第87話 商人の交渉
ラシード王城。
白い石で作られた会議室。
長い机を挟み、数人の大臣が座っていた。
その向かい側。
ルーク。
リーナ。
そしてミカサ。
沈黙が流れる。
ラシードの大臣が口を開いた。
「地下調査の結果を聞こう」
ルークが答える。
「古代遺跡でした」
部屋がざわつく。
「やはりか」
「封印施設の可能性もある」
ミカサが口を開く。
「可能性やなくて」
「ほぼ確定や」
大臣が眉をひそめる。
「……どういう意味だ」
ミカサは机に指を置いた。
「まず一つ」
「地下に石油層」
「しかも超高純度」
大臣たちの顔色が変わる。
「さらに」
「古代文明の施設」
「つまり」
指を立てる。
「そこ壊したら何起こるかわからん」
静寂。
リーナが横で小声で言う。
「……完全に脅してる」
ルークも苦笑する。
ミカサは続けた。
「今回たまたま砂海の主やった」
「でもな」
「次がそうとは限らん」
大臣の一人が言う。
「つまり?」
ミカサは言った。
「災害」
その言葉で空気が変わった。
大臣が低く言う。
「……古代の記録か」
ミカサが頷く。
「せや」
「せやからな」
机を軽く叩く。
「今回」
「英雄さんが来てくれた」
ルークを見る。
「おかげで解決した」
そしてニヤリと笑う。
「めちゃくちゃ運ええ」
リーナが小声で言う。
「ほんとに思ってそう」
ミカサが続けた。
「でもな」
「次も運ええとは限らん」
大臣たちは黙って聞いている。
そしてミカサが言った。
「せやから」
「条件の見直しや」
大臣
「……条件?」
ミカサ
「石油利権1%」
「10年」
「っていうてところを・・・」
「石油利権5%」
部屋がざわつく。
「ふざけるな」
「国家資源だぞ」
ミカサは肩をすくめる。
「知っとる」
そして静かに言った。
「でもな」
「もし災害出たら」
「採掘場どころか」
「国終わるで?」
静寂。
ミカサが続ける。
「今回」
「英雄さんおる」
ルークを見る。
「世界で一番」
「災害に強い男や」
ルークが小さく言う。
「そこまでじゃないよ」
リーナ
「もう否定しても無駄」
ミカサは笑った。
「せやろ?」
そして大臣を見た。
「この人味方につけとくんは」
「国として悪い話ちゃう」
大臣が腕を組む。
「……だが5%は高い」
ミカサは即答した。
「安い」
「災害保険や」
部屋が静まる。
大臣が言う。
「期限は?」
ミカサ
「20年」
部屋がざわつく。
リーナが小声で言う。
「増えてる」
ルークが苦笑する。
ミカサが続ける。
「あと」
「英雄活動の優先補給」
「情報共有」
「遺跡発見時の共同調査」
大臣が言う。
「……ずいぶん取るな」
ミカサが笑う。
「英雄さまの専属商人」
「マネージャーやらせてもらってますねん」
そして少し真面目な声で言った。
「でもな」
「英雄さんはな」
「世界を救う気が本気であるんや」
大臣がルークを見る。
ルークは静かに言った。
「困ってる人がいたら助けます」
その言葉で空気が変わった。
大臣はしばらく考えた。
そして言った。
「……2%」
ミカサ
「15年」
沈黙。
リーナが呟く。
「値切り合戦だ」
ルーク
「すごいね」
数分後。
大臣が言った。
「……2%」
「15年」
「それ以上は無理だ」
ミカサが笑った。
「成立や」
そして手を差し出す。
大臣も手を握る。
交渉成立。
リーナが言う。
「……すご」
ルークが言う。
「本当に商人だね」
ミカサは笑った。
「当たり前や」
そしてルークを見る。
「兄ちゃん」
「これでな」
「世界救う資金」
「一つ確保や」
砂漠の国で結ばれた契約。
それは
英雄と商人が
世界へ踏み出すための
最初の資金だった。




