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第75話 砂漠の怪物

採掘場の空気は重かった。


砂に混じる油の匂い。


黒い煙が空へ伸びている。


作業員たちは遠巻きにルークを見ていた。


「さっきの狼だけじゃないんです」


現場監督の男が言う。


「ここ数日……」


「地面が揺れる」


ルークが静かに聞く。


「揺れる?」


男は頷いた。


「地下から何か来るんです」


ミカサが腕を組む。


「やっぱりな」


リーナが聞く。


「原因は?」


男は首を振る。


「わかりません」


「ただ……」


その時だった。


ズン――


低い振動。


地面がわずかに揺れる。


作業員の顔が青くなる。


「来た……!」


次の瞬間。


砂が爆発した。


巨大な何かが地面を突き破る。


砂の柱が空へ吹き上がった。


姿を現したのは――


巨大な口。


岩のような皮膚。


何十枚もの歯。


砂漠の怪物。


砂竜サンドワーム


全長は二十メートルを超えていた。


リーナが息を呑む。


「でかっ……!」


ミカサが呟く。


「なんやこれ……」


砂竜が咆哮した。


地面が震える。


そのまま突進。


作業員へ向かう。


「下がって!」


ルークが叫ぶ。


重力操作。


作業員たちの身体が後方へ引き寄せられる。


その直後。


砂竜が通過した。


地面が大きく抉れる。


リーナが弓を構える。


「口の中狙う!」


矢が放たれる。


魔法矢。


爆発。


しかし。


砂竜の皮膚はほとんど傷つかない。


ミカサが驚く。


「硬すぎやろ!」


ルークは冷静だった。


砂竜の動きを見る。


地面。


砂。


振動。


「なるほど」


リーナが聞く。


「何かわかった?」


ルークが言う。


「こいつ」


「砂の中じゃ速い」


次の瞬間。


砂竜が再び潜った。


砂の中を高速移動。


地面が波のように盛り上がる。


ミカサが叫ぶ。


「来る!」


砂が爆発。


真下から突き上げ。


ルークは跳んだ。


影拘束。


黒い手が砂竜の身体へ絡みつく。


しかし。


巨体が強すぎる。


引き止めきれない。


「重い……!」


砂竜が暴れる。


巨大な尾が振り回される。


採掘塔が一つ倒れた。


鉄骨が折れる。


リーナが驚く。


「街が壊れる!」


ルークは決断した。


「砂の中が強いなら」


氷剣に魔力を流す。


刃が白く輝く。


「地上に引きずり出す」


重力操作。


周囲の重力が一気に落ちる。


砂竜の動きが鈍る。


その瞬間。


ルークが踏み込む。


氷斬撃。


巨大な身体を切り裂く。


砂竜が暴れる。


咆哮。


だが。


ルークは止まらない。


重力加速。


二撃。


三撃。


氷が肉へ食い込む。


リーナの矢が飛ぶ。


爆発。


砂竜の動きが止まる。


ルークが跳んだ。


口の真上。


剣へ魔力を集中。


「終わりだ」


氷剣が振り下ろされる。


一閃。


巨大な口が真っ二つに裂けた。


砂竜が倒れる。


地面が揺れる。


そして――


静寂。


作業員たちが呆然とする。


ミカサが口を開けたまま言う。


「……えぐ」


「ほんまに竜倒したんやな」


ルークは剣を収めた。


しかし。


その目はまだ地面を見ていた。


砂の下。


もっと深く。


まだ魔力が動いている。


ルークが呟く。


「……違う」


リーナが聞く。


「何が?」


ルークは静かに言った。


「こいつ」


「逃げてきただけだ」


ミカサが顔を上げる。


「逃げてきた?」


ルークは砂漠の地面を見つめる。


地下深く。


もっと巨大な気配。


「本命は」


「まだ下にいる」


砂漠の風が吹く。


地下で――


さらに巨大な何かが動いていた。

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