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第52話 対価


翌日。


建設現場には、昨日と同じ顔ぶれが集まっていた。


木材を運ぶ者。

石を削る者。

基礎を固める者。


活気はある。


だが、ルークは一歩前に出た。


「昨日は無償で助けてくれてありがとうございました」


軽く頭を下げる。


「でも今日からは違います」


ざわり、と空気が揺れる。


農夫が笑う。


「恩返しだってばよ!」


商人も肩を叩く。


「何が言いたいんですか?!」


ルークは顔を上げた。


「気持ちは嬉しいです」


「でも、善意だけに頼れば続かない」


静まり返る。


「働いた分は、必ず払います」


「それが仕事です」


それだけ言った。


余計な説明はしない。


しばらく沈黙。


やがてヤンが口を開く。


「受け取れ」


「金が発生すれば責任が生まれる」


「責任があれば続く」


農夫が鼻を鳴らす。


「……しゃあねぇな」


「今は畑仕事もすることねえーしな。仕事としてやってやるっぺ」


「じゃあ本気でやるだっぺよーー」


笑いが広がる。


空気が変わる。


ハンマーの音が鳴る。


昨日よりも、力強く。


ルークは少し離れた場所から現場を見た。


指示はパウロが出している。


資材の管理はギルド。


人の割り振りも自然に回っている。


もう、ルークを目的として集まった者たちではない、


ルークが中心に立たなくても進む。


リーナが横に来る。


「みんな違う意味でまた動き出してくれてるね」


「仕事を生むって本来こういうことなんだね。やらされてるじゃなく自ら進んで対価を得るって」


「うん」


ルークは頷いた。


「それが目的だから」


リーナが「何よ!ルークのくせにっ」自慢げな笑みが溢れた。


子供たちは作業する大人を見上げている。


“助けてもらう場所”ではなく


“働く場所”として形になり始めていた。


夕方。


基礎はさらに進んでいた。


ここはもう、ルーク一人の計画ではない。


街の仕事になった。


そしてそれは――


彼がこの場を離れても、止まらない。


ルークは遠く、街の外へと視線を向けた。


まだ終わっていないことがある。


確かめなければならないことがある。


そのために、少しばかりこの街を離れなければならない。

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