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第96話 地下祭壇

石の階段は深く続いていた。


 地下へ。


 一段。


 また一段。


 湿った空気が漂う。


 下から光が漏れていた。


 リーナが小声で言う。


「結構深いね」


 ルークが頷く。


「うん」


 やがて階段が終わる。


 広い空間。


 地下の空洞だった。


 中央には石の祭壇。


 黒い魔石がいくつも並んでいる。


 その周囲に――


 黒いローブの男たち。


 5人。


「運べ」


「神の器にする」


 低い声が響く。


 リーナが呟く。


「……完全に黒だね」


 ルークも同意した。


「うん」


 その時だった。


 男の一人が振り向く。


「誰だ!」


 空気が一瞬で張り詰める。


 ルークは小さくため息をついた。


「バレたか」


 リーナが短剣を構える。


「静かに行けると思った?」


 ルークが肩をすくめる。


「思ってた」


 次の瞬間。


 男たちが叫ぶ。


「侵入者!」


「神の敵だ!」


 ローブの男が魔石を掲げた。


 黒い光が走る。


 床が震える。


 石が盛り上がる。


 ゴーレムの腕が生まれた。


「またか」


 ルークが剣を抜く。


 石の腕が振り下ろされる。


 ドン!!


 地面が砕けた。


 ルークは横へ滑る。


 剣が閃く。


 ギン!!


 石の腕が砕ける。


 その隙に。


 リーナが動く。


 一瞬で距離を詰める。


 短剣が閃く。


 ローブの男が倒れる。


 残り4人。


「神に栄光を!」


 男たちが魔石を掲げる。


 黒い光。


 石の柱が突き上がる。


 だが――


 ルークが踏み込んだ。


 一瞬。


 距離が消える。


 剣が走る。


 ドン!!


 魔石が砕けた。


 男が倒れる。


 リーナが次を倒す。


 短剣。


 喉。


 沈黙。


 残り2人。


 男たちの顔が変わった。


「撤退だ!」


 煙玉が弾ける。


 地下が煙に包まれる。


「ちっ」


 ルークが追う。


 だが。


 すでに姿は消えていた。


 地下の奥。


 逃走路。


 リーナが言う。


「逃げられた……」


 ルークは息を吐く。


「……数人はね」


 地面を見る。


 一人の男が倒れていた。


 気絶している。


 リーナが言う。


「収穫はあったみたいね」


 ルークが頷く。


「話を聞こう」


 男を揺らす。


 目が覚める。


 ローブの男が笑った。


「……神に栄光を」


 次の瞬間。


 口の端から血が流れた。


 リーナが目を見開く。


「え?」


 男の体が崩れる。


 ルークが舌打ちする。


「毒だ」


 男はすでに息をしていなかった。


 地下の空間に沈黙が落ちる。


 リーナが言う。


「……まずいね」


 ルークも同意する。


「うん」


「完全に組織だ」


 祭壇。


 黒い魔石。


 逃げた教団。


 証拠は残っている。


 だが――


 敵も動き始めた。


「一度戻ろう」


 リーナが頷く。


「ミカサに話さないと」


 夜。


 宿。


 ミカサがテーブルに座っていた。


「おかえり」


 ルークが椅子に座る。


「地下祭壇があった」


 ミカサの眉が上がる。


「ほう」


 リーナが説明する。


「カルト教団」


「黒い魔石」


「ゴーレムの核」


「数人逃げた」


 ミカサが腕を組む。


「……なるほどなぁ」


 ルークが言う。


「一人捕まえた」


「でも」


 リーナが続ける。


「毒で自害」


 ミカサが小さく息を吐いた。


「そら厄介や」


 窓の外を見る。


 遠くの山。


 闇の中。


 そして呟く。


「山の方によからぬ輩がおる」


「って情報は確かやったみたいやわ」


 ルークが言う。


「カルト教団の拠点は山だ」


 ミカサが頷く。


「せやろな」


 少し沈黙。


 ミカサが笑う。


「それはまずいな」


 ルークが聞く。


「何が?」


 ミカサが指を立てる。


「相手さんも」


「危機感持ったってことや」


「本腰入れて動き出しよるで」


 リーナが言う。


「じゃあ」


「先に動く?」


 ミカサが笑う。


「せや」


 ジョッキを持つ。


「明日」


「山行ってみよか」


 ルークが頷く。


「そうだな」


 リーナも頷く。


「決まりだね」


 ブロックンの夜。


 山の奥では――


 黒い影が動き始めていた。

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