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第95話 影を追う

城壁の上。


 風が吹く。


 山脈が遠くまで見える。


 リーナはまだ少し頬を赤くしたままだった。


 ルークの横を歩く。


 さっきの言葉が頭から離れない。


 かわいい。


 思い出す。


 また顔が熱くなる。


(なんであんなこと普通に言えるのよ……)


 横を見る。


 ルークは普通に景色を見ている。


 まったく気にしていない顔。


 リーナは小さく舌打ちする。


(ほんと鈍感)


 その時だった。


 ルークの足が止まる。


 リーナが振り向く。


「どうしたの?」


 ルークは少し目を細めていた。


「……あそこ」


 城壁の階段。


 黒いローブの男が降りていく。


 顔は見えない。


 だが。


 フードを深く被り、周囲を気にしている。


 リーナが小さく言う。


「……怪しいね」


 ルークも頷く。


「うん」


 男は通りを曲がる。


 人気の少ない路地へ。


 リーナが聞く。


「追う?」


 ルークは少しだけ考えた。


 昨日の話。


 カルト教団。


 災害を神と崇める集団。


 そして今日のゴーレム。


 ルークは言った。


「……行こう」


 二人は距離を取って歩く。


 男は迷いなく進んでいた。


 市場の裏。


 古い倉庫街。


 人通りが減る。


 石の壁。


 薄暗い路地。


 男が止まった。


 扉の前。


 古びた倉庫。


 周囲を確認する。


 そして。


 中へ入った。


 リーナが小声で言う。


「……当たり?」


 ルークは小さく頷いた。


「多分、当たりだね」


 二人は扉に近づく。


 中から声が聞こえた。


 低い声。


 複数人。


「準備は進んでいる」


「神の目覚めは近い」


 リーナが眉をひそめる。


「神……」


 ルークの目が鋭くなる。


 さらに声。


「次の器も用意できた」


「ゴーレムは成功だ」


 二人の視線が合う。


 リーナが小さく言う。


「やっぱり」


 ルークが頷く。


「……カルト教団だ」


 中の声が続く。


「だがまだ足りない」


「四柱の力には届かない」


 その言葉で、空気が変わった。


 四柱。


 歴史館。


 石板。


 災厄。


 ルークの背筋が冷える。


 男の声が続く。


「もっと核を集めろ」


「街の防衛兵器でもいい」


「神の器にする」


 リーナが呟く。


「……まずいね」


 ルークも同意した。


「うん」


 その時だった。


 ギィ……


 倉庫の奥。


 床が動く音。


 誰かが言う。


「地下へ運べ」


「祭壇に置く」


 リーナが目を細める。


「地下?」


 ルークは静かに言った。


「……追おう」


 リーナが頷く。


「うん」


 二人は倉庫の裏へ回る。


 小さな窓。


 中を覗く。


 ローブの男たち。


 5人。


 そして。


 床の石板が動いていた。


 地下へ続く階段。


 黒い魔石が運ばれている。


 リーナが小声で言う。


「どうする?」


 ルークは短く答えた。


「降りよう」


 リーナが笑う。


「だよね」


 二人は静かに動く。


 倉庫の影。


 窓から中へ。


 音を立てず着地。


 男たちはすでに地下へ降りていた。


 ルークが階段を見る。


 暗い穴。


 下から微かな光。


 リーナが短剣を握る。


「行こう」


 ルークも剣を抜く。


 二人は顔を見合わせる。


 そして――


 地下へ降りた。


 その奥に。


 黒い祭壇があることを、まだ二人は知らない。

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