第23話 式典の告発と口封じの刃
王都中央広場。
白い壇上に王家の紋章。
貴族、騎士、民衆が集まり、祝祭の空気が漂う。
ミゲルは公爵の装束で余裕の笑みを浮かべていた。
ミクはその背後で冷たく周囲を見る。
その時、広場の一角からざわめきが起こった。
粗末な服の男が前へ進み出る。
隣に、顔を隠した女。
護衛が止めに入る。
「下がれ!」
だが男――ルークは声を張った。
「王の御前で申し上げたいことがあります」
王が静かに視線を向ける。
「……申してみよ」
ルークは膝をつき、頭を下げた。
「公爵ミゲルの不正についてです」
広場が凍りつく。
ミゲルの笑みが消える。
だが王は制した。
「続けよ」
ルークはアイテムボックスから書類を取り出す。
裏帳簿。
輸送記録。
賄賂の流れ。
「違法な薬の製造」
「貴族への裏金」
「民衆を蝕む流通経路」
ざわめきが怒号へ変わる。
エリシアがフードを外す。
銀髪が光を受ける。
「……エリシア・スタングレー!」
エリシアは王をまっすぐ見た。
「私は冤罪により地位を奪われました」
「ですが、それ以上に多くの民が苦しめられています」
元伯爵たちが前に出る。
「我々も証言いたします」
ミゲルが叫ぶ。
「捏造だ!」
王の声が広場を制する。
「静まれ」
重い沈黙。
王はミゲルを見下ろした。
「公爵ミゲル」
「これらが虚偽である証を、即座に示せるか」
ミゲルは言葉を失う。
その瞬間。
怒号が響いた。
「騙されるな!!」
ゲス騎士団長が前へ出る。
顔は怒りで歪み、剣を抜いている。
「こいつらが黒幕だ!」
「公爵を陥れ、王国を混乱させる逆賊だ!」
視線はエリシアへ。
「口封じだ!!」
団長が斬りかかる。
速く、重い。
混乱の中で致命の一撃を狙う。
だが金属音。
ルークが割って入る。
「やっぱり最後までそれか」
団長は怒号を上げる。
「貴様のような平民が、貴族社会を語るな!!」
力任せの連撃。
怒りで精度を失った刃を、ルークは半身でかわす。
一歩、二歩、距離を詰める。
拳。
腹へ。
鎧の上からでも息を奪う一撃。
団長がよろめく。
「ぐっ……!」
剣を振り下ろす。
ルークは軌道を掴み、逸らし、膝蹴りを叩き込む。
石畳が砕けるほどの衝撃。
団長が崩れた。
立ち上がろうとする。
だがルークの足が胸を押さえつける。
「終わりだ」
拳が顎を撃ち抜いた。
団長は完全に沈黙した。
騎士が駆け寄り拘束する。
民衆がどよめく。
王都の空気が、今度こそミゲルへと向いた。
王は一段低い声で言った。
「――静まれ」




