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第50話 子供達と未来

ギルドの一室。


重たい木机を囲んで四人が座っていた。


ルーク。

リーナ。

パウロ。

そしてギルド長ヤン。


部屋の中央には木箱が置かれている。


中には宝石や貴金属が詰まっていた。


ヤンが低く息を吐く。


「……これだけあれば」


「建物は余裕で建つな」


「運営資金もしばらくは持つ」


ルークは静かに言った。


「でも、建てるだけじゃ意味がありません」


「俺がいなくなっても」


「回り続ける仕組みにします」


全員の視線が集まる。


「資金管理はギルドへ委託します」


「もちろん働いてもらう以上、手数料も引いてください」


「収支はすべて公開します」


「誰かの私物にはしません」


ヤンがゆっくり頷く。


「信用を制度に変えるってわけか」


ルークは続けた。


「孤児院を、悪い大人たちの資金隠しに使わせません」


「教育も、子供たちにしていきます」


「いずれ大きくなって困らないように」


「冒険者志望はギルドから講師を呼んで、初心者向け講習を重ねて育てる」


「商人志望なら、仕入れや物作り、販売を実践で学ばせる」


「子供の未来を閉じません」


「望めば夢は叶う、そう思える世界にしたい」


一瞬、沈黙。


リーナが目を細める。


「……最初からそこまで考えてたの?」


ルークは小さく笑った。


「最初はここまでじゃなかった」


「ただ、不幸な子供がいなくなればいいと思ってた」


「でも」


「やるからには、とことんやりたいんだ」


「一時の善意じゃ意味がないしね」


パウロが胸に手を当てて言った。


「もしよければ」


「設計は私に任せてください」


「元々、行政で建築関連の仕事をしていました」


驚きが走る。


「子供たちが下を向かず」


「自然と上を向いて歩ける」


「そんな建物にします」


ヤンが腕を組み、深く息を吐いた。


「……これはもう孤児院じゃねぇな」


「街の未来だ」


ルークは静かに頷く。


「正直、どこまでできるかは分かりません」


「でも、成功させないといけない」


「それが――大人たちの義務です」


「この街を守るって決めたんで」


そしてリーナを見る。


彼女はその言葉を覚えていた。


小さくうつむき、嬉しそうに微笑んでいる。


これは慈善ではない。

街の未来を変える小さな一歩なのかもしれない。

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