴァーナ、ご奉仕して差し上げなさい」


 ディアナさんがそう言うと、シルヴァーナが跪いて言った。


「ご主人様、シルヴァーナがご奉仕いたします」


    

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