第97話 山の遺跡
朝。
ブロックンの城門前。
山へ続く道。
準備を整えたルークたちの前に――
見覚えのある顔が立っていた。
「おう」
大斧の戦士が笑う。
昨日、酒場で会った勇士だ。
その後ろには仲間たち。
6人。
リーナが目を丸くする。
「え?」
ミカサが笑う。
「なんや」
「ついてくる気満々やん」
戦士は肩を回した。
「山行くんだろ?」
ルークが聞く。
「……聞いてたのか」
戦士が笑う。
「聞いてはないが、大体わかるさ」
ニヤリと笑った。
「俺たちも行くぜ」
「街の問題だからよ」
別の勇士が槍を持ち上げる。
「昨日の借りもあるしな」
さらに一人が言う。
「リーナちゃんにもカッコ悪いままの俺たちじゃ情けねえ」
「いいとこ見せねえとな」
リーナが小さく笑う。
「頼もしい」
ミカサが肩をすくめる。
「今回は人数多い方がええやろ」
ルークは少し考えた。
そして頷く。
「……分かった」
大斧の戦士が笑う。
「よっしゃ」
「決まりだな」
山道。
岩場。
針葉樹の森。
道は険しくなっていく。
やがて――
勇士の一人が止まった。
「……気配」
ルークも頷く。
「前だ」
岩の向こう。
黒いローブ。
見張り。
「教団だ」
戦士が言う。
「行くか?」
ルークは首を振る。
「任せる」
勇士たちを見る。
戦士が笑った。
「言われなくても」
次の瞬間。
勇士たちが飛び出す。
斧。
槍。
剣。
教団の男たちが叫ぶ。
「侵入者!」
魔石が光る。
地面が震える。
岩が砕ける。
そして――
現れた。
石の巨体。
守護ゴーレム。
高さ6メートル。
勇士の一人が笑った。
「ちょうどいいぜ!」
斧の戦士が突っ込む。
ゴーレムの拳。
振り下ろし。
ドン!!
地面が砕ける。
だが戦士は避ける。
槍の勇士が跳ぶ。
関節を突く。
ガキン!!
石が割れる。
リーナが後方から叫ぶ。
「左脚!」
弓を引く。
風魔法を纏わせた矢。
3連射。
ヒュン! ヒュン! ヒュン!
関節に刺さる。
ゴーレムが揺れる。
ルークが手をかざす。
風魔法。
ゴーレムの足元から――
竜巻のような風が巻き上がる。
巨体が大きく体勢を崩す。
「今だぁ!」
戦士が叫ぶ。
斧が振り下ろされる。
ドン!!
胸の魔石が砕けた。
ゴーレムが止まる。
そして――
崩れ落ちた。
土煙が舞う。
勇士たちが息を吐く。
「はぁ……」
槍の男が笑う。
「やったぞ」
斧の戦士も笑う。
「昨日より楽だった」
リーナが言う。
「みんなすごいじゃん」
戦士が照れながら肩を回す。
「昨日の戦い見たからな」
「コツが分かった」
ミカサが笑う。
「なぜかリーナはん人気もんやな」
その時だった。
ルークが前を見る。
「……あれ」
岩の奥。
石の壁。
人工物だった。
リーナが近づく。
「これ……」
崩れた入口。
石柱。
古い紋章。
ミカサが言う。
「遺跡やな」
勇士たちも見合わせる。
「山の中に?」
「こんなもんあったか?」
ルークが壁に触れる。
「……掘り起こされたんだと思う」
「入口が出てきたんだ」
古い文字。
見覚えがある。
歴史館。
石板。
同じ文字。
ルークの顔が変わる。
「……まずい」
リーナが聞く。
「どうしたの?」
ルークが言う。
「これ」
「封印だ」
勇士たちがざわつく。
「封印?」
ルークは頷く。
「厄災の封印だ」
静寂。
ミカサが呟く。
「ほな」
「教団の連中……」
リーナが言った。
「封印を」
「解こうとしてる」
風が吹く。
山の奥。
遺跡の奥から。
黒い空気が流れていた。




