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第77話 砂海の主・討伐

砂嵐が止んだ。


その瞬間。


巨大な怪物の体が止まる。


砂海の主。


古代の怪物。


全身がわずかに硬直していた。


ルークの目が鋭くなる。


「今だ!」


地面を蹴る。


重力加速。


空気が裂ける。


一瞬で怪物の懐へ入り込む。


氷の魔剣が振り抜かれた。


一撃。


鱗が割れる。


怪物が咆哮する。


だがまだ動けない。


ルークは止まらない。


二撃。


三撃。


氷の斬撃が巨体へ刻まれる。


砂海の主の体から黒い血が噴き出した。


遠くでリーナが叫ぶ。


「首の下!」


「そこ柔らかい!」


ルークも気づいていた。


ゲームの記憶。


唯一の弱点。


喉元。


ルークは跳ぶ。


重力を反転。


巨大な体を駆け上がる。


怪物の頭の横へ到達。


砂海の主が動き始める。


硬直が解ける。


「もう少し……!」


リーナが弓を引く。


魔法矢。


氷と爆発の複合矢。


「当たれ!」


矢が飛ぶ。


怪物の目へ突き刺さった。


爆発。


砂海の主が咆哮する。


その一瞬。


首がわずかに下がる。


ルークが笑う。


「ナイス」


剣に魔力を集中。


氷が刃を覆う。


冷気が爆発する。


「終わりだ」


重力操作。


剣へ圧力を乗せる。


振り下ろす。


氷の一閃。


怪物の喉元を


深く切り裂いた。


砂海の主が暴れる。


巨大な体がのたうつ。


採掘場が揺れる。


だがルークは剣を押し込んだ。


さらに魔力を流す。


氷が体内へ広がる。


凍結。


そして。


ドン――


巨体が倒れた。


砂が舞い上がる。


地面が震える。


そして静寂。


砂海の主は動かない。


古代の怪物は


完全に沈黙していた。


遠くでミカサが呟く。


「……ほんま」


「英雄やな」


作業員たちも言葉を失っていた。


竜を倒した男。


その意味を今理解した。


ルークは剣を抜く。


そして息を吐いた。


リーナが駆けてくる。


「終わった?」


ルークは頷く。


「うん」


「これで採掘場は大丈夫」


ミカサが近づいてきた。


怪物の死体を見上げる。


「いやぁ……」


「こんなん商売相手にできへんわ」


リーナが笑う。


「最初から戦ってないでしょ」


ミカサは肩をすくめた。


「うちは頭使う係や」


そしてルークを見る。


「せやけど」


少し真面目な顔になる。


「これはあかん」


ルークが聞く。


「何が?」


ミカサは採掘坑を指差した。


「こんなん出てくるってことは」


「地下、相当荒れとる」


ルークも同じことを考えていた。


砂海の主。


あれほどの古代生物が


地上へ出てきた理由。


ルークは地面を見る。


砂の下。


まだ魔力の流れが乱れている。


「……採掘だな」


ミカサが頷く。


「せやろな」


「地下を掘りすぎとる」


リーナが小さく言う。


「つまり」


「人間が起こした問題?」


ルークは少し黙った。


そして言う。


「たぶん」


砂漠の風が吹く。


古代の怪物は倒れた。


だが。


この問題はまだ終わっていない。


砂漠の地下には――


まだ何かが眠っている。


そして。


竜を討った英雄の名は


また一つ


世界へ広がっていく。

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