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第66話 おひとりパーティ



焼け跡の村は、まだ煙の匂いが残っていた。


黒く焦げた柱。

崩れ落ちた家。

地面にこびりついた焼痕。


ルークはその中心に立ち、拳を握る。


ここで人が生きていた。

笑っていた。

暮らしていた。


それが――一瞬で消えた。


ドラゴン。

ただ一体で。


「……ここまでか」


リーナが唇を噛む。


「これが翼竜の火力……」


ルークは静かに息を吐いた。


「正面から準備なしで当たったら死ぬ」


「だから、ここで切り替える」


振り返る。


「センスを変更するよ」


リーナが目を見開く。


「センス変更?そんなの聞いたことないんだけど!」


「ほんと何でもありね、あんた……」


ルークは苦笑する。


「言ってなかったけど、元々戦士だったんだ」


「はぁ……」


呆れたように笑う。


「納得したわ」


「最初会った時、めちゃくちゃダサい格好してたもんね」


「あれは魔法使いなりたてだったんだよ……」


「はいはい」


目を閉じる。


意識を内側へ沈める。


――センスチェンジ。


戦士と魔法使いをカンストしたので


選択できるように現れた


”魔剣士”解放。

身体的にも向上し魔法能力も備えたセンスだ。


力と魔力が同時に流れ込む。


体の筋肉が締まり、

魔法が呼吸のように自然になる。


「……来た」


空気が変わる。


リーナが息を呑む。


「別人みたい……」


「ここから馴染ませる」


ルークはさらに装備を展開した。


淡く冷気を放つ氷属性の剣。

そして耐火性を極限まで高めたローブを二着。


「リーナ火を吹くドラゴン対策にこのローブ着ておいて」


「ドラゴン戦は俺が前に出る」


即断だった。


「リーナは近接禁止」


「火力が違いすぎる」


「一撃でも貰ったら終わりだ」


リーナが悔しそうに歯を噛む。


「じゃあ私は?」


ルークはもう一つ武器を取り出した。


見慣れない構造のボウガン。

矢先には淡く光る魔力球が仕込まれている。


「当たって割れると魔法が発動する」


 「リーナ、君に」

「遠距離支援に専念してほしい」


「牽制と足止めが役目だ」


「影拘束」


「重力操作」


「削りは俺がやる」


少し沈黙。


そしてリーナは頷いた。


「……結局あんた一人でパーティー全部やってない?」


呆れ笑い。


「生き残る戦い方をする」


「それだけだよ」


依頼人と馬車を安全な地点に残し、二人は火山へ向かった。


その日から数日間。


山道を進みながら戦い続けた。


現れる魔獣を片端から倒す。


氷斬撃。

重力加速突進。

魔法と剣の同時発動。


最初はぎこちなかった動きが、

次第に身体に馴染んでいく。


「もう問題ないな」


リーナが見つめて言う。


「うん……もう別物だね」


そして――火山帯へ入った。


空気が熱を帯びる。

風が焼ける匂いを運ぶ。

空が赤く染まる。


噴煙の向こう。


岩山の上に広がる巨大な影。


翼が開くだけで空気が震えた。


「……いた」


村を滅ぼした存在。


翼竜。


ルークは氷剣を構える。


冷気が周囲の熱を押し返す。


「準備は終わった」


「ここからが本番だ」

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