第九話 埋めた宝と、本当の旅の始まり
翌朝。
二人は旅支度を整え、町を後にした。
「……そうだ」
歩き出してすぐ、ルークが思い出したように言う。
「少し寄りたいところがあるんだ」
「寄り道、ですか?」
「うん。大事な物を置いてきててさ」
エリシアは不思議そうにしながらも頷いた。
来た道を引き返す。
町並みが途切れ、草原へ。
やがて木々が増え、森へと変わる。
エリシアが倒れていた場所を通り過ぎ、さらに奥へ。
「ここから少し外れるよ」
獣道のような細い道を進む。
その途中、ルークはぽつりと話し始めた。
「俺さ……この世界の人間じゃないんだ」
「……え?」
「生まれた場所は、まったく別の世界」
「そこで生きて、死んで……気づいたらここにいた」
エリシアは黙って聞いている。
「今から向かう場所に、その時の贈り物を埋めた」
「武器とか、防具とか……お金とか」
「最初は持ち運べなくてさ」
やがて、見覚えのある木が現れた。
幹の根元には小さな木札。
《ここ↓》
「ここだ」
掘り出された袋の中には――
剣、防具、装飾品、大量のゼニー。
「……天の恵み、みたいなものかな」
「俺は転生者なんだ」
エリシアは静かに頷く。
「納得しました」
「だから不思議な強さを持っていたのですね」
加護の祝福セットをエリシアへ渡す。
「守ってくれる装備だと思う」
「……ありがとうございます」
淡い光が二人を包んだ。
防具も見繕い、装備を整える。
「冒険者らしくなってきたね」
「はい……少し誇らしいです」
その夜、焚き火を囲みながらルークが言った。
「この世界で最初に出会った人がエリシアさんだった」
「だから特別に感じちゃってる」
エリシアは微笑む。
「私も……ルーク様に出会えてよかった」
ルークは照れながら笑った。
「これでさ」
「お互い隠し事なしの、本当の旅のパートナーになれたってわけだね」
「はい」
二人の影が並んで揺れていた。




